じらふ。

同性パートナーのナチコとふたりで生きるきりん。だいたいの話が体験談。妊活や公正証書など…

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同性パートナーのナチコとふたりで生きるきりん。だいたいの話が体験談。妊活や公正証書などナチコとの関係については『小さな家族の話』にまとめています。

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    ふたりで母になる決意をしたレズビアンカップルの記録。写真は全て私たちの生活を切り取ったもの。一般社団法人こどまっぷさんについてはコチラ→ https://kodomap.org

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    『愛満ちて母になる』以外の徒然なる話

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七色飯

私たち母娘の関係がここまで悪化したのは、母が絶対に取ってはならない質を取ったせいだった。 たった一言で25年間かけて築いてきた彼女と私の関係はあっけなく崩壊した。 ことの発端は、本当に些細なこと。 いつだってそう、彼女と私の口喧嘩の原因は寝て起きれば忘れるようなくだらないこと。今回のきっかけは覚えているけど、わざわざ人様にご説明するようなことでもない。 何がしの用で母がかけてきた電話中、軽くぶつかった拍子に火種が思わぬ方向に飛んで広まった大火事。 母は私のためなら時

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    • 自分が踊る必要はない

      母は私に何でもかんでも与えてしまう人だった。 私のためなら時間も苦労も惜しまない。 お習字にピアノ、英語教室、日本舞踊、バレエ。 いわゆる『お嬢様』が嗜む習い事はひと通り経験させてくれた。 (先に断っておきますがうちは特別家柄がよいわけでも祖父から多額の遺産を受け取ったわけでもなく、ごく普通の一般家庭です。ていうかじぃさん健在。) 英語教室には一年近く通った記憶があるけど、同級生の男の子と喧嘩をして辞めた。原因は忘れもしない、お気に入りのワンピースを馬鹿にされたから。

      • 未来を生きる人へ②

        2020/11/10 午後1時 足立区役所区議会棟8階 ------------------------------------------- また、政治家の前にいる。 荷物を下ろして一息着く間も無く、あちこちから名刺を差し出され、返すものがない私はただ笑顔で受け取るばかりだった。まさかここで会社名義のそれを出すわけにもいかない。 私はメディアの人間だ。 ひとしきり挨拶も済んで一同着席。 なんでだろう 前回よりずっと落ち着いている。椅子の座り心地がいいとか、テー

        • 未来に生きる人へ

          2020年10月29日 午後2時30分 足立区役所の区議会棟8階 --------------------------------------------- やたら乾いた空気で満ちたその部屋は、8:2くらいの割合でエリア分けされていた。規則正しく並んだ席は相手陣地と向かい合う形で厳しく並んでいて、私に用意された席は劣勢エリアの最前列にあった。背後にプロジェクターの光を受けるスクリーンと、偉そうな演台がどっしり構えている。どこぞの議員が問題発言をしたときなんかにニュースで見か

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          関西オカンの後押し

          ナチコの両親へのカミングアウトから3週間が経過しました。 私の心は今、嵐の真っ只中にいます。 事の始まりは3日前に実家の母からかかってきた一本の電話。 近状報告の流れで先日のカミングアウト騒動について知らせたところ、相手両親と会ってみたいとの申し出を受けたのです。私とナチコは結婚式も両家の交流もまだずっと先のこととして捉えていたので、まさかの発言に電話口で言葉を失いました。 よく考えてみてば当然の流れかもしれません。 あ、先に申し上げておきますが今回の記事は心の整理

          関西オカンの後押し

          衝撃のカミングアウト

          お久しぶりです。 このマガジンに最後の記事を投稿してからひと月が経過しました。 皆様いかがお過ごしですか。 自粛待ったなしのエンタメ業界に身を置いる私はなんと2月末からずーーーーーっと自宅に引きこもる日々を過ごしております。ナチコの方も緊急事態宣言が出た直後に1週間ほど自宅待機となりましたが、ゴールデンウィークが明けてからは通常通りの社会人生活を送っております。 ぶっちゃけさみしいです。 ナチコがいないこと、というより誰とも会話せず家にひとりでいることが。彼女の仕

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          共同生活に性善説は無理がある

          掃除も洗濯もやれる人がやる。 お互いがお互いの負担軽減を目指す方針に憧れるけど、そんな性善説で成り立っているカップルって実際どのくらいいるのかな。 実践できている例は少ないのでは? だってこれ、どちらか一方が自分の"面倒"を優先し続けたらバランスが保てないじゃんね。 相手は私への面倒より自分の手間をかけてくれるだろう、と信じ切れない私がいる。家事なんて必要がなきゃ極力やりたくない。自分のだらしない性格をプライド捨てて肯定してやって、馬鹿正直な本音を言えばあれもこれも自分以

          共同生活に性善説は無理がある

          母のおうち時間

          今朝、母から電話があった。 暇で暇でどうしようもない。 あんたたち一体何して過ごしてるの? とのこと。 ちなみに私はコロナウィルス大流行の影響を受けてかれこれひと月近く自宅待機中。つまり社用スマホ片手に家で過ごすことが仕事だ。とても暇である。 同棲中の恋人(ナチコ)の勤め先はギリギリまで粘っていたけど、先週遂に在宅勤務が言い渡され、今はふたりして1日中家にいる。 バタバタ働き詰めだった時期は 「まとまった休みが取れたらあれがしたい」 「時間ができたらこ

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          奈良、飛鳥の記憶

          幼い頃にふたりで眺めた石舞台。 親子が共有する飛鳥の景色。 私が物心ついた頃から父は仕事一筋だった。 鉄鋼所を営む彼の帰宅はいつも日付をこえたあと。土日どころかゴールデンウィークもお盆もなく、ほとんど年中無休で働いていた。普段より早く起きた日の朝、数分間だけ会える実の父親を私は「また来てね」と言って見送った。 あの瞬間の父の気持ちがどんなだったのか、それを想像するとひどく申し訳ない気持ちになる。 夫がほとんど家にいない分、母は休日ごとに私と弟をあちこち連れて回ってく

          奈良、飛鳥の記憶

          子どもとお金の話

          前回の記事で、子どもにかかるお金を予想すべく数字と格闘していた私たち。 宣言通り詳細なことは書きませんが、ひとまず出した結論とその根拠をまとめてみました。 (以下私の心の声がだだ漏れにつき口の悪さが目立ちます) ①出産までは30万円あればなんとかなる 妊娠中の検診や出産時の入院費、産後の赤ちゃんの検査や管理保育など、子どもが生まれてくるまでにはバカみたいにお金がかかる。それらをすべて足すと50万円前後。国や自治体が用意している手当の種類がとにかく豊富なため、うまく使い

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          優しさに棲む弱虫

          「何者かになりたかったなんて言えるほどドラマチックな人生にすら、なりませんでした。」 私と別れたら線路に飛び込む気です。 とでも言い出しそうな暗い目で自分の人生を振り返っちゃう23歳。ほんと勘弁してほしいなと思いながら、けど最初の話題が予想を外れてほっとした。 久しぶりに対面した彼女は最後に会った時より少し痩せて見えた。落ち着いた深い緑色のシャツは、SNSでみる近頃の私の雰囲気に合わせたらしい。イマドキなカールがかった短い髪をヘアワックスでかき上げ風に整えている。 私が

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          優しさに棲む弱虫

          子育て収支予想

          さてさて、私たちの「母になる」計画においてやるべきことが見えてきました。上から順に •スケジュール計画&収支予想 •公正証書作成 •両親へのカミングアウト •会社への事前報告 どれもなかなか重い… 最初の項目『スケジュール計画&収支予想』いきましょう。 まずは収支予想から!と思って始めましたが、結果的に同時進行でした。まぁそりゃそうよね。 最初に言わせてください これ、ほんとに厄介だった! 信用できそうな行政のサイトから世の中のママたちが悩みを吐き出すための闇深め

          子育て収支予想

          血の通わない親子

          少し話が逸れますが、同性カップルが子供を授かるということは、必然的に精子(もしくは卵子)の提供が必要になります。自分と血縁のない子を持つことに対して抵抗感があるのでは?と思うのは抱いて当然の疑問だと思いますし、実際私も真っ先に心配したのはそこでした。 今回はそのあたりについて、私の考えをお話ししておきたいと思います。 結論から言うと、私は『愛は勝つ』と思っています(ふざけてません) 男女のカップルから子どもが生まれたとき、その子の親として間違いないのは母親だけです。お腹

          血の通わない親子

          カミングアウトの必要性

          前回の記事で生みの親はナチコが適任と判断し、私は生活を支えるべく死ぬ気で働く決意をしました。 この時点で妊活開始までにやるべきことは •スケジュール計画&収支予想 •公正証書作成 •両親へのカミングアウト 順番もこの通りかな。 いやいや、おまえ親へのカミングアウトは済んでるって言ってなかったか? そうです私はカミングアウト済み。子どもがほしいこともバッチリ伝えてあります。 そう、このカミングアウト先はナチコのご両親。ここまで話を進めておきながら大変言いにくい話なの

          カミングアウトの必要性

          血の通った親子

          ひとつ前の記事で若者コンプレックスを脱出した私。 前向きになった途端足取りが軽くなり、ここ最近停滞気味だったことに今更気づく。 私たちの間で『母になる計画』が話題になることがまた徐々に増えていきました。 それでもやっぱり、私たちが社会に出たばかりであることはどうしようもない事実。職場環境に大きな問題はないし、就活時は待遇を重視したのでお給料はそこそも貰えていますが、現時点で成人女性2人+子を養うほどの経済力は私にもナチコにもありません。 となると単純な話、共働きの選択が

          血の通った親子

          若者コンプレックス

          こどまっぷの初心者講座に参加したことで刺激を受けた私たち。公正証書のほかに、実はもうひとつ大きく考えを変えたことがありました。 講座終了後のティータイムは参加者&団体のスタッフがひとつの大きなテーブルを囲んで座りました。 最初にリレー形式で自己紹介することになり、端の人から順番に年齢と名前、子どもがほしい人は妊活中なのか既に妊娠をしているのかなどを公表していきます。既にお子さんのいるカップルや、選択的シングルで妊活中の女性、精子提供を検討中の男性などなど、人によって状況は

          若者コンプレックス