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【治承~文治の内乱 vol.53】熊野騒乱(中)
『平家物語』諸本には、湛増と湛覚とが争った騒乱(前回 vol.52)より前、つまり治承4年4月下旬~5月上旬頃に”以仁王の平家追討の呼びかけ(以仁王の令旨)”をめぐって熊野三山が分裂、合戦が行われた話が記されています。いわゆる「熊野新宮合戦」と呼ばれるもので、今回はその合戦についてのお話しです。
3つの『平家物語』が記すもう一つの熊野騒乱熊野新宮合戦は『平家物語』諸本によって、どことどこが戦った
【治承~文治の内乱 vol.52】熊野騒乱(前)
前回の冒頭で治承~文治の内乱は単純に平家と源家との戦いではなく、様々な勢力が反乱を起こし、様々な階層の人々が多かれ少なかれ内乱の影響を受けたことをお話ししましたが、今回は紀伊国(今の和歌山県、三重県南部)の熊野で起こった騒乱についての話です。
熊野三山と熊野別当熊野騒乱のお話しをする前に、まず今回の話の土台となる熊野三山とそれを統括した熊野別当についてお話ししたいと思います。
熊野三山というの
【駿河国・葛山城 vol.4】葛山城の東西の城域はどこまで?
今回は葛山城の城域の西と東はどこまで?ということで、『日本城郭大系』の言う東郭・大手曲輪・西郭などを探るべく、、東二重堀切のさらに東側、西二重堀切のさらに西側を紹介してみたいと思います。
それと、葛山氏の平時の居館だった「葛山館」も付け足しでご紹介したいと思います。前回vol.3はこちらから。
東郭と南郭
葛山城は東西の二重堀切によって仕切られた区画が城域であるとみなされていますが、『日本城郭
【駿河国・葛山城 vol.1】葛山氏の本城
これから何回か分けて静岡県裾野市にある葛山城をご紹介していきたいと思います。
葛山城は駿河国(今の静岡県東部・中部)の国人領主であった葛山氏の本拠地にある山城です。小規模の城ながら遺構が比較的良好な状態で残されており、また近隣に葛山氏の館跡の遺構もあって、典型的な中世武士の本拠地の様子を今に伝えています。
では、第1回目の今回は葛山城の大まかな説明として、城の立地や歴史、構造(曲輪の配置)など
【伊豆国・山中城 vol.6】未完の岱崎出丸
今回は山中城岱崎出丸エリアを紹介します(前回〔本丸・北の丸〕はこちらから)。
岱崎出丸エリアは鳥瞰図でみると、赤丸で囲ったエリアになります。
例によって拡大します。
岱崎出丸について
岱崎出丸は「出丸」という名がつく通り、山中城の本城部分から飛び出したような曲輪となっており、岱崎出丸の中にもいくつか曲輪があります。そのためこの部分だけを城とみなして岱崎城とも呼ばれます。
また、この岱崎出丸
【伊豆国・山中城 vol.5】山中城の中枢部
今回は山中城本丸エリアを紹介します(前回〔二の丸〕はこちらから)。
本丸エリアは鳥瞰図でみると、赤丸で囲ったエリアになります。
拡大します。
本丸
山中城本丸は特徴的で三段構えとなっていますが、山の傾斜を削平して曲輪としているため各段の面積は狭いです。
本丸上段では西は二の丸、北は北の丸と接続し、北東隅には山中城で標高最高地点(586m)となる天守櫓があって、まさしく山中城の中枢となる曲輪
【伊豆国・山中城 vol.2】二重堀が特徴の三の丸
今回から現地の写真も交えて山中城の各エリアについてお話ししていきたいと思います。第2回目はまず本城部分からということで、山中城三の丸エリアを紹介します。前回はこちらから。
鳥瞰図で言うと、赤丸で囲ったエリアになります。
もう少し拡大。
三の丸について
三の丸は現在の宗閑寺を中心とする平場にあったとされていますが、現在は宅地が建ってて後世の土地の改変もだいぶあると見られるため、曲輪の形は今一
【伊豆国・山中城 vol.1】関東の西の守り
これから何回か分けて静岡県三島市にある山中城をご紹介していきたいと思います。第1回目の今回は山中城の大まかな説明として、城の立地や歴史、構造(曲輪の配置)についてお話ししていきます。
山中城は駿河国(今の静岡県東部・中部)の東端、伊豆国(今の静岡県伊豆地方)の北端に位置していて、天下の嶮と歌われる有名な箱根山中にあります。
この城は永禄年間(1558年~1570年)といいますから戦国時代、小田