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必要な時にある出会い:2冊の本のご紹介
本が、今、自分に必要だった答えのようなものを与えてくれることがある。
今、感じているモヤモヤとした何かが心に燻いていた時など、”ああ、そうか、そうなんだ。”と思わせてくれる一文があったりする。
そんな時に思うのだ。
本とも出会いだな、と。
最近、2冊の出会いがあった。
多くの出会いがあったとしても、その多くは、読んでいるときは、ワクワク、ハラハラ、ドキドキしたりするが、さっと私の心を通り
誰にも奪われないもの
これはうちの教育方針だったのか分からないけど、中学生ぐらいから、お小遣いは、新しい学年に進級するタイミングで親と交渉する慣わしであった。例えば、週に何回購買部で100円のパンを2個買うから、月にはいくらになる。本代は年間どれぐらい(去年の実績を踏まえ)になるから、月割だといくら、洋服代は年間いくらぐらい等の予測を明記し、よって、今年から月額のお小遣いはこれぐらい必要なる、と予算を提出し、親からもあ
もっとみる月子とケイタ・そんな始まりもある
ケイタ君と電話で話してひと月後、月子さんは犬に触りたくて、触りたくて、たまらない禁断症状に襲われ始めた。
ああ、あの温もりが恋しい。
いてもたってもいられなくなり、ケイタ君に電話して、週末ボランティアに登録した。最初は、犬舎の掃除、そして、餌やり。慣れてきたら、散歩も任されるようになった。暴れん坊女将軍のソラを手懐けただけあっって、月子さんは、どの犬にも冷静に、そして、辛抱強く、温かく接し、気
スカイとマルコ(33)・いっしょに
あたしはすぐに分かった。
あの車に乗っているのはケイタ君。空気に漂う一瞬の気配で気づく。
あ、車のドアが開いた。ほらね、やっぱり、ケイタ君。あのホカホカの太陽みたいな膜、ずっと、変わりない。
人間はルックスが変わることに一喜一憂するけど、もっと大事なことがあることに気づいていないみたい。
ケイタ君の陽だまりの膜があたしは大好き。
月子さんの透明な膜は、あたしと出会った頃は、ひんやり寂しそうだっ
スカイとマルコ(32)・すぐに分かるよ
月子さんは、意味が分からなかった。
なぜ、ソラが私をここの連れてきたのか。ソラがなぜ、ここに来たがったのか。
「ソラ、私はソラを歳を取ったからって、ここに捨てたりしないよ。ソラがいくら望んだって、絶対しない。だから、帰ろう。ね?」
そう言ってみたけど、ソラは全く知らんぷりで、シェルターのゲートの前で寝転んで動かない。
シェルターのオープン時間は午前9時らしく、まだ、人の気配がしない。
どうしよ
スカイとマルコ(30)・その日が来る前に
久しぶりにマルコの夢を見た。
月子さんと生きていくと決めたぐらいから、不思議と天界のことを思い出さなくなっていた。マルコのことは偶に、どうしているかな、って思うけど、神様と一緒にいるから、心配する必要もないし、それよりも月子さんの一挙一動ばかりが気になる生活に変わっていった。
月子さんの声が心地良く、月子さんの匂いが大好きになった。
月子さんが側にいると幸せで、月子さんがいないと寂しい。
月子さ
スカイとマルコ(28)・マルコのカケラ
あたしは、人間が”遺灰”と呼ぶ、白い粉がなんなのかすぐに分かった。
マルコのカケラだ。
魂はもう神様と天界へ戻ってしまったけど、でも、あたしと一緒に犬として生きたカケラがここにある。
あたしは、月子さんの手からそれを奪い、ビニールを引きちぎり、一気に食べ切った。これでずっとマルコはあたしの中で一緒に生きる。そして、あたしはマルコの分まで生き続けてやる。
きっと、月子さんは呆れているだろう。
そう
スカイとマルコ(27)・温もり
「神様、僕、お願いがあるんです。僕がまだ犬の姿のうちに時枝さんに会わせてもらえませんか?」
天界に戻る道のり、マルコは神様に懇願した。
「時枝さん、ピーターとサスケと旦那さんと幸せな時間を過ごしいると思うけど、それでも、どうしているかなって心配なんです。」
腕の中のマルコに神様は、優しい声で答えた。
「時枝さんもずっとマルコのことを心配しているよ。」と。
マルコはそれを聞いて、ますます心