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華麗なる誘惑

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Koji様の素敵イラストから妄想したショートストーリーたち。ヘッダー画像、この小説に使用させていただいたイラストは、すべてKoji様に著作権があります。
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2019年8月の記事一覧

希望の国のマリオネット*あとがき

何かを変えたければ、人ではなく自分を変える必要がある。
自分が変わろうとしないのに、相手のことを変えさせることなんて不可能だ。
自分が変わったことに対して、相手がそれに影響され、変わっていく。それが普通の流れなんだと思う。

それでも、自分を変えることも決して容易ではない。
できないことに悩み、悔やみ、落ち込み。そんな毎日の連続だ。

未読の方はどうぞ。

自分のことを大切にできない人が、一緒にい

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満月の涙*あとがき

涙は、心を浄化してくれるそんな存在だと思う。
涙を流すことで、悲しみを癒すこともできる。
涙を流すことで、嬉しさを噛みしめることもできる。
悲しいときだけではなく、幸せなときも流す涙。辛いときに流す涙。
どの涙も、心を浄化してくれていると私は思っている。

未読の方はこちらから。

星空の美しい空に浮かぶ満月。
満月って、私の中のイメージでは妖艶なパワーを持っている気がするのだ。
その時々の色で、

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魅惑のカルテット*あとがき

美しいバランスって、難しい。
ちょっとでもバランスが崩れるということは、完全にバランスが崩れ始めてるということ。

ダンスでもバランスがよく求められる。そのバランスが格好良く決まれば、すべてが美しく見える気がする。

未読の方はこちらよりどうぞ。

なんとなく、抽象的な楽器に見えて、4つということでカルテットというタイトルが浮かんだ。
私は学生時代にやっていたトランペットとトロンボーンくらいしか、

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氷の微笑*あとがき

何を感じて何を描くのかが自由だからこそ、難しいと感じるのもイラストを見て描くことだと思う。

未読の方はこちらから。

私はこの形がなんとなくソーダ水に浮かぶ氷に見えた。
これがみどり色だったら、間違いなくメロンソーダを思い浮かべて描いていたと思う。
だけどこれはメロンソーダの色ではない。
だったら、何ソーダか?
なんか描くまでに一番悩んだのがそれだったりする。

サイダーだったら透明だ。透明なも

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ジェラシー味の角砂糖を添えて*あとがき

未読の方はまずどうぞ。

このイラストを見たとき、嫉妬という言葉が浮かんだ。しかも、憎悪の嫉妬ではなく、可愛らしいジェラシー。
そんな世界をどう描くか。
ただ薔薇の花を表現するのではなく、角砂糖を選んだ。

私は珈琲が好きだ。ブラックで何杯でも飲める。反対に珈琲が飲めない方は、砂糖やミルクをいくついれてもダメだったりするのだろう。

この薔薇を角砂糖を使ったジェラシーで表現することを決めたとき、珈

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希望の国のマリオネット

溜め息をひとつ零す。
そうしても、何も変わらないのは百も承知だったけれど、それでも何か変わる気がしてた。

「亜美、そろそろ行くよ」

朋也が階下から私を呼ぶ。
憂鬱な気持ちを押し殺して、鏡の前で笑う練習をすると、階段を降りた。

朋也の前では、いつも笑顔でいられる。もちろんそれは、偽りの笑顔なのだけれど。
朋也の顔を見るたびに、自然とその笑顔が零れるのだ。ひとりになると、溜め息が自然と零れるよう

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満月の涙

藍色の空に、満月が姿をあらわすと、私はゆっくりと起き上がって空を見上げた。
空気が澄み渡っているからか、空に散りばめられた小さな星たちも優しい光を解き放っている。

その空の色によく似た浴衣を着て、私は聖司の部屋へと向かった。
絵描きの彼は、こんな綺麗な満月が姿をあらわしたときが、一番欲情するらしい。
それは、絵に対しても、私に対してもだ。

インターフォンを押すと、聖司が鍵を開けてくれる。
浴衣

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魅惑のカルテット

一際目立つ容姿の蓮は、サックスを近くに置くと、ゆっくりと近寄ってきた。
サックスを吹いているときの情熱的な蓮の瞳は、とても魅力的だ。
そんな瞳に見つめられたら、蓮に恋をしない方がおかしいという周囲の声も納得できる。

「那月、早く俺を選んでよ。もう、焦らさないでさ」

壁際に追い詰められた私は、思わず側にいた海斗に助けを求める。

「海斗、助けて」

海斗は蓮を一瞬睨むと、蓮から私を引き離した。

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氷の微笑

真夏の空には、真っ白な入道雲が浮かんでいる。
外を歩く人々は、時折汗を拭っていた。
八月ももう半分が過ぎ去ったけれど、まだまだ夏の終わりを感じさせない空。
私はそんな空から、目の前に座る祐介へと視線を移した。

さっきから、もう15分は黙ったままだ。
注文してすぐに運ばれてきたクリームソーダは、アイスクリームがすっかり溶けてしまっている。

この店のクリームソーダは、メロンソーダとサイダーを選ぶこ

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ジェラシー味の角砂糖を添えて

車通りの多い歩道を歩いていると、ふと道路の反対側、煉瓦造りの店の前で真司の姿を見つけた。
ここから真司に向かって声を出しても、この車の量では、届くはずもない。
鞄からスマホを取り出し、真司にメッセージを送ろうとした時だった。
真司は、少し遅れて近寄ってきた女性に笑顔を向けると、ふたりでその店の中に入ってしまった。

まさか、真司が浮気!?

真司に限って、そんなことをするなんてありえない。
だけど

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不機嫌な葛藤*あとがき

Kojiさんのイラスト名付け企画第一弾。
これが5枚目のイラストになるのだけれど、実はこれが一番悩んだ。
波打つようなものが、感情の揺れに見えた。その上の白いマルたちが自分でも認めたくない感情が湧き上がっているような、そんなココロの中に見えた。

本当は好きなのに、そのことを認めたくない気持ち。自分でも思いもしなかった感情が飛び出したり、それに蓋をしてみたり。
自分の感情がうまくコントロールできな

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恋心の反逆*あとがき

未読の方は、まずこちらから。

このイラストを見たとき、ジェラシーの炎だと思った。
好きだからこそ、ジェラシーを感じることはある。「好き」は、本当にいろいろな感情が渦巻いて「好き」って気持ちを作り出す。

好きな人が、自分以外の異性と仲良くしてたら気になるし、好きな人にもその仲良くしていた相手にも、穏やかな気持ちで接することができないのも「好き」だからだ。

その穏やかじゃない気持ちを可愛いジェラ

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天使の休息*あとがき

このイラストを見たとき、あまりの美しさに、「休暇」や「休息」という言葉がすぐに思い浮かんだ。
行ったことはないけれど、南国の綺麗な海と砂浜、カラフルな魚が泳いでいたり、水上コテージから大切な人と贅沢な時間を過ごしている景色が見えた。

日常を頑張っているからこそのご褒美の時間。
毎日その場所にいることができないからの、至福の休息時間。

未読の方はお楽しみいただけると嬉しいです。

太陽の脱走*あとがき

この優しい周囲の雰囲気と、そんな中で主張するまん丸。
他の方では、このまん丸を「満月」と言ってる方がいたけれど、私は「太陽」だった。
多分、周囲の色合いの雰囲気が、月の出る夜をイメージさせなかったんだと思う。そして、真夏の太陽のような、強い日差しというよりは、やはりこのまん丸そのものは、優しい雰囲気があったので、この辛い暑さから逃げ出そうとしているように感じた。
「太陽の脱走」にするか、「太陽の大

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