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生活保護の現場で見た親たち~成育歴の負の連鎖~

相談員です。こんにちは。

生活保護関係の仕事をしていると家族の様子がよくわかります。
特に子どもを支援する事業となると、親との連絡や面談もあります。
加えて自治体の職員の方との連携もあるので家庭の状況は思いのほか
見えてきます。(ただ支援ができるかは別問題ですが・・・)

こんな痛ましい事件が岡山でありましたね。
なぜ あの子の命は奪われた~見落とされた虐待リスク~ | NHK | WEB特集

支援ができるかは別問題。これが一つの事例です。
このお宅は生活保護だったと推測されます。(※ただ情報元が週刊誌なので敢えて引用はしませんが、複数報じてます)
実は生活保護を受けるとかなり人の目が入ります。それは生活保護を受けるとその家庭の担当として自治体のケースワーカーさんがつきます。訪問をしたり、電話をしたりして状況をチェックしています。ただ残念ながら生活保護家庭が多い地域では目が行き届かないケースもあります。
ケースワーカー配置標準、7割満たさず 主要107市区:朝日新聞デジタル (asahi.com)
このお宅の場合、生活保護のワーカー、児童相談所、学校、地域とそれなりに「目」があったのに虐待死を防げなった。逆に言えばそれだけ家庭の中は目が届かない。親と子どもが濃密に生活をすることになるんです。だから子どもが親の影響をもろに受けるんです。

疑問のオンパレードだと思う


ところで一般に働いている人が人生で生活保護を受けている方と会うなんてかなりレアだと思います。この事件を見て不思議に思った方もいると思います。正直、最初、相談員も理解できなかったです。

・生活保護なのに彼氏って何?しかも子どもいるんでしょ?
・生活保護もらって遊んでるってこと?
・付き合っている男って何?

相談員もこの様な家庭は多く見てきました。
若いシングルマザーの方はだいたい彼氏がいましたね。恋愛をするのは自由ですし、再婚をして新しい家庭を作りたい、人生を立て直したい、と思うのは自然なことでしょう。ただその通りにいくかと言うと相談員が見た限りでは難しいです。生活保護を受給している家庭のほとんどが複合的課題を抱えています。それはお母さん自体に障害やメンタル系の疾患、成育歴、場合によっては自覚症状がなく生活している人もいます(認めない人も)その様な人が真っ当な恋愛ができるのか?真っ当なパートナーが見つかるのか?正直、疑問に思いますよね。少し事例を紹介します。

【ケース1】彼氏が家に入り浸ったってて子どもが家に帰れない
これは、残念ながら「あるある」です。それぐらい聞きます。
「お母さん幸せそうだから邪魔したくない」「家に帰れない」「邪魔だから帰ってくるなと言われた」なんて子どもの話も聞いたことあります。いやいやこの状況、大間違いだろ!ってツッコミたくなります。

【ケース2】彼氏ができて子どもの状況は一変
これは相談員が見ていたケースです。相談員は生活保護世帯の学習支援という事業を担当していました。いわゆる「無料の塾」と言えばわかりやすいでしょうか。中2ぐらいまで成績も悪くなく、部活で大好きなサッカーをやっていた男子Aくん。中3になって間もなく、成績が下がり始めました。1回ぐらいのテストで成績が下がるのはありそうな話ですが、どんどん下がっていきました。元々、物静かなAくん。何を聞いても「大丈夫です」「次は頑張ります」ぐらいしか言わない。部活も引退となり大好きなサッカーもできない毎日。かなり心配でしたがそのうち無料の塾への出席も少なくなりました。何とか希望の高校には入れたAくん。相談員はそれを見送ってその仕事を退職しました。しかしその後、A君はすぐに中退をした。お母さんが再婚した。と噂を聞いたのです。ああ、そうか。彼はそんな状況で高校入試を迎えていたのかと。物静かな彼は相談できなかったのか。悔やまれるばかりです。

残念だけど依存体質なんだと思う


検索したら出てきた記事です。

「依存体質」とは、依存心が強い人のことをいいます。自分で何かを決めることができなかったり、一人で行動できなかったり…。常に、誰かにもたれかかっているような人のことですね。また、依存する対象は、人だけではありません。ギャンブルやショッピング、タバコなどに依存する人も

(中略)

・恋人が途切れない
「恋人が途切れない」と聞くと、「モテるってこと?」と思う人もいるかもしれません。ですが、「依存体質」な人も、いつも彼・彼女がいるという人が多いのです。基本、寂しがり屋で一人じゃいられないので、ひとつの恋が終わると、誰でもいいので一緒にいてくれる人を探すのです。結果、いつも恋人がいるということになるのです。でも、それが本物の恋かというと疑問です。

男女どちらもいる?「依存体質」な人の特徴・原因・対処法や治し方を知ろう
Oggi.jp


常に、誰かにもたれかかっている人。
誰にでも多かれ少なかれそういう部分はあると思いますが、やっぱりそのレベル感が強い人なんでしょうね、病気までいかないレベルで。生活保護を受けている時点で言い方が悪いですが「依存」なんですね。
(当然、事情があって働けない人がいることも理解していますよ)
10年ぐらい前か、「貧困の負の連鎖」みたいなワードがメディアに出た時期があったと記憶しています。負の連鎖って相談員が最近思うのは「成育歴の負の連鎖」「依存の負の連鎖」ではないのかと。

生活保護家庭の子どもって、
それなりの歳になると「うちって何か他と違う・・・」みたいな違和感を持ち始め、
さらに歳が進むと「仕事をしているイメージが持てない」みたいになってくるんです。
何も支援が行き届かないと「大人になって生活保護」みたいになる場合あります。生活保護2世代とか聞きましたよ。

もしかしたら母親たちもその負の連鎖の被害者の可能性がかなり高いでしょう。

これが負の連鎖なんだと思います。

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