子どもにも先生にも慕われるA先生の話
ある高学年の女の子がよく
「A先生は面白いし授業がめちゃくちゃ楽しかった」
っと言っていました。A先生は数年前に異動なさって他の学校に行かれた先生です。代わりに新しく若くて身長の高いイケメンの先生が入って来られたのですが、
「イケメンだけどA先生に比べると授業は全然面白くない」
っと言っていました。新しく他の担任のB先生に変わった時は
「新しい担任のB先生はA先生に憧れて真似もしていると言っていたけど、全然A先生の方が授業が面白い。全然似てない」
っと言っていました。A先生がその高学年の女の子の担任だった時は1、2年生の時の話しです。私はこの女の子からずっとA先生の話しを聞いて来ました。
昨日、他の学校で勤務しているとそのA先生と偶然お会いしたんです。たまたま私が声をかけに行った子の授業をA先生がなさっていました。放課後再び帰ろうとしているA先生とお会いしたのでお声をおかけしました。
「A先生お久しぶりです」
すると、そんなにお話しした事がなかった私の事を覚えていて下さり、
「お久しぶりです。ここにいらっしゃったんですね。今年度から来ているんです」
っとおっしゃっていました。続けて、
「私は教員を退職しまして今は講師としてたまにこの学校に来ているんです」
それを聞いて私は
「そうだったんですね。またお会い出来て嬉しいです」
っとお伝えしました。その後はいくつか思い出話などを軽くしまして、私も子どもが来る予定があったのであいさつをしその場を後にしました。帰ろうとするA先生の後ろ姿に私はもう一度声をかけます。
「A先生、そう言えば◯◯ちゃんが先生のこと授業がめちゃくちゃ面白くて楽しいってずっと言っていましたよ。A先生のことを尊敬しているB先生が真似しているそうですが、全然足元にも及ばないと◯◯ちゃんが言っていました。この間もその話しを聞きましたよ。他の先生ではA先生に敵わないようです」
すると、A先生は後ろを振り返りながら笑顔で、
「◯◯ちゃんですか。よく覚えてます。そうですか」
っと言って帰られて行きました。
A先生に何があったのか私にはわかりません。前向きな退職なのか何かあって退職なさったのかわかりません。しかし、たまたま私が出会ってなければ◯◯ちゃんの話しもB先生がA先生の事を尊敬していて真似していると子どもたちの前で言っている事もA先生に一生伝わる事がなかった訳です。私は伝えるべきだと思ったんです。A先生が影響を与えて心を動かしたB先生の話や◯◯ちゃんの事を。A先生、またお会い出来れば幸いです。
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