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私の夢十夜

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私の夢十夜

夏目漱石の『夢十夜』にあやからせていただきました。

漱石の作品が実際に見た夢なのか創作なのかは知りませんが、
私の夢十夜は、実際に寝ている間に見た夢です。

私は自分の見る夢の世界が好きです。
自分が違う人間として存在し、
磁場が狂えば子どもが熱を出し、
願いを叶える怪異が出てきます。

現実世界で挑戦したり冒険したりすることが少ない分、
夢の中で心を満足させようとしたのかもしれません。
あるい

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第一夜 バス停

第一夜 バス停

小雨が降る中、7歳くらいの私と近所に住む幼馴染のXXちゃんが、裸足で歩いている。

ふたりとも傘を差しておらず、お揃いの白い袖なしワンピースは雨で湿っている。

生温い空気の中、コンクリートの道を手を繋いで速足で歩く。

暑くもなく寒くもなく、風もない。

楽しくも寂しくもない。

気がつくとふたりとも足から血が出ている。ふたりとも特に気にしていない。

そのうち駅前のバス停に着いた。

ふたりは

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第二夜 幼馴染の家

小学校に上がる前のことだ。

家でひとりで遊んでいたら、玄関のチャイムが鳴った。

出てみると、幼馴染のXXちゃんが泣きながら立っていて、

何か言いたそうに下顎を揺らしていた。

そして私に「YYちゃん、あそぼう」と言った。

私「いいよ、なにしてあそぶ?」

XXちゃん「うちんちいこう」

そういうわけで、XXちゃんの家に行くことになった。

XXちゃんの家と私の家は、はす向かいの位置にあった

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第三夜 食用サボテン

※虫が苦手な方はご注意ください。

食用サボテンをバリバリと食べている私。

その中は虫に食われている。

かじる度に幼虫のからだの一部が覗く。

細長くて白い。脇に二本の焦げ茶色の筋が入っている。

何か蛾か蝶の幼虫である気がする。

トッポの外側のプレッツェルだけを食べる要領で、

幼虫を傷つけないようにサボテンを食べ続けるが、

気をつけていても幼虫の一部を少し齧ってしまう。

だいたい縦半

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第四夜 教室で

女子高の教室にいた。空気が湿っぽい。

教壇には、先生らしいスーツを着た見知らぬ40代くらいの男性と、

その助手らしい白衣を着た白髪の男性がいて、

クラスメイトは皆立って先生の話を聞いていた。

私は吉高由里子だった。

先生がゲームのルールを説明する。

「クラスメイトとキスをすると1点ずつもらえ、7点以上で合格。

よって合格するには7人以上とキスをしなければならない」

するといきなり助

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第五夜 雨ざらしの根

第五夜 雨ざらしの根

実家の一番大きな窓はリビングにあり、庭に面している。

それはちょうど2階のベランダの真下で、ベランダの床がひさしのようになっている。

いつしか、そのひさしのところにブドウの枝を這わせるようになった。

そんな庭をリビングから見ている。

外はどしゃ降りの大雨。

陽が沈んだ頃で、夜の一歩手前。

ブドウのあるひさしの左端に、4つのマンドラゴラの根のようなものが吊るされていた。

茶色くてシワが

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第六夜 港町の惨劇

※後半に残酷な描写があります。

内海に面したのどかな地域。

友人が船で海の向こう岸に渡ろうとしたが、その船は1日に数回しか運行しておらず、

まだ午後の3:00だというのに今日の便は終わってしまったらしい。

海沿いは観光客向けの商店が並んでいて、

その中に麦わら帽子屋さんがあった。

帽子一つの値段は2,200円〜2,800円くらい。

「原価が高いのでこれ以上割引できません」と貼り紙がし

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第七夜 お隣さんの子ども

晴れた日の朝、夫と自宅マンションの一室で過ごしていると、ベランダになぜか通行人がいる。

スーツを着たサラリーマン、OL、幼稚園くらいの子ども、

ベビーカーに赤ちゃんを乗せたお母さん、暇そうなおじさん等々。

自分の部屋のベランダなのにおかしいな、と思って見ていると、

今日はマンションの共用部分のメンテナンス日だったことを思い出した。

マンションのベランダは、隣のベランダとの境の壁が緊急時に

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第八夜 星の島

星の島という島があり、そこには大きなお屋敷があり、

お姫様が住んでいた。

星の島にはお屋敷と自然の他には何もなく、

お姫様は学校を作りたがっていた。

お姫様は人魚に姿を変えることができたので、

しばしば海の中を泳いで大陸へ渡り、

学校を作るための準備をした。

お姫様は、学校ができたら生徒と一緒に修学旅行に行きたいと思ったので、

まず40人分の旅行枠を探すことにした。

一方で、大陸

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第九夜 旅行

夫と夫の妹さん、その娘のZZちゃん、夫の両親の6人で車に乗って旅行をしている。

東京から北へ車を走らせる。

運転は夫がしていて、お義父さんは助手席に、

お義母さんと妹さんとZZちゃんと私は後部座席に乗っていた。

とある県の真ん中くらいで、ZZちゃんが高熱を出してしまった。

さっきまで元気だったのにおかしい。

高架下の日陰に車を止めて、少し休むことにした。

そこへ自衛隊になった私の弟が

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第十夜 人面猫

実家の庭で、肩甲骨が筒状になっている奇妙な猫を見た。

真正面から見ると、両肩から鉄砲の砲口が差し向けられているように穴が開いていて、

その穴から向こうの景色が見える。

最初は単なる気色の悪い猫だと思ったが、

よく見ると顔が人間のようになっていることに気がついた。

また、からだは胴長短足で、トロトロしていて、なめくじのようでもあった。

その人面猫は願いを叶えてくれる。

でも、死者を生き

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