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ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(2)
前回記事:
前回、どーしてもフランス語がうまく翻訳できず、意味が分かりにくかったり、意味不明な箇所がそこそこあって、せっかく記事にして紹介はしたものの、ちょっと読者の方には申し訳なかった感じもしています。
しかし、ラッシニエがかなりの嘘つきだという事実はお分かりいただけたのではないでしょうか? ラッシニエが自分自身を信頼させるような方向で嘘をついているので、翻訳記事の中でもそう呼ばれていたよう
ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(1)
ネットでは、「出羽守」なるスラングがあります。「海外では〜」と語る人を揶揄するためにしばしば用いられます。例えば「ヨーロッパでは〇〇が当たり前」、「欧米ではすでに〇〇になっていて日本は遅れている」のような場合に使われます。そのように言われるようになったせいか、近年ではそうした「出羽守」は少なくなった感じがします。しかし過去、インターネットが一般に使えるようになった初期の頃までは、「欧米では」と語ら
もっとみるアインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(2)
追記:紹介している「作戦状況報告書ソ連」の内容は、示しているリンク先の英文テキストから日本語訳にしていますが、元々はイツァーク・アラドらによる『アインザッツグルッペン報告書』から必要部分を手作業で転記入力したもののようで、若干の入力ミス的な誤りを含んでいます。文章にはほぼ誤りはないようで、大意としては問題はないと思いますが、厳密な議論をする場合は、前回記事で紹介してあるアーロルゼン・アーカイブズの
もっとみるアインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(1)
アインザッツグルッペンに関する証拠となる作戦状況報告書ソ連の内容を、この記事では、日本語訳して紹介したいと思います。非常に記事が長くなるため2回に分けます。この作戦状況報告書については、以下で詳しく解説されています。
米軍がドイツから捕獲した作戦状況報告書ソ連(OSR:OPERATIONAL SITUATION REPORT USSR)は、アメリカ国立公文書館(NARA)が所有していたらしいので
アインザッツグルッペンの証拠:アインザッツグルッペンの報告書について。
ホロコーストは、大雑把に分けると、ユダヤ人犠牲者600万人のうち、その約半数が絶滅収容所で殺され、ゲットーなどで餓死や病死で約100万人が犠牲となり、これも大雑把に50万人程度が強制収容所で殺され、残るざっと100〜150万人程度が、ドイツが支配下に置いた元ソ連地域のユダヤ人を現地で銃殺やガス車などによって殺した、とされます(註:これらの数値は私自身がざっくり認識しているだけのものであり、広く認識
もっとみる絶滅収容所を通過収容所だとする修正主義説への反論――のための翻訳記事。やっぱりユルゲン・グラーフは「嘘つき」だった。
さて、日本で、と言うか日本語上でホロコースト否定の議論をする場合、困難な事項として、否定論の論文などで使用されている関連文献の多くを参照・確認できないという問題があります。取り扱われるホロコースト否定派の論文自体はネットで公開されているものも多く、言語の壁を越えられれば参照は比較的簡単ですが、それらで使用されている海外の文献を参照するのはほとんどの場合無理です。日本語訳された書籍も大抵ありません。
もっとみるポーランドの戦争犯罪証言記録サイトに見る殺人ガスの証言証拠(7)
久しぶりに、ポーランドの戦後裁判での証言を中心に公開されているChronicles of Terrorから、ガス室関連の証言の続きを翻訳して公開します。前回までで概ね100余の証言を紹介しています。当該サイトには「Witness -> Crimes ->Gas chamber」で検索して、概ね500人(複数回の証言含む)くらいの証言があり、まだまだ紹介できるものがあると以前から思っていて、それらを
もっとみるアウシュヴィッツの「絶滅の痕跡は発見できなかった」とする赤十字の報告書について。
最近(2024年2月現在)、X方面を中心に、昔の赤十字のある一つの報告書画像がかなりの量、拡散されています。私が最初に見たのは、2023年頃から目につくようになった活発にホロコースト否定を行うアカウントが現れ、そのアカウントが投稿したポストです。多分すでに何回もポストしてるようです。
この文書は見たことがありませんでした。国際赤十字を悪用したホロコースト否定論についてはいくつか記事を、Holoc