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#33 トレーニングは、なぜ必要なのか?

パーソナルトレーニングジム SISEIの宮谷です。

近年のフィットネスブームで、ジムに通って筋力トレーニング(筋トレ)をしたり、早朝や夜にウォーキングやランニングをしている人が増えてきました。

近年の調査では、日本のフィットネス人口も10%(総人口に対して)と増加傾向を辿っています。
それはとても素晴らしいことですね。

しかしその反面、トレーニングの必要性を感じず、まったくされたことのない人が多いこともまた事実です。

今回は、そんな人に少しでも必要性を知っていただきたいという気持ちで、トレーニングを行うメリットについて書いていきます。

筋肉はなぜ必要なの?

まずは大前提として、「筋肉がどのような働きをして、なぜ必要なのか?」について挙げていきます。

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【カラダを動かす】

これは誰もが分かる働きですね。歩く、立つ、座る、腕を回す、カラダを揺らすなど、生活の中でのさまざまな動きは筋肉がなければできません。
走ったりジャンプしたりなどの激しい動きでなくても、姿勢の維持にも無意識に筋肉は使われています。


【カラダを守る】

筋肉は体を守ってくれる鎧みたいなものです。転んだときや何かにぶつかったときに、骨や内臓を衝撃から守ってくれるクッションのような働きをします。

高齢者の方が転んで骨折してしまう原因は、筋肉の減少や骨がもろくなる骨粗しょう症だと言われています。
骨は長軸に対して負荷がかかることで骨密度が増すことが研究により分かっており、筋トレは筋肉だけではなく骨を強くすることもできます。


【熱を産む】

筋肉は体温を維持するための熱を産みます。そのとき、糖質や脂質などをエネルギーとして消費しています。筋肉が多い人はたくさんの熱を産むため、それだけエネルギー消費量も高くなります。「筋肉が多い=太りにくい」のはこのためです。

筋肉が多い人は体温が高くなるため、暑がりで汗っかきな人が多いです。
肥満の人のほうが暑がりという印象があると思いますが、脂肪が壁となって熱放散が上手くできず、体温が下げれないことで異常に発汗してしまうことが原因なので、健康的な汗ではないと言えます。


【血液の巡りをよくする】

血液をカラダ中に送る働きは心臓だけではありません。筋肉が縮んだり伸びたりすることによって、血液の循環を助けています。特に心臓から遠位にある足先は血液の循環が悪くなりやすく、ふくらはぎの筋肉がポンプの働きをして血流を促していることから、「ふくらはぎは第二の心臓」と呼ばれています。

座りっぱなしや立ちっぱなしなど、動かずに同じ姿勢でいると、足がむくんだり肩こりが起こったりしますよね。これこそ筋肉が血の巡りを助けている証拠です。


トレーニングを行うメリット

筋肉の必要性は感じていただけましたか?
次は、筋力トレを行うことのメリットについて見ていきましょう。

Image by EDUARDO from Pixabay

① アンチエイジング

筋トレは「究極のアンチエイジング」だと僕は思います。
それは何か高価で特別なものを摂取したり塗布したりすることなく、人間がそもそも備えている筋肉によってアンチエイジングできるためです。

では、なぜ美容に効果的なのでしょうか?

ポイントは「成長ホルモン」にあります。
成長ホルモンにはターンオーバーを促進させ、髪の毛や皮膚の修復などを早める働きがあります。

成長ホルモン分泌の流れ
1. 運動をして疲労がたまる
2. 疲労がたまると乳酸が発生 
3. 乳酸が血流によって脳まで到達 
4. 成長ホルモンの分泌を刺激

※「乳酸」については、過去の記事で詳しくお話しております。
ご興味のある方は、併せてお読みください。

トレーニングによって分泌された成長ホルモンが、筋肉だけではなく肌や髪までも綺麗にしてくれるなんて驚きですね!

趣味でスポーツやトレーニングをされている人が元気で若々しく見えるのは、体力や筋肉が身に付くだけではなく、この「成長ホルモン」も大きく影響しているのだと思います。



② ダイエット効果

若年層〜中年層のトレーニング動機の多くが「ダイエット」ですね。
筋トレにダイエット効果があることが、一般的にも知られているからですね。
では「なぜトレーニングがダイエットに効果的なのか?」を改めて見ていきましょう。

◆ 消費カロリー(基礎代謝量)の増加

筋トレをして筋肉が1kg増えたと仮定しましょう。
筋肉1kgの1日の消費カロリー(基礎代謝量)は13kcalと言われています。

しかし、それは筋肉だけの消費カロリーのみを考えた場合です。
最新の研究では、内臓の活性化や血流の増加、ホルモン分泌や交感神経の活発化などのさまざまな要因を含めると、筋肉が1kgつくことで1日に消費するカロリーは50kcalになると言われています。

〈1日に消費されるカロリーが50kcal増えるということは…〉

1年間安静にしていても、
50kcal ×1年(365日) = 18,250kcal が消費されることになります。

体脂肪1kg = 7200kcalなので、
18,250kcal ÷ 7200kcal = 2.5kg
1年で2.5kgの体脂肪が減っていくことになります。

これはあくまで仮説ですので、1年間安静なんかしていられませんね。
筋肉量を維持するためには食事や睡眠はもちろん、トレーニングを継続させる必要があります。
詳しく知りたい方は、下記の公式インスタグラムを参照ください。


◆ 成長ホルモンの影響

「成長ホルモン」にはアンチエイジング効果のほかに、体脂肪を燃焼させる効果もあるとされています。

成長ホルモンには脂肪を分解する作用があるので、成長ホルモンが足りないと「メタボ」になってしまいます。逆に「メタボ」の人は成長ホルモンが出にくくなっています。年齢とともに太りやすくなり、メタボ体型の人が増える理由として、成長ホルモンの分泌が下がってしまうからだとも言われています。

成長ホルモンの分泌量は17歳前後の思春期にピークを迎え、それ以降は徐々に減少を続け、25歳から急激に減少します。
30〜40代でピーク時の約1/3、50代で約1/5と分泌量がどんどん減ってしまうので、加齢とともに太りやすくなってしまう一因だと考えられています。

トレーニングで成長ホルモンの分泌を活性化させることは、アンチエイジング+ダイエットと美容面でも一石二鳥なんですね。

◆ エネルギーの貯蔵

「糖質を摂ると太りやすくなってしまう」という声をよく聞きます。
確かに糖質を摂りすぎてしまうと太るのは事実です。これは余った糖質が筋肉という貯蔵庫から溢れ出てしまうからです。筋肉から溢れ出た糖質は、行き場をなくして脂肪に変わってしまいます。

筋肉には筋グリコーゲンとして、糖質を蓄えておく働きがあります。
筋肉量が多い人ほど貯蔵庫が大きく、また消費カロリーも多いことから、食べても太りにくい体質になれるのです。

◆ ベージュ脂肪の増加

脂肪には蓄える脂肪の「白色脂肪」と、燃焼して熱を産む「褐色脂肪」「ベージュ脂肪」の3つがあります。
「白色脂肪」はお腹周りなどについてしまう、みなさんが想像する脂肪のことです。「褐色脂肪」「ベージュ脂肪」は体温を保つために、エネルギーとして燃焼される脂肪を指します。

脂肪を燃焼させる褐色脂肪やベージュ脂肪を増やすことが、ダイエットには重要です。
しかし残念ながら褐色細胞を増やすことは10代しかできなく、それ以降は減少していくことが分かっています。
もう一つのベージュ脂肪だけは、年齢に関係なく増やすことができるのです。

ベージュ細胞を増やすためには、2つの方法があります。

1つめは「寒い環境に長くさらされること」と、2つめは「筋肉に刺激を与えること」です。
1つめは厳しい寒冷地に生まれ育たたないと満たされない条件ですが、2つめは筋トレをすることで満たされます。

筋トレによる筋肉への刺激によって筋肉内で分泌されるイリシンは、白色脂肪細胞を褐色化させ、ベージュ細胞に変換します。

イリシンとは…
マイオカイン(骨格筋から分泌される生理活性物質の総称)の一種です。筋トレによって分泌されるさまざまなマイオカインは、肝臓のグリコーゲン分解、動脈硬化の予防、認知症予防、ガンの発症リスクの軽減など、人間のカラダに
多種多様な健康効果をもたらせてくれます。

筋トレをすることは単に脂肪を燃焼させて太りいくいカラダを作るだけではなく、さまざまな病気から守るためにも重要なのです。



③ ストレス解消

筋トレやスポーツがストレス解消になることは、一般的によく言われていることですね。では、なぜストレス解消になるのでしょうか?

◆ 筋肉の収縮

筋肉は強く活動した後、より弛緩するという特性を持っています。
この特性を活かしたリラックス方法で、治療にも使われる「漸進的筋弛緩法」があります。仰向けに寝た状態で、足の先から頭の先までの筋肉を順番にギュッと力を入れ、直後にリラックスさせて緩めると、全身の筋の緊張がほぐれるというやり方です。
筋トレも大きな力を短時間で発揮させる運動ですので、トレーニング後に全身が弛緩してリラックスする効果はあります。

◆ 自律神経を整える

筋力トレーニングの最中は交感神経が活性化されます。
力を出すことで交感神経がハイの状態になりますが、運動後はスーッと落ち着きます。カラダが急激に休息モードになるので、副交感神経が優位になり、気分が良くなってリラックスできます
そのため自律神経が整い、ストレスを軽減させてくれるというわけです。

家事や仕事などでストレスが溜まっているとき、適度なトレーニングで自律神経のリズムを整えてあげることが効果的だと考えられます。



④ 健康寿命を伸ばせる

健康寿命とは、「平均寿命」-「要介護の期間」です。
誰の力を借りなくて、自分自身で日常生活が送れる期間が健康寿命ということです。
私達の平均寿命は男性で80歳、女性で86歳で、健康寿命はそれより10年早く、人によってはもっと早まる方もいるのが現状です。

この健康寿命を延ばすためには、前項の「筋肉はなぜ必要なの?」でも触れたように、筋肉をつけることが大切な要因になります。
高齢者の寝たきりになってしまう原因の多くに、不慮の転倒による骨折があります。このような骨・関節・筋肉・神経から成り立つ運動器の故障が起こると、日常生活における立つ・歩くなどの移動機能が低下してしまいます。
この状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」と言い、要介護になる前兆の「(身体的)フレイル」を引き起こす確率が上がります。

ロコモやフレイルを詳しく知りたい方は、下記の外部サイトをご参照ください。

健康寿命を延ばすための対策は、高齢者になってからでは遅いです。
筋肉は若年層から徐々に減少していくためです。

◆ 筋肉の減少はいくつから?

筋肉の減少は25~30歳頃から始まります。40歳を境にして徐々に減少していく傾向があり、60歳を超えるとその減少率は加速します。
高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象のことを「サルコペニア」と言います。

サルコペニアは、タンパク質の摂取不足運動量の減少によって、作られる筋肉よりも分解される筋肉の方が多くなることが原因とされていますが、そのメカニズムはまだ完全には判明していません。

しかし、トレーニングによって進行を抑えることが可能であると証明されています。筋力・筋肉量の向上のために、歳を重ねるごとに意識的に運動強度が大きい筋トレを行うことが大切だと、厚生労働省のHPにも記載されています。

「運動強度が大きい筋トレ」を、筋肉の減少が顕著になる40代からいきなり始めることはかなり無理がありますし、無理をして怪我のリスクが上がってしまう危険性があります。
若年層から筋トレを始めて習慣づけ、カラダをトレーニングに慣らしていく必要があります。

またトレーニングを始めてすぐに、筋肉は育つことはありません。年月をかけ、少しずつ徐々についていくものです。
若年層から筋トレを始め、「筋肉の貯筋(貯金)」をしていきましょう!


まとめ

Image by Roy Stephen from Pixabay

筋肉やトレーニングの必要性について、お分かりいただけたでしょうか?

筋肉と言うと上の女性のようなカラダを想像し、「筋肉はいらない」と言われる人もいらっしゃいますが、逆にこんな筋肉になることのほうが難しいです。
過酷なハードトレーニングをほぼ毎日やり続けないとなり得ないからです。

Image by CanCam.jp

細い人、ぽっちゃりな人、どんな体型の人でも筋肉を使って日常生活のすべての動作を行っています。
体型の差は、食事などによる摂取カロリーや動くことによる消費カロリーの個人差によっても生まれますが、筋肉量による基礎代謝量の差も大きく関係しています。

image by illustAC わいるどべあ

人間のカラダは骨から形成される骨格に筋肉が360°ついていて、その筋肉がバランスをとって働くことで真っ直ぐ立ったり、歩いたり走ったりしています。
この全身の筋肉のバランスが崩れたり、一部の筋肉が上手く使えなくなったり、筋力が衰えてくると姿勢が歪んだり、正常にカラダが動かなくなったりするのです。

このように筋肉は、人の体型や姿勢、動作に大きく影響しています。
今回お話ししたさまざまな働きが筋肉にはあり、その筋肉を鍛える筋トレをすることは、人が健康に生活するための素晴らしい効果がいっぱいあります。

何歳になっても若々しく、いろいろなことに活動的にチャレンジできる、そんなカラダ作りをみなさんも始めてみませんか?


最後までお読みいただきありがとうございました。
今回のお話はいかがだったでしょうか?

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