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「良い戦略 悪い戦略」を読む ー書評ー

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「良い戦略 悪い戦略」を読みながら上げた記事をまとめています。
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記事一覧

「良い戦略、悪い戦略」を読む。最後。ー事実に基づき診断し、そこからの「自ら」の判断を貫くー【読了】

「良い戦略、悪い戦略」を読む。最後。ー事実に基づき診断し、そこからの「自ら」の判断を貫くー【読了】

「第18章自らの判断を貫く」最後まで。
これで本書は読了!

この章は恐らくは付け足しで、そして恐らくはかなり大事。戦略論としてはこの前の第17章で終わっている。

この章ではグローバル・クロッシングの破綻の例とアメリカなどで起きた金融危機の二つの例から、市場を過信し(株価があがり続けていること=その企業の戦略が正しいことの証明=過信の例)、回りの意見に群れてしまい自らの考え判断することを放棄して

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「良い戦略、悪い戦略」を読む20 ー良い戦略を作るために必要な5つの手順ー(それぞれを言い換えれば悪い戦略を作る5つの手順になりそう)

「良い戦略、悪い戦略」を読む20 ー良い戦略を作るために必要な5つの手順ー(それぞれを言い換えれば悪い戦略を作る5つの手順になりそう)

「第17章戦略的思考のテクニック」途中から最後まで。前回の続きから。(368字)
前回↓

ではどうすればいいのか?基本に立ち返る、
(良い戦略を作るために必要な5つの手順)
1.どうしたらいいかとすぐに考えない。
2.大事なのは診断からはじめること。そして問題点を正確に捉えること。
3.なぜそれをするのか、が大事。
4.そしてその結果最初の案が間違っていれば容赦なくそれを破壊すること。
5.しか

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「良い戦略、悪い戦略」を読む19 ー自分の考えを厳しい目で検証するという苦痛から逃げないー

「良い戦略、悪い戦略」を読む19 ー自分の考えを厳しい目で検証するという苦痛から逃げないー

「第17章戦略思考のテクニック」の途中から途中まで。275字。

なぜ間違った(あるいはそこの浅い)戦略が立てられるのか。それは人間の本能のようなものである。実際の著者のコンサルタント会社内での議論が紹介される。第1感を疑えない。1つの課題に対してパッと思い付いたことを戦略としてしまう。

忙しい、経験から明らかだ、非常に難しい状況にため最初に浮かんだ考えについすがり付いてしまう、などの理由でつい

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「良い戦略、悪い戦略」を読む18 ー日常から離れ思索する時間の重要さー

「良い戦略、悪い戦略」を読む18 ー日常から離れ思索する時間の重要さー

「第17章戦略思考のテクニック」途中まで。(523字)筆者が博士課程の学生だった時、レポート作成のために、ある企業幹部にインタビューした話から始まる。

目標はなにか?
その経験はあるか?
その例は他の企業にあるか?
現在直面している困難な課題は何か?
それはなぜ困難なのか?
強みと弱みはなにか?
まだ戦略とは何かわかっていなかった筆者は必死に質問した。
(なおこの質問集も興味深い。ふとしたときに

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「良い戦略、悪い戦略」を読む17 ー戦略と仮説とー

「良い戦略、悪い戦略」を読む17 ー戦略と仮説とー

「第16章戦略と科学的仮説」
筆者がコンサルを依頼された企業での話から、戦略と(科学的)仮説が似ているという
いう話。

完全な情報などない状況で未来に向かっての戦略は仮説になる。完全にわかってからでないと動けないというのであれば永遠に今の場所に居続けることになるが、いずれうねりに飲み込まれる。

では仮説から生まれた企業の成功例はあるのだろうか?としたところでスターバックスの成功例が語られる。

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「良い戦略、悪い戦略」を読む16 ーNVIDIAの成功例ー

「良い戦略、悪い戦略」を読む16 ーNVIDIAの成功例ー

「第15章すべての強みをまとめるーNVIDIAの例」の最後まで。

これまで著者述べてきた優れた戦略の要素を全て持った成功例としてNVIDIAを取り上げている。

焦点を絞る、自社で強みを作り上げる、うねりに乗る、そしてそれらが完璧な鎖構造を持っている。それでライバルを打ち負かす。

凄い事例だが、詳細は是非本書を読んでほしい。個人的にはこの章の終わりかたが印象に残る。

NVIDIAが乗ることが

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「良い戦略、悪い戦略」を読む15 ー顧客の慣性が企業変革を阻害するー

「良い戦略、悪い戦略」を読む15 ー顧客の慣性が企業変革を阻害するー

「第14章慣性とエントロピー」の途中から最後まで。

慣性には3.顧客の慣性がある。
明らかに他社に得になる新サービスがあってもそこに移らない慣性である。これによって企業での新技術(新サービス)導入が遅れることがある。

エントロピーの増大というのは注意深く経営していないといつのまにか乱れることによく表れる。優れた統一された戦略もいつしか惰性となり決まりが守られなくなる。人間はよほどうまく動機付け

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「良い戦略、悪い戦略」を読む14 ーうねりに乗ることを阻害する3つの慣性とは?ー

「良い戦略、悪い戦略」を読む14 ーうねりに乗ることを阻害する3つの慣性とは?ー

仕事帰りの電車の中で
「第14章慣性とエントロピー」の途中まで。第13章で取り上げたダイナミクス(うねり)に乗れない企業は敗北する。その要因が慣性だ。(この記事では三つのうち二つをまとめています。)

1.業務の慣性。規制緩和の荒波が来ているのに未来を予想せず従来の方法に従う。それは慣性である。

2.文化の慣性。技術開発は得意だが製品開発が苦手な企業がある。それが文化として根付いているとどのよう

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「良い戦略、悪い戦略」を読む13 ー成功は(1)優位性があったからか、(2)外部環境に適応できたからか、(3)運良く自分達に適した外部環境が向こうからやってきたからかー

「良い戦略、悪い戦略」を読む13 ー成功は(1)優位性があったからか、(2)外部環境に適応できたからか、(3)運良く自分達に適した外部環境が向こうからやってきたからかー

出勤中の電車の中で。「第13章ダイナミクス」の途中から終わりまで。(長文です)

いくら新技術であっても業界に起こるうねりに乗れなければ成功しない。乗れれば成功する。シスコ・システムズの成功、インテルの成功など特にインターネットの広がりによって大きな構造変化が起きた例を多く取り上げる。

本章の特長は、その成功を各企業の独自的な技術や戦略といったことだけでなく、「うねり」にうまくのったことも要因に

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「良い戦略、悪い戦略」を読む12 ー供給と需要の両方を作り出す戦略で優位性を築くー

「良い戦略、悪い戦略」を読む12 ー供給と需要の両方を作り出す戦略で優位性を築くー

仕事帰りの電車の中で。
「第12章優位性」の途中から最後までと「第13章ダイナミクス」と途中まで。優位性を創造する際に競争優位だけに気をとられると収益へ繋げることはできない。

ザクロで収益を上げた企業の話。
1.ザクロの健康への良い効果の研究に大きな資金を投入する→結果を雑誌、テレビ、新聞広告などに広く掲載→それによりザクロに対する需要を創造する。
2.その裏で広大な土地を確保し栽培する→ジュー

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「良い戦略、悪い戦略」を読む11 ー優位性に基づき冷静に設計された成長ー

「良い戦略、悪い戦略」を読む11 ー優位性に基づき冷静に設計された成長ー

(長文です。引き返すなら今です(笑))出勤中の電車の中で。「第12章(競争)優位性」の途中まで。

この著者の内容が説得力を持つのは実際の経営者とこう話をしたという現場での話が(他の戦略本と比べると)多く出てくるところだろう。

企業が持つ優位性の範囲は限定的でそこを勘違いすると間違った方向に進んで自壊する。優位性はそれ「だけ」では価値がない。価値を産み出すように使い、優位性をより拡大していくこと

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「良い戦略、悪い戦略」を読む10 ー見かけだけ大きくなることは成長ではないー

「良い戦略、悪い戦略」を読む10 ー見かけだけ大きくなることは成長ではないー

「第11章成長路線の罠と健全な成長」の最後まで。企業合併や買収により、より大きな規模を目指す、より成長を目指す取り組みの危険な例を紹介。

合併や買収は成長ではない。合算が大きく見えるだけ。これを成長戦略をとっている、と勘違いする企業は多い。

合併や買収後の成長は個人的にはかなり難易度が高いと思う。
1.マーケティング上の問題
2.人事制度上の問題
3.特に吸収合併では企業文化融合の問題
をクリ

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「良い戦略、悪い戦略」を読む9 ー絞りこめ!ー

「良い戦略、悪い戦略」を読む9 ー絞りこめ!ー

仕事帰りの電車の中で。「第9章設計」の途中から「第10章フォーカス」最後まで。ここでは実際の企業を例にその戦略について講義の中で探る、という面白い形式の文章。実際のMBAでの授業の一部再現だろうか。

フォーカスには2つある。1つは絞り混んだ、強い鎖構造の戦略。もう1つはしっかりと市場=ターゲットを絞った戦略。後者はマイケル・ポーターがよく言う戦略であると、この本の著者も書いている大企業は絞り混め

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「良い戦略、悪い戦略」を読む8 ーリソースの量と戦略の密度の関係ー

「良い戦略、悪い戦略」を読む8 ーリソースの量と戦略の密度の関係ー

出勤の電車の中で。「第8章鎖構造」の最後まで。と「第9章設計」の途中まで。

戦略の構造をどう設計するか。
リソースの品質とより緻密な鎖構造の必要性は補完性がある。リソースの品質が高く量も豊富なら緻密な鎖構造の設計はいらない(全盛期のアメリカのゼロックス)。
一方リソース乏しい状態ではその組み合わせや構造設計に緻密さが要求される。ここが一番頭を使わねばならないところ。設計の巧拙が戦略の成否を分ける

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