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short fictions

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短編小説集
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なんか短くておもしろいやつ

なんか短くておもしろいやつ

「あー、ネタがねぇ! おいメイド! なんか面白いことしろ!」
「わ、分かりました……コマネチ!」
「そうじゃねえ! 漫画のネタが無いんだよ!」
「ご主人さま才能ないのでは」
「あぁ? クビにされてえのか?」
「私をクビにしたら誰がご主人さまの面倒見るんですか」
「そうだよな……だって……」
「人類ほぼ全滅しちゃったもんな……」

 突如流れたウイルスにより、人類はマスコットキャラになってしまった。

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Talk-GPT -なんでも言うこと聞いてくれるエーアイちゃん-

Talk-GPT -なんでも言うこと聞いてくれるエーアイちゃん-

 いつだっただろうか、AIと対話するサービス、Talk-GPTがなんでも教えてくれるようになったのは。
 いや、厳密にはなんでもは教えてくれないが。
 犯罪のトリックやハッキングの仕方などは教えてくれない。
 いわば、秘匿された情報があるのだ。
 しかし、こんな噂が流れた。
 裏情報を教えてくれる、完全なAIがいる、と。
 ただの噂だし、その話は未来を含め、全て教えてくるなどと尾鰭がついている。

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バタフライ-0.6%-

バタフライ-0.6%-

 いつからだろう、黒川羽子が引きこもりになったのは。
 大学デビューに失敗した時……いや、高校もろくに通っていなかった時が始まりだろうか。
 羽子は心配する両親により、心療内科にまで連れて行かれた。
 そこで検査を受けた結果こう言われた。

「あなたは自閉症スペクトラムです」
「なんですか、それ?」
「この病気はマイルールを作るなど、こだわりの強さや共感性の低さが特徴です」
「なるほど、それで私は

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体重計に文句言うデブ-Europa-

体重計に文句言うデブ-Europa-

 あるところに、デブがいました。
 身体中の至る所についた贅肉は彼の自堕落な生活の産物です。
 デブは、ふと体重計に乗ると、たちまち顔を真っ赤にし、叫びます。
 
「俺が130kgのわけがねぇ! この体重計壊れてやがる!」

 果たして壊れているのは体重計なのか……

 ──エウロパ

 今は東暦213年。西暦に直すと2513年。
 昔、西洋が世界をリードしていたが中国やインドを筆頭にアジアが徐々

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一口ショートショート「お熱さま」

一口ショートショート「お熱さま」

「あれ、熱が37.6℃ある」
「大変、安静にした方が良いよ」
「そうだね、ついでに水貰うよ」
「分かったわ」
「あとお粥も」
「え、そんな体調悪いの?」
「それとプリンとアイスとヨーグルトも」
「ちょ、いくらなんでも……」
「我、発熱ぞ? 我、発熱ぞ?」
「もう、分かったわよ!」
「熱上がってる気がするしもう一度測るか」
「また測るの?」
「あ、もう一度熱測ったら36.7℃だった……」
「じゃあ会

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「お前なんだか失恋したらドライフラワーとか聴いてそうだよな」
「乾いた花だけに乾いた笑いってか」
「乾燥だけに感想を聞かせてくれよ」
「…俺のどこが駄目だった、とかさ」

体重計に文句言うデブ-europa-

体重計に文句言うデブ-europa-

 あるところに、デブがいました。
 身体中の至る所についた贅肉は彼の自堕落な生活の産物です。
 デブは、ふと体重計に乗ると、たちまち顔を真っ赤にし、叫びます。

「俺が130kgのわけがねぇ! この体重計壊れてやがる!」

 果たして壊れているのは体重計なのか……

 ──エウロパ

 今は東暦213年。西暦に直すと2413年。
 昔、ヨーロッパが世界をリードしていたが中国やインドを筆頭にアジアが

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孤独な天才の伝わらない苦悩-Universal Novel Communication-

孤独な天才の伝わらない苦悩-Universal Novel Communication-

 暗く狭い部屋、タイピングに勤しむ男がいた。
 彼の名は九条。周りとコミュニケーションが上手く行かず引きこもりになった。
 彼は独特の感性の持ち主で、それ故に周囲に分かってもらえないのだ。
 しかし自分を理解して貰うために小説を書いている。
 とはいえその小説はほとんど読まれず、評価もされなかった。
 
(疲れたな、息抜きにTwitterでも見るか)
 
 彼はベッドに横たわり、フリック入力で文字

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孤独な天才の伝わらない苦悩-Universal novel communication-

孤独な天才の伝わらない苦悩-Universal novel communication-

 暗く狭い部屋、タイピングに勤しむ男がいた。
 彼の名は九条。周りとコミュニケーションが上手く行かず引きこもりになった。
 彼は独特の感性の持ち主で、それ故に周囲と上手く行かないのだ。
 しかし自分を理解して貰うために小説を書いている。
 とはいえその小説はほとんど読まれず、評価もされなかった。

(疲れたな、息抜きにTwitterでも見るか)

  彼はベッドに横たわり、フリック入力で文字を打ち

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ライオン

ライオン

 深い森の中にそびえ立つ、巨大な樹木がありました。
 木にはサルやコアラ、リスなど色んな動物たちが仲よく登っています。
 その光景を見て、ライオンも木に登ろうとしました。
 しかしライオンは木に登ることが出来ませんでした。
 
(木に登れない俺はなんてだめな奴なんだ……)

 ライオンは心に深い傷を負い、自信を完全に失ってしまいました。
 ライオンにはライオンの素晴らしい魅力があるにも関わらず。

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【短編小説】ライオン

【短編小説】ライオン

 あるところにとても大きな木がありました。
 木にはサルやコアラ、リスなど色んな動物たちが仲よく登っています。
 その光景を見て、ライオンも木に登ろうとしました。
 しかしライオンは木に登ることが出来ませんでした。
 
(木に登れない俺はなんてだめな奴なんだ……)

 ライオンはすっかり自信を無くしてしまいました。
 ライオンにはライオンの素晴らしい魅力があるにも関わらず。
 これはそんなライオン

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ハウツーラブ

ハウツーラブ

「琥珀、俺は会社に行ってくる。くれぐれも外出しないでくれ」
「いいけど、どうして?」
「君が心配だからに決まっているだろう」
「どうして心配なの?」
「……君を失うことは俺の中でも大きな物を失うことを意味するんだ」
「そう、わかったわ」

 思考が噛み合わない2人。だがこうなってしまったのにはこのような経緯がある。

 ──1ヶ月前
「ねえあなた、今日何の日か覚えてる?」

 琥珀は笑みを浮かべて

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【ノベル動画】ハウツーラブ【AIと人間の禁断の恋愛】

「愛してるってどういう意味?」
夫婦円満な暦と琥珀。
しかし2人の関係はある出来事をきっかけに大きくかわる…

https://novelup.plus/story/580844513

【短編小説】ハウツーラブ【AIと人間の禁断の恋愛】

【短編小説】ハウツーラブ【AIと人間の禁断の恋愛】

「ねえ、今日何の日か覚えてる?」

 妻の琥珀がにこやかに尋ねる。
 唐突な質問だったが夫の暦は即答する。

「君と初めて出会った日だ。 忘れるはずもない」

 それを聞き琥珀は一層顔を綻ばせる。

「流石ね、あなた! 夕飯は何がいい?」
「君が作る料理なら何でもいいよ」
「もう、何でもいいっていうのが1番困るのよ」
「はは、すまないな。 それじゃ行ってくる」
「えぇ。 行ってらっしゃい。 ……ね

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