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第18球「ちっぽけなこだわり」
「パクさんですよね?いやぁ、会えて良かったです。」
ここはとあるデリバリーピザ屋のバイト控室だ。
秋風が冷たい今日から、このピザ屋でアルバイトをすることになったのだが、初出勤でいきなり茶髪の眼鏡をかけた若者から声をかけられた。
「ああ、どうも。あのぉ、失礼ですけどお名前は・・・?」
俺は戸惑いながらも彼の名前をたずねた。
「初めまして僕はTといいます。今は大学1回生です。今日は給料をもら
第17球「マウムフル」
「さ、寒くないですか!?こ、こ、これ飲みますか!?」
俺は緊張しながらも、目の前の男性に声をかけ、自販機で買ったばかりのお茶を差し出した。
いや、やっと声をかけて差し出すことができたという方が正確だろう。
以前から通学途中やバイトへ行く途中で、何度かその男性の姿を見かけていた。
彼はいわゆる「ホームレス(homeless)」らしく、いつも車輪のついたボロボロの荷台にビニール袋や布袋を大量に
第15球 「サマー・タイム・ブルース」(後編)
「最近なんかヤマンバって言葉が巷(ちまた)で流行ってないですか?」
アメリカへ向かう飛行機の中で、一緒に乗っていた後輩のSが唐突に俺に話しかけてきた。
「あぁ、なんか一時のアムラーとかいうのがどんどん進化して顔面真っ黒に日焼けして、さらには髪の毛も原色やら白髪っぽいのにしてる女子高生らのことやろ?あんなんって東京の一部の子らだけやろ?地元では見たことないけどな。」
「あれってなんで日焼けした
第14球 「サマー・タイム・ブルース」(前編)
「もしお前の予定が大丈夫なら、今年の夏にアメリカへ行ってくれないか?」
あの6.15首脳会談の興奮も冷めやらぬ6月後半、俺は留学同の委員長から呼び出され事務所にいた。話があるというのでやってきたが、第一声がこれとは!?
「えっ!?アメリカですか!!?今年の夏はご存知のように予定盛りだくさんなのでちょっと厳しいかと…」
そうなのだ。俺の今年の夏の予定は常軌を逸していた。
まず8月の一週目に全
第11球「プライド」
「俺は将来お金儲けして、その金で淡路島を買い取って、そこに<在日の国>を作ってやる!」
学生会会長をしていた頃、周囲にこんな「おそろしい」発言をしていた。
「韓国も北朝鮮も俺の国じゃないわ。特に北朝鮮なんかひどい国やん。餓死者とかいるし、独裁やし。俺らが住んでるのは日本や。両国とも自分の国とも思えない。これからは在日独自の民族性を守っていくねん。」
無知というのは恐ろしいもので、自分の国のこ