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男友達の結婚を祝えないのは罪か。


男友達の結婚

先日、仲のいい男友達から、いきなり

俺、結婚するんだ

と言われて、卒倒しそうになった。

ショック死寸前で何も言えなかった。
心から「おめでとう」だなんて、到底言えなかった。

最近、「結婚ラッシュ」という言葉の意味を、身をもって実感する。
この半年で実に10人以上の知り合いが結婚した。

でも、男友達からの結婚報告は、未だに慣れない。
正直なところ、毎回結構こたえる。

前々から「結婚しそう」と聞いていた時は、まだマシで、「ついに来たか」と納得するが、一番タチが悪いのは、突然結婚を報告してくるケース。
彼女の話すら、これまでろくにしたことなかったじゃねーか、と内心、半ギレになる。

友よ。
頼むからいきなり結婚報告をしないでほしい。
こちらにも心構えというものがある。

ちゃんと、長い時間かけて情報を小出しにしてほしい。

「昨日帰ったらゼクシィが置いてあったんだ」 とか、
「週末に彼女の親に挨拶に行ったんだ」 とか。

前々からフラグを立てておいてくれれば、こちらも「そろそろ、こいつ結婚するんだろうな」と心の準備ができる。

男友達の結婚の何が悲しいって、もう今までと丸っきり同じ関係ではいられないということだ。

今まで架空の存在だった彼女とかいう奴が、ちゃんとこの世に実在したということを思い知る。
突然、友達の奥に女の影が見え始める。

この人から卒業せねば」と思う。


泣きたくなった時に電話したり、
二人で飲みに行って終電まで愚痴ったり、
そういうことを、もうしちゃいけないんだろうな、と悟る。

それをやると、日本ではあんまりいい顔をされない。

以前、母から「結婚したら男友達と今のようにつるむのは辞めた方がいい」と言われて、ショックを受けた。
母には男友達がいない。
高校の同窓会には行くけれど、サシで会ったりはしない。
それが結婚を安泰に続けるための暗黙の了解らしい。


結婚したら、どうして異性の友達とサシで会っちゃいけないのか。


頭では分かっているけれど、心では正直、納得できていない。

前に夏の夜に、男友達とビアガーデンでビールを飲んでいた時、
ふいに「この関係がずっと続けばいいのに」と思った。

この先、お互い誰かと結婚して、子供が生まれて、年をとって、ジジィとババァになっても、変わらずこうして夜風の中でビールを飲めたらいいのに、と。

それ以上でも、それ以下でもなく。

海辺の二人


付き合いたくない、でも好きでいてほしい

男友達の結婚にショックを受ける気持ちを、どういうわけか周囲の人に全然理解してもらえない。
から、赤裸々に書いてみる。

かつて、映画「羊たちの沈黙」の中で、レクター博士は

「欲望とは自存するものではなく、『それを満たすものが目の前に出現したとき』に発動する」

と言ったが、その逆もあると思う。

つまり、欲望は、今まであったものが突然取り上げられてなくなった時にも発動すると思う。

男友達の結婚は、まさにこの状態。

「この人は他人のものになるんだ」と気づいてから、いかに自分がこれまでこの人に依存していたかを思い知る。

そして、突然、「私からこの人を取り上げないでほしい」という独占欲に似た感情が芽生える。

どうして男友達に独占欲を感じるのか。
これは、ややブラックな話である。

簡単に言うと、「付き合いたくない、でも好きでいてほしい」という、とてつもなくわがままな感情が背景にあるからだ。

恋人は重い。
楽しいことももちろん多いけれど、その分面倒なことも多い。

その点、友達は楽。
会いたい時だけ、ご飯に誘えばいい。

それに加えて、異性の友達は、「女の子扱い」をしてくれる。
小さなことで言えば、お会計を少なめにしてくれたり、重い荷物を持ってくれたり。
女友達との女子会では出会うことのない、やさしさに出会う。
恋愛の真似事みたいなことをしてくれる。

この距離感が、とてつもなくちょうどいい。

男友達は、気楽なのに女の子扱いしてくれる、いわば「おいしいとこどり」の関係なのだ。

付き合いたくない、でも私のことを好きでいてほしい。
というわがままな欲求を、形式上、満たしてくれる。

以前、元彼から食事を誘われて断ったら、「まだ俺に未練があるのか?」と言われたことがある。
驚いた。
ただ会いたくなかっただけなのに、未練があると勘違いされた。

その時、

男の子って、どうして別れた女がずっと自分のことを好きでいてくれると思うんだろう

と思った。

でも、私も全く同じだ。

男友達から結婚報告を受ける時、

どうして、この人がずっと私だけの友達でいてくれると思っていたんだろう

と、突然、夢から覚める。

「付き合いたくない、でも好きでいてほしい」が満たされなくなる瞬間。
ありありと「お前が一番ではない」という現実を突きつけられる。

そういう意味で、多分、友達から結婚報告を受ける度に、私はちょっとだけ失恋している。

99%の友愛と1%の乙女心から成立しているこの関係は、そのやましい1%がゆえに、続けることを躊躇してしまう。
奥さんがいる手前、100%友愛の清く正しく美しい関係を構築しようと思うと、疎遠になってしまう。
どうやら、私は1%のやましさがないと、男の子と仲良くなれないらしいという、悲しい現実に気づいた。


結婚しても99%の友愛で接することは罪か。

99%の友愛で夏の夜に二人でビールを飲むことは罪か。

男友達の結婚を祝えないのは罪か。



恐らく、罪にはならずとも、是ではないだろう。
自分の旦那にちょっとでもやましい気持ちを持った女がいたら、いい気はしないだろう。
そういう遠慮から、私は男友達が結婚すると、ひっそりとその人から「卒業」している。

いつ何時電話しても、長電話に付き合ってくれる、という甘えから、
つらいことがあったら、夜中まで飲んで笑い飛ばしてくれる、という甘えから、

卒業する。

断腸の思いで卒業する。
もうこの人の一番は他の人なんだから、と自分に言い聞かせて。


男女の友情は、片方が結婚したら、ある意味で終わってしまうんだと思う。

だから、男友達の結婚報告は毎回切ない。

結婚が決まった友に言いたいことは、ただ一つ。

頼むから結婚式には招待してくれるな。


――なぜなら、絶対に泣く自信があるから。


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