海を渡った難民の子どもたちの過酷な人生。映画紹介「トリとロキタ」「ウィ・シェフ」
前回のブログで地中海をボートで渡るアフリカ難民のドキュメンタリーを紹介しました。
難民の中には保護者のいない未成年者が多数含まれているそうです。
その子どもたちはヨーロッパに上陸後もどうやって生活していくのでしょうか?
いざヨーロッパに着いても、その子たちにとって安心が訪れるとは限りません。
子どもたちのその後を描いた映画を紹介します。
「トリとロキタ」(ベルギー・フランス/2022年)
監督はベルギーのジャンピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟。
保護者のいない未成年の移民が最近、数百人単位で消息を断っているという記事を読んでこの映画を制作したようです。
18歳になってビザがないと彼らは強制送還されてしまいます。
18歳の少し前に犯罪組織にのみこまれ、売春や麻薬の密売の仕事をさせられ、最悪の結末を迎える場合もあるという記事でした。
このような事実に対して社会が無関心であるのに憤りを感じたそうです。
日本でも同じような状況です。
難民申請が通らず進学や就職ができなくて困っている未成年者が多数います。
以前私たちが紹介した「マイスモールランド」という映画はそのようなクルド人家族の苦境を描いています。
「トリとロキタ」は、BGMがありません。
音のない感じがヒリヒリしており、残酷さを観る者に問いかけています。
「ウィ・シェフ」(フランス/2022年)
物語の背景にあるのがフランスの移民制度。
18歳までに職業訓練学校に就学できないと強制送還されるのです。
施設長は子どもたちにフランス語や数学を教え、何とか子どもたちを学校に受け入れてもらおうと奮闘します。
また街でたむろしている不法移民の子どもをみかければ施設に来るよう声をかけます。
でも現実は厳しく、子どもたちは骨密度から未成年者かどうか検査され、成人だと判定されると容赦なく強制送還されます。
この映画にはモデルがいます。
苦境にある子らを調理師として自立させる教育活動に取り組むカトリーヌ・グロージャンです。
命がけで故国を脱出しヨーロッパに来ても厳しい現実が待っている移民たち。
教育や職業訓練に力を注げば移民との共存も可能なのではと思いました。
執筆者、ゆこりん
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