高星七子

元アニメの作業員。シナリオと小説修行中。青山の教室に通い、月2の贅沢ティータイムを過ご…

高星七子

元アニメの作業員。シナリオと小説修行中。青山の教室に通い、月2の贅沢ティータイムを過ごす。 好きなドラマは「オスマン帝国外伝」「ホワイトカラー」「三国志」など。

最近の記事

十六夜顕現火炎主 其三

十六夜顕現火炎主 其三   作:高星七子 同刻、駝路目鬼国・度嶺口府(どれいくふ)総督・駆符何封呉(クプカ・フウゴ)率いる私兵数十名が宿場町を目指していた。その北門を出た山中に氷のドミネがいるという。 それは翁流土(おうるど)の遊廓きっての花魁、琶寧太夫(べねだゆう)から聞いた話だった。 ”国境いの北山中に氷のドミネが巣食って、偉いお人を取り殺していると聞きんした。どうか封呉どの、そのようなところにはおいでなさんすな" 翁流土との折衝に勘定方として赴いてからというもの

    • 十六夜顕現火炎主 其二

      十六夜顕現火炎主 其二    作:高星七子  襖が勢いよく開けられると、嗅ぎ慣れた血と汗の乾いたような匂いがする。やはりこの男だったか、と玖来武ノ介はうんざりした心持ちだった。 「こりゃ驚いた_________先客は黒づくめの無口な野郎だってえから、もしやとは思ったが」  男は帝天都(ティアマット)と自ら名乗る賛振句の辺阿羅兵である。玖来武ノ介が配されていた部隊の隊長でもあった。  片膝を立てて酒を飲み、ちらりともこちらを見ぬことに苛立った帝天都は刀の切先を玖来武ノ介の

      • 時代劇 十六夜顕現 火炎主

        時代劇  十六夜顕現 火炎主     (いざよいにあらわるかえんのドミネ)                作:高星七子 それは波理洲是方(ばりすのこれかた)八百七十三年。 星々の光も冷たき時節、月の齢十五の夜であった。 勒攻来武ノ介一郎(ろくはら・くらいぶのすけいちろう)は賛振句国(ザンブレクこく)と駝路目鬼乃国(だるめきのくに)の境、その宿場にある鳥馬屋に寝起きしている。 かの日も冴えざえとした月が雲ひとつない夜空に浮かんでいた。 元服ののち初の大役を果たした珍来武ノ介

        • Gallery

                                 高星七子    そのギャラリーまでの道は遠かった。 T駅から地下鉄を乗り継いで新宿まで行き、そこからK王線でH町まで。さすがのネイティブ都民でも普段使わない駅、特に地下鉄の駅はわかりにくい。あっちの階段をおり、こっちへ曲がりとやっとついた駅から目的のH町はたったの一駅なのだ。  知らない町までスマホの案内を頼りに行ったのは、珍しいギャラリー兼カフェで好きな画家の個展があると知らせがあったからだ。  仮にB氏としておこう。彼女はマ

        十六夜顕現火炎主 其三

          明日の観覧車

          夕方の遊園地は子供達の歓声が消え、潮風が強くなる。 これからの時間はデートに来るカップルの時間だ。 16時50分。 マスコットロボのホッパーくんがデジタル表示で教えてくれている。今日のシフトもそろそろ終わりだ。 「キヨハル、残業禁止」 ホッパーくんはこの湾岸ポリスパーク特有の強風によろけながら僕を呼び捨てにする。 スタッフ登録したときにキヨハルと入れたらそのまま呼ぶ仕様のようで、他の観覧車担当のバイトはみんな「みかりん」とか「ゆうまさん」とか呼んでもらいたいように設定して

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          執筆中心の生活

          何か用事ができると書き物ができなくなる。 言い訳でしかないことはわかっているけれど、 いやホント、銀行や通信関係のお知らせなんかが来た日には すぐに処理しないと気になって仕方がない。 今日などはカードの引き落としに不審な点があり、 ドキドキしながら確認の電話をかけ解決した。 もうこれだけで本日の業務は終わりにしたいほど 気力の消費が激しい。 これは私の心配性が大きな原因で とにかくお金関係はつらい。 毎年の確定申告もなるべくならやりたくないほど。 でもやらないといけない

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          果てしなきデジタルプランナー

          どうも、こんばんは。高星です。 文具スキーな自分、iPadも古い型ですが持っているので デジタルプランナーに挑戦してみようと YouTubeなどを見て、そのレクチャーに従い マンスリーの表を作るところから始めてみました。 なになに、キーノートで作るのね。 うん、なるほど、作り方は理解できた。 ほう、リンクを張ればマンスリーからデイリーに 飛んだりすることもできるのか。 こりゃ便利だ。 しかし、問題はウィークリーである。 1年52週間。これを1枚づつ作るのか。 果てしない

          果てしなきデジタルプランナー

          夜中の脳内ムダ会議

          どうも、高星です。おはようございます。 コロナに罹って自宅軟禁期間のため生活が不規則になっております。 妙な時間に起きてしまい、無駄なことを考えるのであります。 ちょっと不安症気味の私としては、余計なことを考えるのは良くないのですが。 その無駄なこと、とは「次の手帳をどれにするか」です。 実にくだらない。 散々悩んでバレットジャーナル式にトラベラーズノートを使うことを選択したのに、今更じゃないですか。 YouTubeで来年度用のロルバーンだとか、ほぼ日手帳だとか そういう

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          昼も夜も彷徨えば

          こんな本があるとは知りませんでした。 日本の作者の小説でユダヤ教のラビの話が読めるとは。 「昼も夜も彷徨え」それはこの物語の主人公マイモニデス(モーセ・ベン・マイモン)の言葉で、内容を言っちゃあネタバレよという重要ワードです。 この二人目のモーセは(一人目は十戒のモーセ)12世紀の人物。スペインのコルドバで有名なラビ(宗教指導者)の家に生まれたおぼっちゃまです。 しかし、彼はただのボンボンではありませんでした。 イスラーム教徒に強制改宗させられた人を見捨てておけず、

          昼も夜も彷徨えば

          文具小説〜革カバーよさらば〜

           式島凛花は革カバーの手帳の重さに辟易していた。 旅行雑誌編集者という仕事でもあり、手帳は大切なツールだ。ここにはこだわりたい。  さて、タブレット端末で手帳を集約させている仲間もいるが凛花の好みではない。端的に言って、クラシックな文具に憧れがある。筆記具はボールペンから万年筆に替えた。インクの色を選べることも楽しい。  この格好をつけたい性分が実用性を無視させてしまった。『本革ならではの経年変化を楽しめる』という謳い文句にも心惹かれた。だが、この重さはどうだ。格好はすこぶる

          文具小説〜革カバーよさらば〜

          勝手にホロスコープ「進撃の巨人」編

          毎度どうも、高星です。 突然ですが、勝手に占星術「進撃の巨人」編をお送りします。 アニメ「進撃の巨人」の第1期は2013年4月7日、大阪のMBS放送で1時58分から放映された。東京で作っても大阪生まれ。 フィルムができただけでは生まれたとは言えない。 放映上映して視聴者が見たとき、初めてオギャーと生まれたことになる。 (今回は原作のマンガではなくアニメ版「進撃の巨人」のホロスコープを見ていきます。アニメ版は原作とエピソードの順番が違っているので 示されるものが原作発表時と

          勝手にホロスコープ「進撃の巨人」編

          メレキー・カルファ〜後宮女官物語〜2

           あのとき、白薔薇の園で見たイスケンデルの暗い瞳。いつもメレキーを子供扱いする時とは別人のようだった。たったいま処刑された兵士の、閉じられることのない虚空を見る目がそこにあった。 うっそりと一礼して去った彼をキョセム妃は気づきもせずに____ いや、気にもとめずにムラトを「我が獅子」と呼んで抱き上げ頬に口づけする。 (気の毒なイスケンデル殿……かわいそうなメレキー)  キョセム妃のお気に入り女官として特別に与えられた部屋は、キョセム妃の居室とごく近くにある。女主人の召し出しに

          メレキー・カルファ〜後宮女官物語〜2

          感想は栄養なので

          とある記事で「面白かった」だとか「感動した」だとかの感想をSNSで書くと「馬鹿にされる、何か考察しなければ……と思う」と94年くらいに生まれた若者が言っていた。 映画やアニメを見て、面白かった、あのシーンは泣けた、あのセリフはカッコよかった、そういう感想を書くことの何がいけないのだろうか。 別に考察しなくたっていいじゃないか。 作っている側から言わせてもらえば、考察なんかマニアな人々が好きが高じてやっていることであって(それもありがたいことです) お客さん全般には率直な感想

          感想は栄養なので

          「メレキー・カルファ 後宮女官物語」

           おそらく、一介の女官の名など誰も覚えていないだろう。それがかの偉大なる母后キョセムが帰天するまで仕えた「天使」だったとしても。  彼女を天使、メレキーと名づけたのは母后ではなく母だった。 その母を亡くし行き場を失ったわたしメレキーを、母后……そのときはまだ皇帝の母「母后」ではなくお妃様、キョセム・スルタンと呼ばれていた女人はオスマン帝国の皇帝が住まうトプカプ宮殿の奥つきへ、後宮へ連れ帰った。  後宮では異教徒の側女には新しい名をつけるのが慣習だけれど、 おまえは自由人の

          「メレキー・カルファ 後宮女官物語」

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          えー、先ほどTwitterを開いたらですね。 スペースでセミナーをやってたんですよ。 創作を学び合うサークルの。 その瞬間までそんなサークルがあることも、 セミナーが開催されることも知らなかったのですが 面白そうなので聞いてみました。 そこでわたしが あ、そうなの? と思ったのが noteは長目のTwitterだと思ったらいい という今回の講師 いしかわゆきさんのお言葉。 なんか〜1000文字は書かなきゃ格好がつかないような そんな気がしていた私には朗報でした! まとま

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          フラッとカフェ巡り001

          皆さんこんにちは。高星です。 突然ですが、私はカフェ大好きであちこちのカフェに入ってはコーヒー紅茶と雰囲気を楽しんでおります。せっかくだから何か書いてみることにしました。 本日は国分寺「スローカフェ」に行ってきました。国分寺の駅に降り立ったものの、何のあてもなくお腹も空いて彷徨いながら見つけました。 まったく知らなかったのですが、こちらは20年以上も営業しているベテラン勢でした。 エコでサステナブルを目指すコンセプトで自家製パン店やオーガニック商品の店、量り売りでドラ

          フラッとカフェ巡り001