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の、あいだに。 お彼岸の朝、葉子はシャワーを浴びていた。 半分開けた浴室の窓からは紺…
ぎゃあてえぎゃあてえはらぎゃあてえ 普段、町内ではあまり聴くことのない大声が葉子の耳に…
夏の終わり 八月中旬、兵庫県で多数の犠牲者を出した豪雨が、その凶悪な雲を引き連れて京都…
スワロウ・テイル 2009年7月22日、日本の陸上で46年ぶりに皆既日食が観測された。…
雨にぬれても 梅雨の只中だった。亨は洛西ニュータウンの現場に向かってミニバンを走らせて…
微笑 六月に入った途端、梅雨を思わせる連日の雨が続いていた。 花村家恒例の月曜朝食会…
楠の流れる 硝子ごしには見えないほどの小糠雨が音もなく降る朝だった。 いつもなら濡れた鋪道を流れていく傘たちの姿がまったくない。京都で新型インフルエンザの感染者が確認され、波多野と尚美の通う大学も五日間の休校となったほど。 中京区では小学生に、下京区では専門学校生に感染者が確認され、両区では小中学校と幼稚園、市立芸大までが休校となった。 そして感染者が確認されていないにもかかわらず街全体に感染への恐怖が「伝染」し、観光客はもちろん道行く市民の数も少なくなっていたの
きゃらぶき 日曜日、葉子と亨はテーブルを挟んで座り朝食後の珈琲を飲んでいた。 「ねえ亨…
弥勒 尚美にはお気に入りの散歩道があった。誰にも、波多野にさえ教えたことはない。 そ…
ひよ 三月のある朝。冷たい風がゆったりと路地を流れていた。葉子は、水のない「川」に体を…
蕊 二月になって古い寺の山門脇で椿が咲いた。寺の山門といっても、山門の周りは静かな住宅…
とおりゃんせ 正月も四日を過ぎた。日曜日である。 正午前、亨は北野の天神さんへ初…