黒リス

ニューヨーク生息中の人間の皮を被った黒リスと名乗る生き物。好きなことは、食べること、寝…

黒リス

ニューヨーク生息中の人間の皮を被った黒リスと名乗る生き物。好きなことは、食べること、寝ること、たまに走ること。動物大好き。2021年2月末にシニアの保護犬コーディが旅立ち、現在、犬のフォスター(里親)ボランティアを経て出会った、おてんば娘のくるみと暮らしています。

マガジン

  • エッセイ:ぜんぶ

    愛犬の話、ニューヨークの話、ランニングの話などなど、その時々の気になったことをつらづらと書いています。

  • 本の話

    子供の頃から活字中毒。基本雑食。数年前にkindleで読み始めたけど、やっぱり、紙の本が好きと実感した最近。折角なので、本の感想とご紹介を始めました。

  • (小説)スカイとマルコ

    イタズラが過ぎた天使たちが下界に犬として落とされた。そこで、色んな人間たちに出会い、人間たちと一緒に生きる意味を考えていくお話し。

  • ショートストーリー

    3分で読めるショートストーリー。でも、何か心に残るかな?

  • エッセイ:わんこの話

    先住犬ミルキー、そして、シニアの保護犬コーディにまつわるストーリー。 わんこの不思議な力をたくさん感じます。

最近の記事

時代の曲

最近、令和時代の曲ばかり聴いている。 え?それって当たり前のことじゃない? って、思うかもしれない。でも、私にとってはそうじゃない。 平成になってすぐにカナダ・アメリカに渡ってきた私は、平成の音楽をほぼ知らない。だって、当時はネット配信なんて存在しなかったし、日本のTVもNHKを契約しないと観れなかったし、そもそも、アメリカに興味が向いていて、日本の曲をわざわざ聴こうなんて気がなかった。 だけど、YouTubeやiTuneが私を変えた。 期待せず、”どれどれ最近の日本の流行

    • 後悔が自分を作る

      最近、”後悔”も悪くないな、と思うようになった。 昔は、この↓心理カウンセラーさんが言うように、「後悔する暇があれば、反省して、前に進め」と思っていた。 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/faa25ce9b425a171be401376cca59651d1339e41 (記事抜粋) 「反省」は、「改善点を探るため、過去の行いを振り返り、もう一度考えてみること」という意味です。これに対し「後悔」は、過去の失敗から改善点を探ろ

      • 必要な時にある出会い:2冊の本のご紹介

        本が、今、自分に必要だった答えのようなものを与えてくれることがある。 今、感じているモヤモヤとした何かが心に燻いていた時など、”ああ、そうか、そうなんだ。”と思わせてくれる一文があったりする。 そんな時に思うのだ。 本とも出会いだな、と。 最近、2冊の出会いがあった。 多くの出会いがあったとしても、その多くは、読んでいるときは、ワクワク、ハラハラ、ドキドキしたりするが、さっと私の心を通り過ぎる。 だけど、偶に、じっくり一文、一文を噛みしめるように、なぞるように、読ま

        • 誰にも奪われないもの

          これはうちの教育方針だったのか分からないけど、中学生ぐらいから、お小遣いは、新しい学年に進級するタイミングで親と交渉する慣わしであった。例えば、週に何回購買部で100円のパンを2個買うから、月にはいくらになる。本代は年間どれぐらい(去年の実績を踏まえ)になるから、月割だといくら、洋服代は年間いくらぐらい等の予測を明記し、よって、今年から月額のお小遣いはこれぐらい必要なる、と予算を提出し、親からもあれこれ質問を受け、承認されたら、その額になるという具合だ。 ”欲しい時におねだり

        時代の曲

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        • 乳がんサバイバーのつぶやき
          22本

        記事

          月子とケイタ・それでいいのだ。

          「彼女とは終わりにしました。彼女は、普通に結婚して、子供を産む人生を生きるべきだと思ったし、いや、これは詭弁ですね。自分が逃げた、怖くて逃げたんです。酷い奴でしょう?だから、ずっと独身。誰とも深い付き合いが出来ずにいる。自分は親がいなくて自由に生きられると言いながら、ずっと、親が分からないことに縛られているんです。」 そう言って、ケイタ君は、顔を伏せた。涙を堪えているのかもしれない。 子供を産めなくなった女と子供をどうしても作れない男か・・・。 月子さんは、妙な可笑しみを

          月子とケイタ・それでいいのだ。

          月子とケイタ・親という存在

          月子さんのアパート近くの商店街の一本裏に入った小道にあるカジュアルなイタリアンのお店。混んでもなく、ガラガラでもなく、いつも1、2テーブルが空いているお店は居心地が良い。 「もっとちゃんとしたお店にお連れしたかったんですけど、すみません、ソラと暮らしてから、食べ歩きとかめっきりしなくなって・・・。」 「分かります、分かります。犬を飼うと、生活がガラッと変わりますよね。」 そう、価値観も。 月子さんは、この15年で、自分の価値観がまるっきり変わったことを実感する。時間とお

          月子とケイタ・親という存在

          月子とケイタ・そんな始まりもある

          ケイタ君と電話で話してひと月後、月子さんは犬に触りたくて、触りたくて、たまらない禁断症状に襲われ始めた。 ああ、あの温もりが恋しい。 いてもたってもいられなくなり、ケイタ君に電話して、週末ボランティアに登録した。最初は、犬舎の掃除、そして、餌やり。慣れてきたら、散歩も任されるようになった。暴れん坊女将軍のソラを手懐けただけあっって、月子さんは、どの犬にも冷静に、そして、辛抱強く、温かく接し、気がつけば、どの犬達も月子さんが大好きになっていった。 月子さんも、次の週末が待ち

          月子とケイタ・そんな始まりもある

          スカイとマルコからの”月子とケイタ”

          ソラがお空の星になってしまってから、気がつけば3週間が経っていた。 添い寝をしていたら、その時が来たら絶対、気づくはずだと思っていたのに、月子さんは、自分がぐーぐー寝ている間に、ソラが旅立ったことに、ショックを受け、最初、自分を責めまくった。 遺灰となって、部屋に戻ってきたソラを、自分もソラを真似て食べようとしたが、なんとなく、ソラに止められている気がして止めた。その代り、遺灰をソラの目の色と同じ真っ青な小瓶に入れ、写真と共に、ベッドサイドテーブルの上に置いた。ずっと、添い

          スカイとマルコからの”月子とケイタ”

          スカイとマルコ(33)・いっしょに

          あたしはすぐに分かった。 あの車に乗っているのはケイタ君。空気に漂う一瞬の気配で気づく。 あ、車のドアが開いた。ほらね、やっぱり、ケイタ君。あのホカホカの太陽みたいな膜、ずっと、変わりない。 人間はルックスが変わることに一喜一憂するけど、もっと大事なことがあることに気づいていないみたい。 ケイタ君の陽だまりの膜があたしは大好き。 月子さんの透明な膜は、あたしと出会った頃は、ひんやり寂しそうだった。 でも、今はキラキラと輝く膜に変わっている。 そして、その膜に変わったのは

          スカイとマルコ(33)・いっしょに

          スカイとマルコ(32)・すぐに分かるよ

          月子さんは、意味が分からなかった。 なぜ、ソラが私をここの連れてきたのか。ソラがなぜ、ここに来たがったのか。 「ソラ、私はソラを歳を取ったからって、ここに捨てたりしないよ。ソラがいくら望んだって、絶対しない。だから、帰ろう。ね?」 そう言ってみたけど、ソラは全く知らんぷりで、シェルターのゲートの前で寝転んで動かない。 シェルターのオープン時間は午前9時らしく、まだ、人の気配がしない。 どうしよう、と思っているうちに、一台の犬猫の絵がペイントされたバンが、ゲートの前を通り過

          スカイとマルコ(32)・すぐに分かるよ

          スカイとマルコ(31)・そして、そこに戻る

          朝起きが苦手だった月子さんが、今では、早朝の散歩が日課であり、そして、その時間の空気が1日で一番好きになっていた。 子宮の病気が発覚するまで、タバコも吸っていたし、お酒も鈴木くんが仲間とワイワイやるのが好きだったのもあり、よく外に飲みに行っていた。 今、思い返すと、まるで前世の記憶のように感じる。 鈴木くんの下の名前も、”あきのり”なのか”のりあき”なのか、よくよく考えないとどっちが正しいのかさえ忘れている。 それぐらい、鈴木くんとのことも過去になったということだ。 悪くな

          スカイとマルコ(31)・そして、そこに戻る

          スカイとマルコ(30)・その日が来る前に

          久しぶりにマルコの夢を見た。 月子さんと生きていくと決めたぐらいから、不思議と天界のことを思い出さなくなっていた。マルコのことは偶に、どうしているかな、って思うけど、神様と一緒にいるから、心配する必要もないし、それよりも月子さんの一挙一動ばかりが気になる生活に変わっていった。 月子さんの声が心地良く、月子さんの匂いが大好きになった。 月子さんが側にいると幸せで、月子さんがいないと寂しい。 月子さんが嬉しそうだと、あたしも嬉しくなり、月子さんが悲しそうだと、あたしは、どうした

          スカイとマルコ(30)・その日が来る前に

          スカイとマルコ(29)・別れと出会い

          ソラの毛、すっかり胡麻塩状態になったなぁ、と月子さんはブラッシングしながら思う。あんなにツヤツヤの真っ黒だった毛に白い色が混じり始めたのはいつ頃だっただろう?多分、ソラが7歳を過ぎたぐらいからかな? 今、ソラは15歳。つまり、15年という年月が私とソラの上に流れたということだ。出会った頃は、ソラは1歳。人間の歳なら10歳ぐらいか。私は31歳になったばかりだったけど、私の方がずっと年上だった。だけど、今、私は、47歳で、ソラは、人間なら100歳近い。あっという間に、私の歳を追

          スカイとマルコ(29)・別れと出会い

          スカイとマルコ(28)・マルコのカケラ

          あたしは、人間が”遺灰”と呼ぶ、白い粉がなんなのかすぐに分かった。 マルコのカケラだ。 魂はもう神様と天界へ戻ってしまったけど、でも、あたしと一緒に犬として生きたカケラがここにある。 あたしは、月子さんの手からそれを奪い、ビニールを引きちぎり、一気に食べ切った。これでずっとマルコはあたしの中で一緒に生きる。そして、あたしはマルコの分まで生き続けてやる。 きっと、月子さんは呆れているだろう。 そう思って、見上げると、月子さんはボタボタと涙を流していた。 「いいよ、いいよ。ソラ

          スカイとマルコ(28)・マルコのカケラ

          スカイとマルコ(27)・温もり

          「神様、僕、お願いがあるんです。僕がまだ犬の姿のうちに時枝さんに会わせてもらえませんか?」 天界に戻る道のり、マルコは神様に懇願した。 「時枝さん、ピーターとサスケと旦那さんと幸せな時間を過ごしいると思うけど、それでも、どうしているかなって心配なんです。」 腕の中のマルコに神様は、優しい声で答えた。 「時枝さんもずっとマルコのことを心配しているよ。」と。 マルコはそれを聞いて、ますます心配になった。 「神様、お願いします。僕、時枝さんに、大丈夫って、伝えてあげたい

          スカイとマルコ(27)・温もり

          スカイとマルコ(26)・一緒に生きること

          え、遠吠え?狼? 寝ぼけた頭で、月子さんは考えた。 数秒後、ガバッと飛び起き、隣の部屋に駆け込んだ。 窓際で、ソラが、空に向かって悲しげに吠えていた。 あ、もしかして・・・。 月子さんは、最悪な可能性に思い当たった。 この子には分かるんだ。離れていても分かるんだ。 そっと後ろから近づき。抱きしめた。 悲しいね。寂しいね。辛いね。 本当は、ご近所迷惑だから、遠吠えを止めさせないといけないんだろうな。 申し訳ない、でも、今はできない。 明日、何か買って、ご近所に謝って回ろ

          スカイとマルコ(26)・一緒に生きること