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群青と白痴。

スーパーで買ってきた、1本500円ほどのワイン。 スペイン産の赤。 葡萄を育て、頃合いを見計らって収穫し、絞り、発酵させ、瓶に詰めて、出荷し、船に乗せて・・・。 そ…

ポカラ
3か月前
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カタンカタン

カタンカタン 遥かから、音が響いてくる。 カタンカタン、カタンカタン あれは中央線だろうか。 車輪とレールと、ああ、枕木もか。 線路からは、2kmほどあるはずだけ…

ポカラ
7か月前
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夜猫ソファー

ソファーで寝ているはずの猫が、カリカリと爪を研いでいる。 カリカリ。 パツン、とソファーがほつれる音がする。 …アイツめ。 まあ、ソファーの純潔はとっくに諦めて…

ポカラ
7か月前
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視線-1

写真を撮っていた。 いつも、リコーのGR1が一緒だった。 夏の福島競馬で万馬券を当て、ひとり祝杯をあげた帰り道、一目ぼれしたカメラだった。 ショーウィンドーの中のす…

ポカラ
1年前
1

冴えない日々を送る中年オッサン諸君、我々の人生に「舌触りの良い物語」を発見したぞ!『カンパニー』(伊吹有喜)

カンパニー。 本作のタイトル。 「会社」「バレエ団」「仲間」 読む人の共感するものへの濃度によって、その色は変わる…。 …なんことはどうでもよくて、あなたが「40…

ポカラ
3年前
2
群青と白痴。

群青と白痴。

スーパーで買ってきた、1本500円ほどのワイン。

スペイン産の赤。

葡萄を育て、頃合いを見計らって収穫し、絞り、発酵させ、瓶に詰めて、出荷し、船に乗せて・・・。

それで、500円。いったい、どういう料簡なのだろう。

トクトクトクトク・・・

本当に良い音。これだけで、もう7割ほどは満足してしまう。

少しの渋みと、単純な酸味。

火照りは喉から胃におさまったと思うと、いつの間にか頬に届いて

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カタンカタン

カタンカタン

カタンカタン

遥かから、音が響いてくる。

カタンカタン、カタンカタン

あれは中央線だろうか。

車輪とレールと、ああ、枕木もか。

線路からは、2kmほどあるはずだけれど。

柔らかな心音のような規則正しいリフレイン。

永遠を思わせる繰り返しが、私を満たす。

ああ、私は海に潜っていたのだっけ。

カタンカタン、カタンカタン、カタンカタン

漆黒。

私は耳だけになってしまった。

境界線

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夜猫ソファー

夜猫ソファー

ソファーで寝ているはずの猫が、カリカリと爪を研いでいる。

カリカリ。

パツン、とソファーがほつれる音がする。

…アイツめ。

まあ、ソファーの純潔はとっくに諦めている。

なにせ、猫だ。

音が聞こえなくなる。

きっと寝ぼけていたのだろう。

再び、夜の静けさがリビングを満たす。

スン

という鼻息が一度。

そこからは、夜だ。

私も目を瞑る。

彼女がソファーで寝返りを打つことを、微

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視線-1

視線-1

写真を撮っていた。

いつも、リコーのGR1が一緒だった。

夏の福島競馬で万馬券を当て、ひとり祝杯をあげた帰り道、一目ぼれしたカメラだった。
ショーウィンドーの中のすべての光を吸収するかのように、黒く、濡れたように見えた。

以来、少しでも心が動くと、シャッターを押した。

カラカラに乾いたセミの死骸。赤く錆びたアパートの手すり。
GR1が切り取る長方形の世界に夢中になった。

僕の暮らすアパー

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冴えない日々を送る中年オッサン諸君、我々の人生に「舌触りの良い物語」を発見したぞ!『カンパニー』(伊吹有喜)

カンパニー。

本作のタイトル。

「会社」「バレエ団」「仲間」

読む人の共感するものへの濃度によって、その色は変わる…。

…なんことはどうでもよくて、あなたが「40代を過ぎ」「冴えない会社生活を送り」「傷つきやすい」、そんな愛すべきダメダメ男性ならば、いつでも撤退できる軽い気持ちで読んでみることをお勧めする。

この物語は、「冴えない中年オッサン」に、「夢っぽいもの」や「希望っぽいもの」を、

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