マガジンのカバー画像

sioのイズム

33
sioの料理哲学、イズムを、解像度高く理解するためのnoteマガジンです。 現在、『サウナ』『五味モデル』『リズム』『キレ』『敷学』があります。
運営しているクリエイター

記事一覧

おいしい男になるために

おいしい男になるために

久しぶりにシェフと会った。
変わらず、むしろ以前にましてほとばしる情熱を纏いながら、鋭利な言葉で本質を突かれる。

もっとヒリついてけよ
ふつうになるなよ

一言ひとことが胸を突き刺す。
眠れない。感情がうごめく。
帰りの電車も、家に帰ってからも、ずっと考えていた。
痛いところを突かれて、居心地が悪かったんだと思う。

ヒリついてない?そんなことない。
いや、そんなことあるのかもしれない。

ぐる

もっとみる
おいしいがもたらす息吹

おいしいがもたらす息吹

料理の力を信じている。

ものさしは人それぞれであるとは言えど、おいしいは、年齢性別環境を問わず、人を幸せにする。

日々のエネルギーを生み出すまいにちの食事は身体を満たすおいしさだし、とんでもない食体験は感動を生み出し精神補給になる。

知れば知るほど、比較対象ができる。
すると、感動のハードルは上がるのではないだろうか。だからこそ、超えてきたときの感情はかけがえのないものだ。

あらためて、お

もっとみる
未開の味を旅しよう、旨味のリュックサックを背負って。〜すき焼きトーバーライス〜

未開の味を旅しよう、旨味のリュックサックを背負って。〜すき焼きトーバーライス〜

旨味はリュックサック。
旨味があればあるほど、いろんな味が詰め込める。

オーナーシェフの鳥羽はこう言います。

しっかりとした旨味があると、その他の甘味、苦味、酸味をたっぷりと受け止めることができます。

甘じょっぱいすき焼きはバックパッカーばりのリュックサックです。さまざまな食材と手をつなぎます。
20種類以上のパーツで成り立つ、トーバーライスのメインの具材としてうってつけの食材でした。

もっとみる
ぼくは3年前からファンだった。そして、

ぼくは3年前からファンだった。そして、

厨房内は毎日が酷暑日2019年8月、一つ星レストランのカウンターの中。人が通るにはぶつかるしかないほど恐ろしくコンパクトな厨房。真夏はなんと40℃近くまで気温が上がります。コップに入れた氷もあっという間にとけるほどに灼熱。

慣れない仕込みを何とか終えて、17時前。
照明は薄暗くなり、ムーディーな店内。

「こんばんは。」

お客様が入店します。予約表から名前を確認し、客席にご案内。来店のお礼を伝

もっとみる
新定番・洋食酒場では「あなたの背徳感」がスパイスに。

新定番・洋食酒場では「あなたの背徳感」がスパイスに。

焼肉トラジのアイスキャンディを食べたことがあるだろうか。

キンキンに冷えたビールで喉を潤したら、厚切りタンを焼き、サンチュも手に取りナムルやキムチとともに巻く。一口で食べると肉汁がいっぱいに広がる。

〆にスンドゥブを飲み干したのち、ゆっくりしているとアイスキャンディーの出番だ。
サービスで出している素朴で冷たいミルクアイス。たしかトラジオリジナルのパッケージである。あれがなんとも言えない幸福感

もっとみる
パーラー大箸流ピーチメルバの作りかた

パーラー大箸流ピーチメルバの作りかた

僕はナメていた、ピーチメルバを。可愛らしい見た目と名前で、自分には関係ないものだと距離を置いていました。しかし、一度食べればその押し寄せる甘酸っぱさの虜になるのは僕だけではないでしょう。定番には理由がある、そう思います。

ピーチメルバとは、パーラー大箸で提供している可愛らしいデザート。
味わいが、完全にレストラン。sioのイズムを感じます。

僕らのイズムは、「美味しい」だけで表せるものではあり

もっとみる
僕らが大事にすべきは「気持ち良さ」である

僕らが大事にすべきは「気持ち良さ」である

″その「体験」にお金を払う価値があるか?″

当たり前のことでも、人によって、タイミングによって、刺さる言葉が違う。

3週間の大阪出張の帰りに何気なくTwitterを見ているとみる兄さんが書いた記事が目に飛び込んできた。

バルミューダの製品は持っていない。
しかし、以前から気になっている。
だが、手を出せていない。

一人暮らしの男にとって、決してホイホイ買える商品ではない。
それでも、同世代

もっとみる
鳥羽シェフが考えた丸の内o/sio新名物コクミートのトリセツ

鳥羽シェフが考えた丸の内o/sio新名物コクミートのトリセツ

コクミート、はじめて聞く方もいるかと思います。
言ってしまえば、ミートソーススパゲティの上位互換。
コクミートこそ、究極のミートソーススパゲティです!

2021年9月、コクミートを主体にリニューアルオープンし、業態を肉イタリアンとしてスタートさせたのが功を制し、連日満席頂ける繁盛店に成長していきました!(地に足つけてまだまだ頑張ってます)

そんなo/sioの新定番!コクミートの魅力について徹底

もっとみる
料理人を″料理に携わる人″と再定義する

料理人を″料理に携わる人″と再定義する

1年半前、料理人を辞めた。
脱サラして始めた厨房での修行も、1年間でピリオドを打った。

きっかけは、コロナウィルスが本格的に蔓延し始めたタイミング。
2020年4月、sioでは毎日のようにシェフが #おうちでsio でレシピをアップし、みんなでバインミーや日替わり弁当を作っていた頃だ。 #トーバーイーツ と名づけ、自分たちで届けられる範囲でデリバリーも開始した。

実は、その頃。
僕は高熱が出て

もっとみる
キング・オブ・ポップを目指して

キング・オブ・ポップを目指して

キング・オブ・ポップと聞いて何を思い浮かべるだろう。

多くの方は、マイケル・ジャクソンだろう。
ポップミュージックの王様、人々は愛と敬意をもってそう呼ぶ。

世界ならマイケル・ジャクソン、日本ならサザンオールスターズ。
(個人的には、Mr.Children。「彩り」が好きな人と語らいたい。)

ポップとは、大衆、弾けるさま、のことである。

ポップミュージックの代表的な曲といえば、マイケル・ジャ

もっとみる
イズムを体現する舞台 |o/sio のトリセツ

イズムを体現する舞台 |o/sio のトリセツ

2019年10月10日、o/sioは生まれた。

一年経って感じていることは、
o/sioとは、僕らが″料理人″であることを
体現する舞台なのである。

どんな料理も美味しく作るというのが、僕らのスタンス。

500円のプリンから、2万円のコースまで。
どんな料理も尊く、難しい。
 

日常使いにも、特別な日にも、料理を通して幸せの分母を増やすのが僕らの使命である。

イタリアン、フレンチ、和食。

もっとみる
チキントーバーライス取扱説明書

チキントーバーライス取扱説明書

『sioのイズム』マガジンへようこそ、
イズム宣教師のオリタです。

sio株式会社で料理人をしながら、広報したり、#おうちでsio ラボラトリー長をしています。

最近はホールもやらせていただき、さまざまな経験を積みつつ、レストランに必要な総合力を鍛える日々です。

僕らの料理はイズムがある。
そんな話をnoteで書いてきました。

僕らは、美味しいではなく、心地よいを目指しています。
それを実

もっとみる
そのレシピは本当に考え抜いているのか。

そのレシピは本当に考え抜いているのか。

これまでも、本当にもっとおいしくならないのか、考え抜き続けてきた。

鳥羽は、常にアップデートしてきた。

パスタ料理として捉え、なめらかさとアルデンテにこだわった、ナポリタンを超えたナポリタン。

冷めてもおいしい。これまで挑戦したことないテイクアウトに対して、安心するおいしさの甘じょっぱいをベースに5味+1を搭載した究極のミニマム、HEY!バインミー。

チキンオーバーライスとタコライスを掛け

もっとみる
#感動ズッキーニ のつくり方

#感動ズッキーニ のつくり方

これまで何とも思っていなかったのに、ふとした瞬間の意外な一面。ギャップにときめき、踊る心。

今年の夏、ズッキーニに恋をしました。

--

夏野菜の定番であるズッキーニ。この季節になるとスーパーでは大量に見かけます。

ズッキーニはキュウリのような見た目ですが、キュウリ科ではなく、かぼちゃの一種とのこと。味わいはたんぱくなのでプラットフォームになる野菜です。

肉質はシャキではなく、もっと身が詰

もっとみる