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小さな家族の話

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ふたりで母になる決意をしたレズビアンカップルの記録。写真は全て私たちの生活を切り取ったもの。一般社団法人こどまっぷさんについてはコチラ→ https://kodomap.org
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記事一覧

未来に生きる人へ

未来に生きる人へ

2020年10月29日 午後2時30分
足立区役所の区議会棟8階
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やたら乾いた空気で満ちたその部屋は、8:2くらいの割合でエリア分けされていた。規則正しく並んだ席は相手陣地と向かい合う形で厳しく並んでいて、私に用意された席は劣勢エリアの最前列にあった。背後にプロジェクターの光を受けるスクリーンと、偉そうな

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未来を生きる人へ②

未来を生きる人へ②

2020/11/10 午後1時
足立区役所区議会棟8階

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また、政治家の前にいる。

荷物を下ろして一息着く間も無く、あちこちから名刺を差し出され、返すものがない私はただ笑顔で受け取るばかりだった。まさかここで会社名義のそれを出すわけにもいかない。

私はメディアの人間だ。

ひとしきり挨拶も済んで一同着席。

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関西オカンの後押し

関西オカンの後押し

ナチコの両親へのカミングアウトから3週間が経過しました。

私の心は今、嵐の真っ只中にいます。

事の始まりは3日前に実家の母からかかってきた一本の電話。

近状報告の流れで先日のカミングアウト騒動について知らせたところ、相手両親と会ってみたいとの申し出を受けたのです。私とナチコは結婚式も両家の交流もまだずっと先のこととして捉えていたので、まさかの発言に電話口で言葉を失いました。

よく考えてみて

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衝撃のカミングアウト

衝撃のカミングアウト

お久しぶりです。
このマガジンに最後の記事を投稿してからひと月が経過しました。

皆様いかがお過ごしですか。

自粛待ったなしのエンタメ業界に身を置いる私はなんと2月末からずーーーーーっと自宅に引きこもる日々を過ごしております。ナチコの方も緊急事態宣言が出た直後に1週間ほど自宅待機となりましたが、ゴールデンウィークが明けてからは通常通りの社会人生活を送っております。

ぶっちゃけさみしいです。

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子どもとお金の話

子どもとお金の話

前回の記事で、子どもにかかるお金を予想すべく数字と格闘していた私たち。

宣言通り詳細なことは書きませんが、ひとまず出した結論とその根拠をまとめてみました。

(以下私の心の声がだだ漏れにつき口の悪さが目立ちます)

①出産までは30万円あればなんとかなる

妊娠中の検診や出産時の入院費、産後の赤ちゃんの検査や管理保育など、子どもが生まれてくるまでにはバカみたいにお金がかかる。それらをすべて足すと

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子育て収支予想

子育て収支予想

さてさて、私たちの「母になる」計画においてやるべきことが見えてきました。上から順に

•スケジュール計画&収支予想
•公正証書作成
•両親へのカミングアウト
•会社への事前報告

どれもなかなか重い…

最初の項目『スケジュール計画&収支予想』いきましょう。

まずは収支予想から!と思って始めましたが、結果的に同時進行でした。まぁそりゃそうよね。

最初に言わせてください
これ、ほんとに厄介だった

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血の通わない親子

血の通わない親子

少し話が逸れますが、同性カップルが子供を授かるということは、必然的に精子(もしくは卵子)の提供が必要になります。自分と血縁のない子を持つことに対して抵抗感があるのでは?と思うのは抱いて当然の疑問だと思いますし、実際私も真っ先に心配したのはそこでした。

今回はそのあたりについて、私の考えをお話ししておきたいと思います。

結論から言うと、私は『愛は勝つ』と思っています(ふざけてません)

男女のカ

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カミングアウトの必要性

カミングアウトの必要性

前回の記事で生みの親はナチコが適任と判断し、私は生活を支えるべく死ぬ気で働く決意をしました。

この時点で妊活開始までにやるべきことは

•スケジュール計画&収支予想
•公正証書作成
•両親へのカミングアウト

順番もこの通りかな。

いやいや、おまえ親へのカミングアウトは済んでるって言ってなかったか?

そうです私はカミングアウト済み。子どもがほしいこともバッチリ伝えてあります。

そう、このカ

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血の通った親子

血の通った親子

ひとつ前の記事で若者コンプレックスを脱出した私。
前向きになった途端足取りが軽くなり、ここ最近停滞気味だったことに今更気づく。

私たちの間で『母になる計画』が話題になることがまた徐々に増えていきました。

それでもやっぱり、私たちが社会に出たばかりであることはどうしようもない事実。職場環境に大きな問題はないし、就活時は待遇を重視したのでお給料はそこそも貰えていますが、現時点で成人女性2人+子を養

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若者コンプレックス

若者コンプレックス

こどまっぷの初心者講座に参加したことで刺激を受けた私たち。公正証書のほかに、実はもうひとつ大きく考えを変えたことがありました。

講座終了後のティータイムは参加者&団体のスタッフがひとつの大きなテーブルを囲んで座りました。

最初にリレー形式で自己紹介することになり、端の人から順番に年齢と名前、子どもがほしい人は妊活中なのか既に妊娠をしているのかなどを公表していきます。既にお子さんのいるカップルや

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再会よりずっと前の話

再会よりずっと前の話

難しい話で疲れたので、私たちについて書いてみる。そんなのどうでもいいから妊活の話しろ!って方は飛ばしてくださいませ。

この記録、最初から読んでくださった方はお気づきの通りしれっと私とナチコが再会したところからはじまってるのよ。私たちのことを知らない人が抱いたであろう「再会?」という疑問を置いたまま話がここまで進んじまった。今回はそこのところきちんと振り返ります。

そもそも私たちの出会いについて

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公正証書ってなんだ

公正証書ってなんだ

暑い暑いとぼやくナチコを引きずってどうにかたどり着いたカフェのドアを押し開けると、既に集まっていた人たちの顔が一斉にこちらに向けられた。

おっと私たち、ここにいる誰より若いのでは?

さてさて、前回の記事で妊活初心者講座への参加を決めた私たち。今回は講座当日のお話です。

開催場所は新宿2丁目のとあるカフェ。

入り口近くの席を確保して汗を乾かしていたら、カフェのオーナーであるさとこさんが挨拶に

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味方がいれば泣かずに済む(かも)

味方がいれば泣かずに済む(かも)

子どもがほしい!という共通の夢を追いかけるべく共に生きる道を選んだレズカップル。
気がつけばひとつ年を越してしまっていたけど当初の夢を忘れたわけではありませんでした(決して)

そもそも物件探しの際に契約上ふたりの名前が並ぶことを前提としたのは、子どものいる将来を考えてのことでした。

それは育てるための環境づくりということではなくて、まずは私たちの関係をきちんとしておくべきと判断したという意味で

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目標は生活を共にすること

目標は生活を共にすること

穏やかで特に問題なく生活を続けていた恋人未満なレズ2匹が「子どもがほしい」という同じ希望をもって盛り上がってきたわけですが。

ちなみにまだこの時点で性交渉(あぁ、言っちゃった)なしです。
ここ、まだ恋人未満期間の中間くらいだったはず。

けど子どもを産み育てよう計画が発足してからは時の流れが倍速…
ふたりの目標は"恋人として一緒に生活すること"から"家族になること"になったわけですから、それまで

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