感性の言語化、感情の言語化
先日、感性や感情だけで仕事をしてきて、限界を感じているという人の話を聞いた。そこで言語化と感性や感情について少し考えてみる。
・感情と感性
・言語化力
とされている。
先に伝えておきたいのが、私自身は感性や感情を大切にして行動するタイプだ。
ただ、3-4年前くらいから言語化の大切さを痛感し始め、考えていることを言語化するようになった。
その経験を元に、言語化の重要性についてお伝えできればと思う。
私は冒頭に述べたように感性と感情を大切にして行動している。
また元々はクリエイターでもあり、自分で事業をやっていた。端的に言えば、この職業が「言語化の重要性」の認識を阻害していたと思う。
では、具体例を使って説明しよう。
以下は、一般的に言語化の重要性を説く際に用いられる理由と、それに対する私の異論である。
自分の考えが分からなくなった際に立ち返ることができる
→ (そのときの感性や感情を大切にしているから、立ち返ることはない)より深く考えることができる
→ (考えていてもしょうがない。まず行動することが大切だと思っている)相手に納得してもらいやすくなる
→ (言葉より実物を作った方が納得してもらえる。また、共感してもらえる人にだけ共感してもらえればよい)
多分これらの異論は、間違っているわけではない。
では、なぜ言語化は大切だと言われるのか。
私の考えと一般的な考えとの間にある隔たりは何なのか。
それは、「スタンスが違った」ことである。
実は、一般的に言語化を重要とする理由は「会社員のスタンス」から考えたものであり、私自身の異論の根底にあったのは染み付いた「クリエイターのスタンス」だったのだ。
(飲食やアパレルでは経験したが)会社員はどんなプロジェクトであっても進める際には必ず誰かから「承認」される必要がある。そして「承認」を受けるにあたっては、相手に納得してもらう必要があり、そのためには深く考えることが必要になってくる。
また物事を深く考えていると、思考が混乱していくので、そもそもの問題が何から始まっていたかなどを振り返る、原点に立ち返り、感情を見つめる、本質もつかむことが必要とされる。だからこそ、「言語化」の大切さが叫ばれているのだ。
一方で、私は「クリエイター」という職業に就いていた。
クリエイターには「物事を深く考え、それを元に制作をする」人もいれば、「とりあえず行動し、その経験から改善する」人など、本当に多種多様なタイプの人がいる。
そして、その中で私が実践していたのは、「とりあえず行動し、その経験から改善する」人だった。
そのときのことを振り返ってみると、特に「言語化能力」が高くなくても事業を成功させている人は多く、そのような方達に憧れていたのであろうとも思う。
言語化の重要性を認識したきっかけとは
では、そんな私がどのようにして「言語化の重要性」を認識したのか。
それは就労移行支援事業所で「SST(ソーシャルスキル・トレーニング)を実施すること」と「60分スピーチをすること」がきっかけだった。この二つに関しては、自分の考えや感情を言語化し、相手に説明する必要があった。人の心を動かすのはいつだって感情である。
そして、その経験を通して「言語化の重要性」を認識し、練習(実践)を繰り返すことで、昔は苦手だった言語化を少しずつできるようになっていった。今となっては、noteで自分の考えを簡単に言語化するまでにはなっていると思う。
一方で、自分の言語化能力はまだまだ低い、まだまだ訓練が必要だとも感じている。
「いい言葉」とは、その言葉によって何かが動いたり、変わったりする言葉だ。どれだけ美しい言葉でも、誰にも届かず、何も動かせなければ意味がない。たとえば、相手が自分に関心のないときに「ご飯に行きませんか?」と誘ってみる。おそらく「嫌です」と言われてしまい、ご飯には行けないままだろう。
では、「すき焼き、お好きでしたよね?」「今日○○さんが誕生日なんですよ。寿司屋、予約してるので一緒にどうですか?」と言ったらどうだろう。来てくれるかもしれない。「芝にあるトマトすき焼きのお店、ご存じですか?」もいいだろう。何かしらの変化を起こせる言葉が「いい言葉」である。
言語化能力はどんな人を目指すにしても必要
「言語化の重要性」を認識した今では、「言語化能力」はどんな人を目指していても必要だと考えている。
現実的にいえば理由は以下の3つだ。
他人を説得することができれば、より大きなことを成し遂げられる
優秀な人材と一緒に活動するためには必須なスキルである
自分の考えを文章として残せることに大きな価値がある
1つ目については、自分一人でできることには限りがあるということだ。
それは自分に共感してくれる人が数人いても同じこと。
「数は力」とはよく言ったもので、人数が多いほど有利になってくる。
そういった意味で、他人を説得し仲間を増やすことができれば、成功する確率は上がるのである。
2つ目は、優秀な人材と活動をする際には、通常よりもより正確な「認識のすり合わせ」が必要だ。
そしてその「認識のすり合わせ」の際には、自分の考えを言語化することが求められる。認識のズレは、全く見当違いの成果を生んでしまうこともあるし、仲間割れの原因にもなりかねない。
3つ目は、感性で動く私は「過去は振り返らず、今の感情に従って生きるタイプだから、文章として残しても意味ないよ」と思っていた。
しかし、実際に言語化するようになってから、自分に関して今までになかった気づきや発見を良くするようになってきた。
そして、「直感ではこうだと思っていたけど、本心ではこう考えていたんだな」というような場面が増えてきたのも大きな変化だ。
言語化能力が上がると、自分の本質がより鮮明になる。
そして本質が鮮明になればなるほど、より効果的な行動を取れるようにもなった。
結論を言ってしまうと「言語化能力」は全ての人に必要である、と言える。
言語化能力の鍛え方
これについては、実践あるのみだ。
とにかく実践の場を増やすことを意識しよう。
個人的にオススメなのは、言語化能力の高い人と話をすることだ。
コンサル会社や塾などを経営する後輩がいる。彼は言語化能力が非常に優れている。数年前まで主治医だった先生からの影響もかなり受けている。
その後輩とはよく意見交換をしたり、事業について話し合ったり、その過程で彼から多くのことを学んでいる。
このように参考になる人、目標となる人が近くにいると、より言語化能力を成長が促進されると思う。(心理学的には、発達の最近接領域と言うようだ)
ちなみに彼は先天的に高い言語化能力を持っていたというよりかは、努力でその能力を鍛えていったと思っている。
最後に
経験上、言語化能力はすぐには上がらないと思う。
私はこの数年で300-400冊くらいは本を読んだ。現状、言語化能力がほぼないと思うのであれば、言語化できるようになるまでに恐らく2年はかかるかもしれない。
もちろん「言語化能力」はなくても生きてはいけるが、あればとても強力な武器になる、と言えるのではないだろうか。
ただ、言語化能力を鍛えるためにはそれ相応の時間が必要である、ということも認識しておこう。
言葉は武器だ。社会現象を起こし、世の中を変えることさえできる。たとえば、「イクメン」という言葉ができたことで父親の育児参加が促進された。「おひとりさま」という言葉によって孤食の市場ができた。
かつては感性のみで勝負していたが、現在は感性や感情を適切な言葉でアウトプットできるようになった(たぶん)。例えば社内コンペで勝負する時などは、感情を言語化できるかどうか、という部分で結果を大きく左右するだろう。すると、自分の内面と向き合い言語化する必要に迫られる。と言うことは、感性も感情も言語化力も欠かせない、どれも必要であると言える、ということが最適解ではないだろうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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