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1分で読めるショートショート31・毎日の弁当

毎朝、義母は家族4人分の弁当を作ります。
私たち夫婦、子供一人、そして義母自身の分です。しかし、私が気づいたのは、いつも3人分しかないという事実でした。
ある日、この疑問を義母にぶつけると、彼女は驚愕し、そして動揺し始めました。

「実は…」義母は言葉を詰まらせながら、私たちに隠していた秘密を明かしました。
「私にはもう一人の子供がいたの。でも、彼はもうこの世にはいないのよ。」

私たちはその話に驚きましたが、それだけではありませんでした。義母はさらに続けました。
「私は毎日、彼の分の弁当を作っているの。それは私の日課で、彼への愛情表現なのよ。」


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私たちは義母の深い愛情に感動しましたが、それでもまだ何かが引っかかっていました。そして、その日の夜、私は家族のアルバムをめくりながら、驚くべき発見をしました。
義母の「もう一人の子供」は、実は私たちが知る有名な探偵だったのです。彼は若くして亡くなったとされていましたが、実は生きており、世界中の難事件を解決していたのです。

翌朝、私は義母にその発見を伝えました。義母は涙を流しながら笑い、私たちに真実を語りました。「そう、あなたが見つけたのは私の息子、つまりあなたの義兄だわ。彼は世界を飛び回っているから、なかなか会えないの。でも、私たちは心でいつも繋がっているの。だから、私は毎日彼の分の弁当を作るのよ。」

私たちはその話を聞いて、家族の絆の不思議さと、愛の力の大きさを改めて感じました。そして、義母が作る弁当は、ただの食事ではなく、遠く離れた家族への愛のメッセージだったのです。



🚩今回別バージョンの「毎日の弁当」を創作しました。
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