暁空也

フットボール、わーすた、競馬、よく話し食べる女性が好きです。フットボールでの主なポジシ…

暁空也

フットボール、わーすた、競馬、よく話し食べる女性が好きです。フットボールでの主なポジションはGK、追うリーグはJリーグと独ブンデスリーガ、好きなクラブは川崎フロンターレ、インテルナツィオナーレ、マインツ。

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  • GKの喜怒哀楽

    筆者が観た試合で、GKの技術にフォーカスします。

記事一覧

縁の下の力持ちに導かれ、宿願達成

漫画でも嘘臭くなるような劇的な展開を経て、PK戦に突入したJリーグYBCルヴァンカップ決勝。札幌の5人目と6人目のシュートを止め、川崎に初優勝をもたらしたのは、GK新井章…

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4年前
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判断力と足元の技術の重要性を照らし出す16分間 GKの喜怒哀楽⑨~2018年J2第42節、松本対徳島~

ビルドアップに参画するGKに求められる、判断力と足元の技術の重要性を照らし出す時間だった。J2第42節、松本対徳島。徳島のGK梶川裕嗣は開始から約16分間に3度、ビルドア…

暁空也
5年前
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“3番手”からの挑戦状 GKの喜怒哀楽⑧〜日本代表対ベネズエラ代表〜

懐疑論を払拭した。ベネズエラ戦で抜擢されたGKシュミット・ダニエルは、PKで1点を失ったものの、長身を生かして制空権を確保するとともに、精確な配球で攻撃の始点として…

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5年前
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鹿島の宿願を叶えた「Two-time champion」 GKの喜怒哀楽⑦~2018年ACL決勝2ndレグ、ペルセポリス対鹿島~

「Two-time champion」は偉大だった。鹿島のGKクォン・スンテは、イランのペルセポリスと争うアジアチャンピオンズリーグ決勝の2ndレグを、完璧な立ち回りで完封。3度目の…

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5年前
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蜜月終焉の足音 GKの喜怒哀楽⑥~2018年J1第32節、C大阪対川崎~

蜜月が終焉へ向かう足音が聞こえた。J1第32節、C大阪対川崎。川崎が連覇を決めた試合で目立ったのは、チョン・ソンリョンの守備範囲の狭さと攻撃への貢献度の低さだった。 …

暁空也
5年前
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無風の夜戦 GKの喜怒哀楽⑤~2018年J1第28節、C大阪対名古屋~

低迷する“桜”と“鯱”の浮上を懸けた夜戦は、共にファイナルサードでフィニッシュへ持ち込むための精度やアイディアを欠き、GKは大半の時間を“無風”で過ごした。 避け…

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5年前
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守護神の堂々たる帰還 GKの喜怒哀楽④~2018年J1第31節、川崎対柏~

守護神が還ってきた。混迷を深め、残留争いに身を置く柏は第31節、脳震とうの影響で戦列を離れていた中村航輔を、約3カ月半ぶりに先発で起用。連覇へ驀進(ばくしん)する…

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5年前
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辛酸と不屈の闘志のコントラスト GKの喜怒哀楽③~2018年AFC U-19選手権、日本対サウジアラビア~

辛酸を嘗めながら、不屈の闘志で〝背番号1〟の価値を示した。AFC U-19選手権の準決勝、日本対サウジアラビア。同選手権で初出場となったGKの若原智哉は、自らのミスで前半2…

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5年前
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好守の競演と残酷なミス GKの喜怒哀楽②~2018年10月31日、鹿島対C大阪~

J1屈指のGKによる〝好守の競演〟は、1つのミスが明暗を分けた。後半7分、鹿島の永木のCKにニアサイドで小田が頭で合わせると、ほぼ正面に回り込んだC大阪のキム・ジンヒョ…

暁空也
5年前
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紙一重が生む明暗 GKの喜怒哀楽①~2018年ルヴァン杯決勝、湘南対横浜FM~

紙一重だった。 湘南の杉岡大暉のドリブルに、少しずつポジションを下げながら、左と右のコースを切る形で立ち塞がるCBの間、ゴールの中央で構える横浜FMの飯倉大樹。CBの…

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5年前
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対照的なスタイルの激突

対照的なスタイルが激突する。ルヴァン杯決勝に臨む湘南ベルマーレと横浜FM、そして秋元陽太と飯倉大樹だ。前者は182cm、後者は181cmと高身長化が加速するGKでは小柄だが、…

暁空也
5年前
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縁の下の力持ちに導かれ、宿願達成

漫画でも嘘臭くなるような劇的な展開を経て、PK戦に突入したJリーグYBCルヴァンカップ決勝。札幌の5人目と6人目のシュートを止め、川崎に初優勝をもたらしたのは、GK新井章太だった。

新井は長く、縁の下の力持ちだった。トライアウトを経て2013年に川崎に加入したが、常に位置付けは2番手以下。16年以降は元韓国代表のGKチョン・ソンリョンが絶対的な守護神を務め、チームは2017年と18年にJ1を

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判断力と足元の技術の重要性を照らし出す16分間 GKの喜怒哀楽⑨~2018年J2第42節、松本対徳島~

ビルドアップに参画するGKに求められる、判断力と足元の技術の重要性を照らし出す時間だった。J2第42節、松本対徳島。徳島のGK梶川裕嗣は開始から約16分間に3度、ビルドアップで判断と技術のミスを犯し、ボールを失った。

まずは前半5分だ。徳島はゴールキックを前線に送り込まず、GKからDFに繋ぐ意志を示す。しかし、松本も予想しており、それを防ごうと高崎や前田、セルジーニョが動く。

それでも梶川は左

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“3番手”からの挑戦状 GKの喜怒哀楽⑧〜日本代表対ベネズエラ代表〜

懐疑論を払拭した。ベネズエラ戦で抜擢されたGKシュミット・ダニエルは、PKで1点を失ったものの、長身を生かして制空権を確保するとともに、精確な配球で攻撃の始点として機能。初出場に加え、大舞台での経験が乏しく、不安視する声も少なくなかったが、堂々たるパフォーマンスで守護神の座を争う東口順昭や権田修一に挑戦状を叩き付けた。

“3番手”からの下剋上だ。197cm、89kgと世界水準の体躯を有する26歳

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鹿島の宿願を叶えた「Two-time champion」 GKの喜怒哀楽⑦~2018年ACL決勝2ndレグ、ペルセポリス対鹿島~

「Two-time champion」は偉大だった。鹿島のGKクォン・スンテは、イランのペルセポリスと争うアジアチャンピオンズリーグ決勝の2ndレグを、完璧な立ち回りで完封。3度目の戴冠を果たした。

樹木が年輪を重ねて美しさを増すように、GKは経験で磨かれる。浴びたシュート、喫した失点の数が〝血肉〟となり、予測の精度が向上。いわゆる「スーパーセーブ」が増えていく。その数は、反射神経をはじめとする

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蜜月終焉の足音 GKの喜怒哀楽⑥~2018年J1第32節、C大阪対川崎~

蜜月が終焉へ向かう足音が聞こえた。J1第32節、C大阪対川崎。川崎が連覇を決めた試合で目立ったのは、チョン・ソンリョンの守備範囲の狭さと攻撃への貢献度の低さだった。

チョン・ソンリョンは、典型的な「シュートストッパー」だ。欧州のトップレベルでは、高い位置に押し上げるDFの背後をカバーできるポジションを取り、攻撃時にはビルドアップの始点を担うGKが増えてきたが、彼の〝主戦場〟はゴールエリア。カバー

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無風の夜戦 GKの喜怒哀楽⑤~2018年J1第28節、C大阪対名古屋~

低迷する“桜”と“鯱”の浮上を懸けた夜戦は、共にファイナルサードでフィニッシュへ持ち込むための精度やアイディアを欠き、GKは大半の時間を“無風”で過ごした。

避けられた珍事

GKが最も目立ったのは、後半15分の珍事だ。C大阪の山口蛍が前線に長いボールを入れ、名古屋の和泉が足に当てると、ランゲラックの元へ転がる。そして、キャッチ。東城穣主審はバックパスと判断し、間接FKを指示した。競技規則によれ

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守護神の堂々たる帰還 GKの喜怒哀楽④~2018年J1第31節、川崎対柏~

守護神が還ってきた。混迷を深め、残留争いに身を置く柏は第31節、脳震とうの影響で戦列を離れていた中村航輔を、約3カ月半ぶりに先発で起用。連覇へ驀進(ばくしん)する川崎を、敵地で撃破するための〝起爆剤〟を投下した。

中村は、期待に応える。前半17分、家長の鋭いミドルシュートを的確にクリア。同32分には、小林のミドルシュートを軽やかに弾き出す。共に一線級のGKにとって難易度は高くなかったが、相手に「

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辛酸と不屈の闘志のコントラスト GKの喜怒哀楽③~2018年AFC U-19選手権、日本対サウジアラビア~

辛酸を嘗めながら、不屈の闘志で〝背番号1〟の価値を示した。AFC U-19選手権の準決勝、日本対サウジアラビア。同選手権で初出場となったGKの若原智哉は、自らのミスで前半29分に先制点を献上する最悪のスタートを切り、動揺から負の連鎖に陥る危険性もあったが、冷静に1つひとつのプレーに集中すると、後半6分には難しいシュートをストップ。汚名を返上した。

京都の期待を背負う俊英

若原は京都サンガに所属

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好守の競演と残酷なミス GKの喜怒哀楽②~2018年10月31日、鹿島対C大阪~

J1屈指のGKによる〝好守の競演〟は、1つのミスが明暗を分けた。後半7分、鹿島の永木のCKにニアサイドで小田が頭で合わせると、ほぼ正面に回り込んだC大阪のキム・ジンヒョンはキャッチを選択するが、のけ反った身体の状態でボールを迎える形になり、勢いを殺し切れずに後逸。即座にゴールラインを越えようとするボールをかき出そうとしたが、主審は得点を認めた。この試合、筆者の判定で鹿島のクォン・スンテは2度、キム

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紙一重が生む明暗 GKの喜怒哀楽①~2018年ルヴァン杯決勝、湘南対横浜FM~

紙一重だった。

湘南の杉岡大暉のドリブルに、少しずつポジションを下げながら、左と右のコースを切る形で立ち塞がるCBの間、ゴールの中央で構える横浜FMの飯倉大樹。CBの寄せが甘く、ミドルシュートのモーションに入った杉岡に、慌てて左からチアゴ・マルチンスが飛び込む。

しかし僅かに及ばず、鋭い弾道が放たれる。

不運にも、飯倉が後退を止め、両足が地面に揃い、やや右側に重心が寄った瞬間だった。

重心

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対照的なスタイルの激突

対照的なスタイルが激突する。ルヴァン杯決勝に臨む湘南ベルマーレと横浜FM、そして秋元陽太と飯倉大樹だ。前者は182cm、後者は181cmと高身長化が加速するGKでは小柄だが、共に自らの特長を磨き上げ、求められる役割を全うし、チームを頂点に手が届く位置まで導いてきた。

秋元の武器は、シュートを止める技術だ。ドッシリと構えてボールホルダーのモーションや意図を見極め、味方が切るコースも踏まえて“正しい

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