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Base Ball Bear 『天使だったじゃないか』 に寄せて

2月末に Base Ball Bear の Mini Album『天使だったじゃないか』がリリースされてから、繰り返し繰り返し聴いては、「天使だったじゃないか」ってどういうことだろう、と考えていた。今、ぼんやりと辿りついた答え、というか感触のようなものを記しておこうと思う。 「天使だったじゃないか」 それは、人生がひとつの物語に回収されてしまう前の混沌と雑然に対する賛美なのではないだろうか。 本来、生活は要約できないものだし、人生は物語にしなくていい。朝起きて顔を洗って歯を

    • 凛として時雨 × syrup16g @ 渋谷公会堂→ the telephones 「mirror ball has come -season2-」 @ 代官山UNIT (2024年4月7日)

      2024年4月7日、晴れて暖かく桜も満開の日曜日、久しぶりにライブをはしごした。 まずは、凛として時雨と syrup16g のツーマンを見に渋谷公会堂に行く。新しくなった渋谷公会堂に行くのは今回が初めて。綺麗な施設だった。ライブハウスと違いドリンク代がないので、自販機でペットボトル飲料を買う。 ライブは凛として時雨からスタート。 音楽で世界を創造するというのはこういうことか、と思い知らされる緻密で突き詰められた構造と演奏に圧倒される。ちょうど20年くらい前、2000年代中

      • 日記

        2024年3月 FUJI ROCK FESTIVAL '24 に syrup16g が出演することが発表された。 2日目の7月27日、土曜日だ。 これは、本当にすごいことだし、とんでもないことだ。 私が初めてフジロックに行ったのは、2005年だった。COLDPLAY が出た年だ。当時、syrup16g は ロッキンジャパンとサマソニとライジングには出ていたが、フジロックだけは出ていなかった。私はその頃、ライジングだけは行ったことがなく、ジャパンフェスとサマソニは暑すぎてちょ

        • 日記

          2024年1月 □ チバユウスケの献花には行かなかった。行ったら本当になってしまう気がしたからだ。代わりと言ってはなんだけど、献花式と同じ1月19日に渋谷クアトロでモーサムの百々さんがファジーピーチ酒場をやっていたので行ってみた。が、ちょうどタイミングが悪かったのか、人がいっぱいでテーブルが埋まっていて、バドワイザーは売切れ、おつまみも既にあまりなかった。1000円ずつチケットを買うシステムだったので、とりあえず1000円分チケットを購入したのだが、600円の生ビール1杯だ

        Base Ball Bear 『天使だったじゃないか』 に寄せて

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        • 音楽レビュー・ライブ感想
          35本

        記事

          MY BEST ALBUMS OF 2023

          □「Camera Obscura」People In The Box □「PILGRIM」LOSTAGE □「luminous」ART-SCHOOL □「石のような自由」家主 □「Bilk」Bilk □「This Stupid World」Yo La Tengo □「HOLLOWGALLOW」dip □「感覚は道標」くるり □「Hadsel」Beirut □「花降る空に不滅の歌を」a flood of circle

          日記

          2023年12月5日(火) チバユウスケの件で、自分でもおどろくほど落ち込んだ。 知らせを聞いて、最初に出てきた言葉は「やってられない」だった。 やってらんない。 11月の初めに、モーサムの百々さんの生誕イベントでラストに百々和宏・ヤマジカズヒデ・ウエノコウジ・キュウちゃんで「世界の終わり」をやった。 そのときから、わずかにいやな予感はしていた。 だけど、それに気づかないふりをした。だってそんなはずはない。 こんなにみんなが待ってる。絶対戻ってきてくれる。そう勝手に信じる

          雑感

          □ 微妙な違いなんだけど、「絶対ライブ来てほしい!」て言われたら「行きたい!」て思うんだけど、「必ず足を運んでください」とか「必ず全員集合してください」と言われると、行きたくなくなってしまう。 □ SNSで「仕事がない」と言っている人、私よりは数倍仕事ある説。 □ ミスチルを聴いても何も感じない人間になってしまった。中学生の頃はあんなに好きだったのに。あのメロディーに、コード進行に、歌詞に、桜井和寿の声に、一時はあんなにのめりこんだのに、ある日魔法がとけるみたいに何も思

          KINOSHITA NIGHT 2023

          KINOSHITA NIGHT 2023 2023年10月15日(日)@ Zepp DiverCity Tokyo 木下理樹の45歳生誕祭として開催された「KINOSHITA NIGHT 2023」に、 ART-SCHOOL・syrup16g ・POLYSICS という UKP所属の同世代激濃厚バンドが大集結。2000年代初頭からこの3バンドを聴いていた世代にとっては、2023年にこの対バンを目撃できるなんて、奇跡の夜。 チケット取れてマジでよかったぜ。 トップバッターは

          UNDER THE COUNTER ONEMAN LIVE 「 Hello, Today 」 感想

          2023年10月7日、渋谷LUSHで開催された UNDER THE COUNTER の ワンマンライブ 「 Hello, Today 」 に行ってきた。 2013年に解散した UNDER THE COUNTER の、10年ぶりの一夜限りのライブ。(オリジナルメンバーでのライブは13年ぶり)。発表されたときは、なんだか信じられない気持ちだったが、すぐに、これはなんとしても行かなければいけないやつだ、と思った。 当日、ライブハウスに入ると既に人がいっぱいだった。わりと後ろ

          UNDER THE COUNTER ONEMAN LIVE 「 Hello, Today 」 感想

          日記

          2023年8月20日〜9月30日 9月5日に下北沢線路街「空き地」で行われていた、佐々木亮介(a flood of circle)と ホリエアツシ(ストレイテナー)のフリーライブを見に行った。 18時半過ぎに着くとすでに人がいっぱいで、ギリギリ見えるか見えないかみたいな位置からホリエさんの弾き語りを見たのだが、これがめちゃよかった。ホリエさんのつくる曲って、ネオアコっぽいけどそうも言い切れなくて、ヨーロッパっぽいけどそうでもない感じもして、アメリカっぽいけどそれもなんか違う

          日記

          2023年8月8日〜19日 ひとつ重要なミッションをクリアし、ほっとした。途中うまくいかなくて焦りまくったが、なんとか完了させることができてよかった。 部屋もおおかた片付いた。ダンボールがなくなり、追加で購入した棚に大量の雑誌や文庫本も収まり、ラックに服も収まった。 吉祥寺に雑貨を見に行ったり、四歩で定食を食べたりした。タラのトマトソース定食。サラダ、ナスとシシトウの煮浸し、わかめときのこのみそ汁、ナムル、十穀米、柴漬け、卵焼きが付いていた。味つけがやさしくてちょうどい

          日記

          2023年7月31日〜8月7日 7月31日 東京の街に出て来た。 8年ぶりの東京、2度目の上京である。 くるりを聴くしかない状況である。 前の家を出て歩き出した瞬間、元気になったのでなんかウケた。重い荷物もへっちゃらだった。 駅のホームでは蝉が鳴いていた。シロップのレコードを入れたデカいボストンバッグを肩に担いで、汗だらだら流しながら東京へ向かう。車窓からは朝の光を浴びてすくすくと育つ緑が見えた。 新居に着いて、引越し屋さんも来て、無事に荷物も運びこまれた。引越し屋さん、

          syrup16g Tour 20th Anniversary “Live Hell-See” 感想

          syrup16g Tour 20th Anniversary “Live Hell-See” が、2023年6月1日から7月13日まで全10箇所で開催された。 2003年にリリースされた 4th Album『HELL-SEE』の20周年を記念して開催されたこのツアーでは、当時と同じように本編は『HELL-SEE』をアルバムの曲順のまま15曲演奏するというスタイルで行われた。 そのため、次にどの曲をやるのかということは予め分かっていたのだが、にも関わらず、曲がはじまるたびに自

          syrup16g Tour 20th Anniversary “Live Hell-See” 感想

          最近聴いた音楽(2023年5月〜6月)

          □「Break In」 New Dad □「Flimsier」King Krule □「ÁTTA」Sigur Rós □「ひみつスタジオ」スピッツ □「e o」cero □「どこだっていい」曽我部恵一 □「シュガー」極東飯店 □「自由」tofubeats □「Camera Obscura」People In The Box □「luminous」ART-SCHOOL □「きかいにおまかせ」家主 □「All Things Must Pass」George Harrison バ

          最近聴いた音楽(2023年5月〜6月)

          People In The Box 『Camera Obscura』 (2023年5月リリース - 8th Album)

          バランスが変わった。 それが『Camera Obscura』を聴いた後、最初に抱いた感触だった。 2023年5月、約4年ぶりにリリースされた People In The Box(以下「ピープル」) の 8th Album『Camera Obscure』。 このアルバムは、寓話と隠喩によって強烈に現実を炙り出してきたこれまでの People In The Box の作品とは少し感触が異なる。今作においても寓話や隠喩はそこかしこに存在しているのだが、その隙間に剥き出しの現実がぼ

          People In The Box 『Camera Obscura』 (2023年5月リリース - 8th Album)

          HARD TO EXPLAIN

          部屋を掃除していたら、2006年のフジロックでストロークスを見たときの走り書きが出てきた。今読み返すと文章は稚拙だが、あのときの熱を少し思い出したので、ここに載せて残しておこうと思う。 HARD TO EXPLAIN - ジュリアン・カサブランカスという光 - 今年の夏、初めて THE STROKES を体験した。2001年に『IS THIS IT』がリリースされたときから THE STROKES の虜になっていたが、ライブを見るのは初めてだった。フジロック3日目、グリー