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批評&書評&音楽批評&散文

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どこまでも善良な文章を集めました。読んで心地よい気持ちになってもらえたら嬉しく思います。
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滝本政博詩集『エンプティチェア』

滝本政博詩集『エンプティチェア』

 私と滝本さんにはひとつ共通項がある。ふたりともいいおじさんでありながらSNSで自撮り画像をよく出していること。コーヒーカップを見栄えよきアングルで撮り出すように、部屋にある空っぽの椅子をありのままに撮ってみたくなるように。みなさんはどうだろうか。自撮り画像を出すのが恥ずかしいだろうか。プライバシーが侵される怖さと抵抗感があるだろうか。自作の詩を出すことには抵抗がなくて、なぜ自撮り画像は嫌なのだろ

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世界を変える革命を考え

世界を変える革命を考え

考える前に飛べという言葉があるけれども。あるいはベンチャーな起業というのは、とりあえずやってみようぜ!的なノリが大事だともよくいわれるけれども。で、私はかなりの数のプロジェクトを企て立ち上げ、その度に「このプロジェクトは俺の人生の裏テーマなんだよ!」とか「このプロジェクトが新しい世界をみせてくれるんだよ!」といった威勢でスタートアップするわけです。で、そんななかにはもちろんYouTubeチャンネル

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他人の善悪は己れに帰結

他人の善悪は己れに帰結

 新幹線の車輌のなかでこれを書いているわけだけれども、みなさんは新幹線の座席に貴重品の忘れ物をされた経験はありますか。私は4回あります。ついでに云うと、高速道路のサービスエリアのトイレに財布を置き忘れたこともありますし、駅の券売機にも財布を置き忘れたことがあります。記憶を辿れば8回やってます。公共の場所で財布を忘れたことがです。一番ヤバかったのは中国蘇州で乗ったタクシーに置き忘れしたの。これ、降車

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雨の朝、武田地球

雨の朝、武田地球

 詩人という呼称では呼びたくないけれども、おすすめの詩人を教えてと訊かれれば、武田地球を挙げる。知る人ぞ知る武田地球はネット詩出身で今年詩集本を出している。ちなみに、武田地球作品に時々登場する「みうらくん」とは、、ご想像に任せる。

 最果タヒさんが文学極道で投稿されていたことをネット詩出身者と呼んではいけないように思うけれど、まあ、そういう誤解をかなり生んでしまう空間だった。

 雨が降る朝にこ

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履歴書の郵送はやめよう

履歴書の郵送はやめよう

 14年勤めた会社を辞め、今年1月から新しい職場になった。職場といっても普段は在宅勤務。会社所在地が遠方にあり、会社へ勤務する時はビジネスホテルへ泊まる。ちなみに、東横インをメインで使ってるのだけれど、東横イン会員だと10泊して1日無料泊がつく。今夜はそんな東横インで書いてます。

 で、思い出したので15回の転職をざっと記す。

19歳一回目
22歳二回目
24歳三回目、四回目
25歳五回目
2

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U2の嘘は美しい

U2の嘘は美しい

 U2が新しい空間を観せたらしいラスベガスのライブ映像がいま話題になっている。久しぶりにU2を聴いた。彼らがまだとても政治的なメッセージを全面に出していた頃、ボノのライブパフォーマンスは白旗が象徴していた。

 ウッドフェスを80年代に甦らせた伝説のUSフェスでは白旗を担いでステージ上の巨大な屋根に登り白い旗をなびかせていた。そう、純粋が売りだったんだね。

 ところがアルバム/アクトンベイビー。

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絶対に分かり合えないから

絶対に分かり合えないから

 noteで知ったまだ若い人、その人を3年前に知ったんだけれど、とても才気ある社会人になる直前の人で、記事に魅力があった。この人はきっと世に出ていく人なんだろうなと、すごくわくわくした。その後、私自身もnoteを数ヶ月に一度程度でしか開かなくなっていて、最近になって、ああ、あの人は今どうされてるのかと久しぶりにチェックした。あまり更新されていなくて、直近の記事の内容からすると社会に出られていろんな

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コーンポタージュを押せば

コーンポタージュを押せば

 云うて、他人となんて、てきとうに付き合っていればいいのである。云うて、親友など少年+学生時代を通して1人としていなかった記憶。少なくとも大人になっても付き合いのある小中高の友達は、1人もいない。私が歓迎されない人間だったわけではない。そりゃ遊び仲間はいた。なんというか、私から裏切ったりバイバイをしてきたんだと思う。無敵の人ではないが、私には冷酷な一面がある。
 高校時代に一番印象に残っている出来

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自撮りおぢさん

自撮りおぢさん

ネット活動を2016年に始めたわけだけれども、一貫して自撮りおぢさんをやってきた。

自撮りするおじさんは世にたくさんいる。
けれども「自撮りおぢさん」は私だけだろう。

22歳で結婚して23歳で娘ができたので今年娘は32歳になる。独り立ちしてかなりなる。

私は来月55歳になるわけだ。で、私は2016年に48歳だったわけで、22歳の愛人がいた。

それについて様々な質問を受ける。金ですよね?浮気

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ヨーグルトと氷

ヨーグルトと氷

名前を変えたんですね
最近は歌ばかりやってます

やっといろいろわかってきたんです
歌のことね

52歳で歌うこと始めたの
で、歌詞をつくるのに
この場所がいいかな、なんて考えた

いつか
私の歌を、音楽を聴いてね
新しいよ
とても新しいからね

夏休みが始まってしまったから
そばにいて
百日草が明るく
なんだかちょっと気持ちいいの
いろいろあるね
ありがとうのまま置かれたヨーグルトのコップ
ちょ

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私たち

私たち

「私たち」と始めそうになって止める。同じ「ような」人の代弁者をきどることをやりそうになる。真理の「ような」ことをTwitterでみる。違和感を覚える。私にとって真理の悟りは生々しい場所にしかない。
生々しい場所とは何だろう。それがSNSの空間には生じないと、断言は出来ない。ただそれはSNSのメインには生じないだろう。見つけなくてはならない。私は見つけなくてはならないと思った。否、言い方を間違えてい

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戦いの歌・詩

2016年の夏の出来事を考えるとパズルのピースが一つ、また一つと上手く埋まってゆく。あの夏以降にあった事がすべて、現在の弾き語りをやってることに通じていて。2016の夏はまだ文学極道もネット詩も知らなかった。7月から8月にかけて3人の若者と1人の老人に会った。若者3人は「表現」をやっていた。1人の老人は世間ではオピニオンリーダーと呼ばれている人で、敬愛する大瀧詠一さんを生前から直接知る人物だ。「表

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私は詩人ではない

私は詩人ではない

 また皆んなが輪になっている。そして詩人をやっている。詩人同士という仲間関係。私はそれをどうしても生理的に受付ない。ところでもうTwitter(現X)で情報を発信することを私はやめた。以前から気になっていたのだけど、あの場所はバーチャルを提供してくれていてSNSな人々はバーチャルな自己を味わって心地よくなって噂話にしけこむ。会社における給湯室みたいにね。なになにさん、あなたのその気持ちわっかるー的

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黙れない人々

黙れない人々

 営業職の私はかなりの頻度で人に謝っている。すみません、すみませんと。おそらく、人間がほんとに出来ている人は、そう簡単に謝ったりしない。本当に自分に非があると、認めるに至らない限り、簡単に頭を下げてはいけない。そんなことはわかっている。本当は私だってそういう生き様を望んでいた。でもね、人間って複合的に複雑にいろんな流れにのまれながら組成を含んでいるから、「こうするんだ、こういう生き様を貫くんだ」と

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