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【BL二次小説(R18)】 卒業旅行⑨


レストランの外へ出ると、目の前の湖沿いにたくさんの人が集まっていた。

皆、湖の方を向いている。



福「何かイベントでも始まるのか?」

東「これから花火だ」

新「そうだ花火だっけ!忘れてたよ!」

荒「そりゃ場所取りしなくちゃな!行こうぜ!」

荒北が人だかりの中に飛び込んで行く。


東「こら、そんなに慌てずとも……やれやれ。せっかちがなかなか抜けん奴だ」

呆れる東堂。



暫くすると、カウントダウンが始まった。

皆、一様に対岸を見つめる。



ドーーン!


花火が撃ち上がった。

観客達の歓声も上がる。


荒「オオ~!」

新「キレイな……」

福「……ム?」

東「……」


ドーーン!
パパーーン!

次々と夜空に開く花火。


4人組「……」


周りの歓声とは逆に、テンションが下がっていく4人組。


新「なんか……」

荒「ショボくね?」

福「期待していたのと違う」


花火はバリエーションが少なく、色彩も地味で、小さくて、興を削がれる代物だった。



東「フハハハ」

東堂が笑いながら説明する。


東「花火技術は日本が世界一だからな。こっちの人間が日本の花火を見たらきっとミラクルだと腰を抜かすだろう。知らぬが仏」

新「アメリカの花火だからきっとでかくて派手なんだと思ったよ」

福「花火作りは繊細さが要求される、か」

荒「ガッカリ感パネェ」

ブーイングする3人。


東「フフフ。では口直しに土産物屋でも覗きに行こう」


一行はショップへ入って行った。


福「ム!広い!」

新「すごい品揃えだなぁ!」

荒「目移りするぜ」

3人は興奮気味にキョロキョロしている。


東「慌てるな。今日は目星を付けるだけにしておけ。最終日にもう一度来るから。今だとついつい買い過ぎてしまうからな」

東堂が注意する。


東「衣類はお薦め出来ん。デザインは良いが生地も縫製も未熟だ。洗濯すると袖が伸びる」

荒「ギャハハ!」

福「欲しいTシャツがたくさんあるんだが」

新「マジでデザインはイカスんだけどな。残念だなぁ」

荒「寝間着としてならイイんじゃね?」

福「なるほど。ではそうしよう」

新「……」


荒北とお揃いの寝間着を買いたい、と一瞬思ったが口に出せずもどかしい新開であった。




その後も一行は様々な店を見て廻り、程よく疲れてホテルへ帰って来た。


明日は今日とは別のテーマパークで遊ぶ予定だ。

ゆっくり休み、明日の朝はカフェテリアで集合することにした。





新「花火見るって言った時さ……」


新開がバスルームから出て、冷蔵庫から8upを取り出しながら言う。


荒「ン?」

先にシャワーを浴びた荒北は、ベッドに寝転がりテレビを見ている。

新「花火見上げながら、下でコッソリ靖友と手を繋ごうって思ってたんだ」

8upをグイッと一口飲む。


新「そしたらあんなショボい花火でさ。ムードも何も無かった。ははっ」

荒「ヘッ。ヨコシマなことばっか考えてっからバチ当たったンだろ」

荒北は手を伸ばして新開の8upを奪い、グビグビと飲み干した。


荒「プハー!ゲフ。こっちの炭酸飲料ってホント体に悪そうだナ!人工甘味料の味が毒々しいぜ!」

ガコン。

空き缶をゴミ箱に放る。


新「なぁ靖友……」

ギシッ。

荒北のベッドに膝を付き、肩にキスをしながら新開は囁く。


新「せっかく持って来たから使わせて……」

荒「なにを?」


新「……バイブ」

荒「!」


荒北は真っ赤になって飛び上がった。




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