営業はいらない、と言われる時代に営業をマネジメントすることで全社変革を!⑥
いま、営業を統括する立場のマネージャーは、様々な変化、プレッシャーで悩みは尽きないでしょう。しかも営業はいらない、とまで言われる時代に…
前回も触れましたが、部下を持つピープルマネージャーはどんなに小さなチームであっても、ものすごく大きな学びのチャンスを、給料をもらってできる、そういう得難い立場なのです。特に営業のマネージャーであれば、
☑️ チームを率い、目標に向かって育成、成長させるという経験ができる
☑️ 数字という計測可能な結果が毎日出るのでPDCAが高頻度で回せる
という要因が特に成長につながります。
とはいえ、足元は一部業種を除き営業にとって厳しい状況が続いています。
昔、営業の研修講師をしていた関係もあって、様々な相談が増えています。
そうした相談内容と回答をメモしています。
これまでにご紹介したケース
✔︎ 一生懸命部下を助けようとするあまり目線が下がってしまったケース
✔︎ 営業プロセスが標準化されていないケースの「まずできること」
✔︎ 営業プロセスの標準化をすべき理由とその方法
✔︎ 営業プロセスの標準化がもたらす3つの効果
✔︎ 営業プロセス標準化定着の方法
今回は、営業の立場から全社的変革につながる、という話をご紹介します。
1、全社的変革?
いきなり話が大きくなったように感じるかもしれませんが、営業プロセスの標準化の目指すべきところはこれだと言えます。
というのも、感染症以前から、多くの企業において「営業」という組織の役割が変わる圧力が生まれつつあったのです。
圧力とは、以下の2つ。
☑️ 日本的「営業」の限界
☑️ デジタル化による顧客の期待値の変化
これら圧力に対応するために、全社的変革は不可避だったのです。
それぞれを見ていきましょう。
2、☑️日本的「営業」の限界
そもそも「営業」は英語では「セールス」と言いますが、日本の「営業部門」は海外の「Sales Department」と比べると守備範囲がかなり広く、マーケティングの一部とアフターサービスの一部も取り込んでいるイメージです。
ですので、顧客開拓もしますし、納品後のトラブルがあると駆けつけて対応もします。欧米では、マーケティングが強く、マーケティングの施策に基づいてセールスが動くのが主流です。
これは、「やっぱりよく顔を出してくれる担当者から買った方が安心」「買ったらもう顔を出さないのは信用できない」といった、顧客側のニーズに応えていった結果ではありますが、逆に言えば、「お客様は神様だ」という、日本的考えによるものも大きかったと考えられます。
この日本的「営業」の何が限界なのか?
経済成長がほぼない一方で、低金利で生き残っている企業数が多い中では、価格競争になりがちです。それなのに、こうした営業の過剰サービスはもう立ち行かなくなりつつあったのです。
しかも、全くコスト構造の違うネット通販でも、かなりの商材は買うことができるようになってきました。買う方の企業も厳しい中、価格優先になりがちですから、これまで人的信頼関係で食い込んでいた営業はあっさりと切られる、もしくは、さらに買い叩かれる、ということが起こり始めていました。
3、☑️ デジタル化による顧客の期待値の変化
先ほどと少しかぶるのですが、技術の進展と、慣れによって、ネットで購入することの抵抗がなくなって来ました。ネット通販を利用すると、驚くほど納期が短いなど、ネット通販の方がむしろ良い点もあります。また、返品保証などでアフターサービスへの不安も解消されつつあります。
そうなると、BtoBの世界でも、購買担当者の期待レベルは変化します。今日頼んだら明日納品されないの?欠品なんてないでしょ?ということです。
また、ネット通販では購入時に人が介在しませんので、アフタフォローが購買時と違う担当者であっても、購買情報さえ連携されていればなんの違和感もありません。もう、「あの担当者に言えばなんでも分かるから」というのは不要なのです。
しかも、そこに感染症で「頻繁に顔を出す」ことがむしろ遠慮してほしい状況になりました。
感染症でやむなく突入したWeb会議などはそうした素地があってスムーズに受け入れられた面もあると思いますし、今後もむしろ定着するでしょう。
このように、顧客の期待値が変わってしまったのです。
4、それが全社的変革とどう繋がるのか?
さて、このような変化の中、営業だけで状況を打開できるでしょうか?
もちろん、営業でできることはやります。それがこれまで見て来た「営業の標準化」です。
この次に来るのは、顧客リーズ獲得から商談、契約、納品、アフターフォローまでの、End to Endでのプロセス標準化です。これは営業だけではできない、全社的にならざるを得ない話です。しかも、これらについては、顧客との接点を持っている営業が最も情報を持っているはずです。
遅かれ早かれ「DXだ!」という話が出てくるでしょう。
そうなってからでは、主導権は経営か企画か、いずれにしても営業ではない部署となる可能性が高いでしょう。
その前に、営業が主導権を握れるギリギリのタイミングが今なのです。
いきなりDXではなく、End to Endの顧客体験を考えたときに最も良いプロセスを今の部署の枠組みも超えて考えることが重要です。
そしてベストなものができたら、会社に提案をしましょう。営業でのプロセス標準化による一定の成果が出ていることで説得力を持ちます。
繰り返しになりますが、自らが経験を生かして変革を主導するか、他の部署に主導権をとられ動かされる側に回るのか、今は、選べるギリギリのタイミング、ということなのです。
これが、営業の立場から全社的変革につなげる、ということです。
5、まとめ
いかがでしたでしょうか?
もともと昔のご縁で営業の悩みをご相談頂くようになり、これは、大きな変革期が訪れていると思うようになり、メモにして来ました。
最後は、営業の範囲を超えた話になってしまいましたが、ぜひ、この環境で営業の数字が苦しい、どうにかしたい、ということでお悩みであれば、目線を高く持って、全社変革を掲げてみることをお勧めします。
なぜなら、マイナスをゼロに戻す仕事は非常に辛いものです。
「マイナスをゼロに戻す過程は、実はその先の見たこともないプラスのためなんだ!」
という旗をリーダーであるあなたが掲げることができれば、チームの皆さんの辛さも前向きなものにできるのと考えるからです。
この辛い状況を後で振り返って、自分にとっても、メンバーにとっても、そして会社にとっても、良い経験だった、と言えるようにしていきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ここまで、6回に渡って投稿して来ましたが、ひと段落です。
営業で悩む方、特にリーダーとして率いている方の参考になるところがあれば嬉しいです。
(マガジンにまとめました)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?