【BL二次小説(R18)】 卒業旅行⑰
東堂が食後のコーヒーを飲みながら言う。
東「さて……明日はいよいよ帰国だ。チェックアウトは正午だから、中途半端だが午前中少しは時間がある。土産を買いに行くも良し。急いでアトラクションに乗りに行くも良し。プールでのんびりするも良し。好きに過ごすといい」
福「もう終わりか……」
新「濃かったなぁ」
荒「3泊なんてアッという間だな」
感慨深くしんみりとする4人。
東「ネズミーワールドだけでも全部巡りきれなかった。ニューヨークやラスベガスはこことはまた全く違う世界だ。アメリカは広い」
新「尽八のおかげで効率良く巡れたし色々勉強になったよ。ありがとうな」
福「3人も引き連れて案内するのは大変だっただろう。感謝している」
東堂をねぎらう新開と福富。
荒「ケッ。こいつァ好きで幹事やってンだよ。生き生きとしてたゼ!」
そっぽを向く荒北。
東「フフフ。荒北の言う通りだよ。毎日知識を披露出来てとても充実していた。もっともっと日程が欲しいぐらいだ。まだまだ語り足りん」
荒「ほらナ」
新「また……こうして4人で旅行出来るといいんだけどな……」
新開が涙ぐむ。
福「オレと新開は一緒だが、東堂と荒北はそれぞれ別の大学だ。現実的にはこれが最後だろう」
東「これは卒業旅行だ。残念だが、楽しかった高校時代はこれで文字通り本当に卒業だ。オレ達は、大人になるのだ」
新「楽しかったよ……本当に。おめさん達とは本音で話せた……。苦しいこともつらいことも一緒に乗り越えてきた……。ううう……」
感極まって泣き出す新開。
ガタン!
荒北が立ち上がって叫んだ。
荒「泣くな新開!最後なんかじゃねェ!オレ達は!ずっと親友だ!いつだって!どこにいたって!またいつでもすぐに4人集まれるんだ!そうだろ福ちゃん!そうだろ東堂!」
そう言う荒北の頬にも涙がつたっていた。
福富と東堂は荒北を見上げて言う。
福「……ああ。そうだな荒北。またいつでも集まろう。困った時にはいつでも駆け付けよう」
東「こんなに息の合ったバランスの良い4人組はそうそう居るものではない。これを絆と言うのだろうな。貴様達と出逢えたことを誇りに思うぞ」
荒「チクショウ!」
荒北は乱暴に椅子に座り、テーブルに顔を突っ伏した。
泣き顔を見られたくないようだ。
新「靖友……うう……」
荒北の背中を撫でながら、新開は号泣した。
そんな2人を見て、福富と東堂も涙が滲んでくるのだった ──。
食事の後、一行はテーマパークに向かいナイトパレードを観賞し、閉園までアトラクションを楽しんだ。
部屋へ戻りシャワーを済ませた新開と荒北。
ベッドでうつ伏せに寝転んでテレビを見ている荒北のシャツをめくって、新開は背中に抱き付きキスをしている。
チュ。チュ。
新「なあ、靖友」
荒「ン?」
新「オレさ、おめさんとお揃いのお土産買いたいんだ」
荒「お揃いの土産ェ?」
チュ。
新「Tシャツとかだとお揃い買ってると目立っちゃうだろ。なんか他にいいの無いかな」
荒「……」
チュ。チュ。
荒「ンじゃ、写真立てはァ?」
新「写真立て?」
荒「オレ、オメーの写真飾る写真立て買うつもりだったからァ。それならサッと買っちまえば目立たねェだろ」
新「靖友……!オレの写真、飾ってくれるのかい?」
チューッ!
荒「今までは寮だから無理だったけどこれからはアパートってチョットさっきから何やってンのオメー!」
身体を反転させる荒北。
新開は笑顔で答える。
新「背中にキスマークで“ハヤト”って。今“ハ”が出来た」
荒「なっ!オレ明日プール入るつもりだったン!」
新「え?ごめん。じゃあオレずっとプールで背中隠しててやるよ」
荒「不自然だろーが!!」
新「じゃあオレの背中にも“ヤストモ”って」
荒「全く解決に近付いてねェ!!」
新「ああ靖友の怒った顔好き。エロい。たまんねぇ」
荒「聞けヨ人の話をォ!ちょ!放せテメ!またかよ!ア!ダメソコ!アッ!アアアーーッ!」
そして最終日の夜は更けていった ──。
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