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世の中を虹色にしたい挑戦人☆

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世の中を虹色にしたい挑戦人☆

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  • Korean Ball Run

    幾球かを集めると、伝説の超(スーパー)朝鮮人になれるという球・・・その名はコリアンボール。 この物語(Korean Ball Run)は、一人の在日朝鮮人がそのコリアンボールを捜し求めていく、切なくて、滑稽で、憐れで、だけどちょっぴり胸に残る物語である・・・

  • 書籍・映画レビュー

  • 〈バスケ部回顧録〜スラムダンクとともに〜〉

最近の記事

第20球「課金までして君を待つ」

「今度の秋に、アルバイトの人たちも含めてグァムへ慰安旅行へ行くんやけどき、お前も来る?」 7月末ごろ、新たなバイト先で俺は上司からそう告げられた。 数か月前、俺はピザのデリバリーのバイトをやめた。 夜が遅く、結局帰っても疲れて勉強ができないし、稼げてもあまり意味がなかったからだ。 やめた後、家からそう遠くないところで大学時代の先輩が出版編集会社を経営しているのを聞き、出版会社の事務のバイトとして雇ってもらえないかと打診し、今に至っているというわけだ。 「半額自己負担

    • 『マグニフィセント・セブン』

      昔からセブンとつくものに異常な執着を持つ七夕生まれの僕です!笑 黒澤明の『七人の侍』に感動したハリウッド関係者がリメイクした『荒野の七人』。 それをさらにリメイクしたのが今回の作品です。 リメイクしたので当然に勧善懲悪の王道の話なのですが、 監督が黒人ということもあってところどころに人種差別の話が出てきます。 七人のうち白人は三人で、あとはアフロアメリカン、メキシコ人、東洋人、ネイティブアメリカンと多国籍です。 終始かっちょいい銃撃戦や渋いシーンばかりの子供心揺さ

      • 第一話「ドナドナ」

        🏀🏀🏀 「スラムダンク」アニメ映画化記念ミニ連載!! 題して<バスケ部回顧録~スラムダンクとともに~>! 最近では「スラムダンク」を知らないという方もおられると聞きます。 読め!とは言わないけど、ちょっと関心は持ってほしいのでこれから数回投稿していこうかと思ってます。 っていうか、高揚感がおさまらないのでアウトプットしたいのもあります笑 来るべきアニメ映画を観る前に準備しておきましょう! 要チェックやで!!笑 🏀🏀🏀 小6の時に連載がジャンプで始まった。 同学年

        • 恥じない行動

          ★これは2019年11月11日に行われた幼保無償化除外京都緊急集会において発言されたものです。★ あにゃしみか。こんばんは。 長女を第二初級学校へ通わせているパクといいます。 本日は、大先輩たちがおられる中、保護者代表という事で僭越ながらスピーチさせていただきます。 ただ、代表者と言いましてもやはり自分の事を語ることしかできませんので、また、専門的な話は他の方がしていただけると思いますので、一人の学父母、父親としての言葉でお話します。 私は、ウリハッキョ(朝鮮学校)へ通っ

        第20球「課金までして君を待つ」

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        記事

          第19球「笑えれば」

          「俺、M-1 に出たいんやけど相方になってくれへん?」 俺は緊張しながらも、Sに話した。 「え?え?ええぇぇっ!!?」 そりゃ驚くだろう。なんせあの日本一の漫才師を決めるM-1グランプリに一緒に出ようという唐突すぎるにもほどがある誘いなのだから。 Sとは高校生の時に出会った。高校はお互い別だったが、在日コリアン学生が集まる学生会で俺が会長をしていた3年生の時に彼がやって来た。 秋ごろだったので学生会活動はそんなにしていないが、同年齢ということで仲良くなり、卒業後も会

          第19球「笑えれば」

          第18球「ちっぽけなこだわり」

          「パクさんですよね?いやぁ、会えて良かったです。」 ここはとあるデリバリーピザ屋のバイト控室だ。 秋風が冷たい今日から、このピザ屋でアルバイトをすることになったのだが、初出勤でいきなり茶髪の眼鏡をかけた若者から声をかけられた。 「ああ、どうも。あのぉ、失礼ですけどお名前は・・・?」 俺は戸惑いながらも彼の名前をたずねた。 「初めまして僕はTといいます。今は大学1回生です。今日は給料をもらいに来ただけなのですが、パクさんという人が出勤されるということを聞いて、今まで待

          第18球「ちっぽけなこだわり」

          第17球「マウムフル」

          「さ、寒くないですか!?こ、こ、これ飲みますか!?」 俺は緊張しながらも、目の前の男性に声をかけ、自販機で買ったばかりのお茶を差し出した。 いや、やっと声をかけて差し出すことができたという方が正確だろう。 以前から通学途中やバイトへ行く途中で、何度かその男性の姿を見かけていた。 彼はいわゆる「ホームレス(homeless)」らしく、いつも車輪のついたボロボロの荷台にビニール袋や布袋を大量に詰め込んで通りをゆっくりゆっくり歩いていた。 というのも、彼は片手と片足が不自

          第17球「マウムフル」

          第16球 「キレる」

          「チヂミどうですか~?コリアン風お好み焼き!あのアイドルの髪の毛も入ってますよ~!!」 素通りしていく人たちに無理やりにでも注目させてやろうと、奇抜な宣伝文句をひたすら叫んでいる。 今日はD大学の学園祭だ。俺は違う大学だが、留学同では各大学の出店ブースを盛り上げるべく可能な限りみんなで手伝っている。 昨年はから揚げだったが、今年はチヂミで勝負することになった。から揚げは原価がどうしても高くなるため、売り上げを相当伸ばさなければ満足な利益を得ることができなかった。 他方

          第16球 「キレる」

          第15球 「サマー・タイム・ブルース」(後編)

          「最近なんかヤマンバって言葉が巷(ちまた)で流行ってないですか?」 アメリカへ向かう飛行機の中で、一緒に乗っていた後輩のSが唐突に俺に話しかけてきた。 「あぁ、なんか一時のアムラーとかいうのがどんどん進化して顔面真っ黒に日焼けして、さらには髪の毛も原色やら白髪っぽいのにしてる女子高生らのことやろ?あんなんって東京の一部の子らだけやろ?地元では見たことないけどな。」 「あれってなんで日焼けしたいんでしょうね?黒人への憧れとかあるんですかね?生まれたままの肌の色でええやんっ

          第15球 「サマー・タイム・ブルース」(後編)

          第14球 「サマー・タイム・ブルース」(前編)

          「もしお前の予定が大丈夫なら、今年の夏にアメリカへ行ってくれないか?」 あの6.15首脳会談の興奮も冷めやらぬ6月後半、俺は留学同の委員長から呼び出され事務所にいた。話があるというのでやってきたが、第一声がこれとは!? 「えっ!?アメリカですか!!?今年の夏はご存知のように予定盛りだくさんなのでちょっと厳しいかと…」 そうなのだ。俺の今年の夏の予定は常軌を逸していた。 まず8月の一週目に全国の大学生・専門学校生が集うマダンが二泊三日(8月2日から4日)である。次に、そ

          第14球 「サマー・タイム・ブルース」(前編)

          第13球 「ハナ」

          「祖国って別に統一しなくてもいいんじゃないですか?なにか私たちの生活が変わるんですか?」 大学4回生になったばかりの4月、とある大学の教室での講義後、新入生であるMからこのような質問が出た。 「北朝鮮の人たちってしょっちゅう軍事パレードしてるんでしょ?」 「朝鮮学校って洗脳教育なんでしょ?」 などと並んで、日本学校出身の学生から毎回受ける質問だ。 朝鮮的なるものに接する機会が少ない日本人からそのように質問されるならまだしも、同胞の学生にまで毎回このように質問されるのはな

          第13球 「ハナ」

          第12球「中学の同級生」

          「長い間借りてて悪かったなぁ。なんとか返せそうやし今から会えへん?」 中学の同級生Aから3年ぶりに連絡がきた。そう、俺はAに貸していた。お金を。 話は俺が大学に入って間もない頃にさかのぼる。 中学を卒業して以来全く会ってなかったAは俺の家を訪ねてきた。 「久しぶりやなぁ。元気にしてた?」 「おお!あんまり変わってないなぁ!俺、中学卒業してからすぐに引っ越したからみんなと連絡とれてなかったけど、よく俺の住んでるところが分かったなぁ。」 Aは小学6年のころに転校してき

          第12球「中学の同級生」

          第11球「プライド」

          「俺は将来お金儲けして、その金で淡路島を買い取って、そこに<在日の国>を作ってやる!」 学生会会長をしていた頃、周囲にこんな「おそろしい」発言をしていた。 「韓国も北朝鮮も俺の国じゃないわ。特に北朝鮮なんかひどい国やん。餓死者とかいるし、独裁やし。俺らが住んでるのは日本や。両国とも自分の国とも思えない。これからは在日独自の民族性を守っていくねん。」 無知というのは恐ろしいもので、自分の国のことを全く知らない奴ほどルーツを軽視し、極端な考え方に行き着くいい例だった。 た

          第11球「プライド」

          第10球「本名」

          「もしもし、A新聞と申しますが。あなたの投稿を是非紙面に載せたいと思い連絡しました。」 三回生になった春、吉報が来た。 日本名から朝鮮名にしてちょうど二年が経ち、当初抱いていた自己紹介時の緊張感もなくなり、同級生達から呼ばれることにも慣れてきた。 本名で生きることに充実感を抱いていた。 それと同時に「自分だけではなく、この本名で生きる清涼感と意義をもっとたくさんの俺と同じような若者に知ってもらいたい!伝えたい!」という思いがどんどん強くなっていた。 留学同活動におい

          第10球「本名」

          第9球 「失格」

          「ごめん、、、今は誰とも付き合いたくないねん。」 大学生活が始まったばかりの頃、名前を本名にして朝鮮人をさらけ出して生きてやる!と決めた俺だったが、念願の彼女だけは未だにできていなかった。 恋愛に関して自分が朝鮮人であることを悩むのはもうあの丸坊主事件(「第2球」参照)で懲り懲りだ。 俺は同じ同胞女子と付き合いたいのだ! そんな熱い「下心」を抱きながら留学同(日本の大学及び専門学校に通う在日同胞学生団体)で活動し始めた。 そして、入って最初に気に入った女の子に早くも

          第9球 「失格」

          第8球 「月に咲く花」

          「サマースクールの動員、今年も手伝ってくれへんか?」 大学一回生の7月初旬、留学同という場所に慣れ、ルーキーでありながらドラクエの「ガンガンいこうぜ!」並みに活動していた俺に、朝青支部委員長から携帯へ連絡があった。 「大丈夫ですよ。行きます!!」 朝青も留学同も対象が異なるだけでその底流に流れているものは同じだと確信していたので、俺は即時に承諾した。 留学同を頑張っているから、朝青は遠慮させてもらおうという発想はなかった。 サマースクールとは、日本の中学高校に通う在

          第8球 「月に咲く花」