逆噴射プラクティス2019レギュレーションまとめマガジン

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ノート

探偵葬儀

弟から父の容体が急変したと電話を受けたのは、看鴉島を後にした船の上だった。童歌。密室。斬首。首つり。串刺し。逃走する犯人、そしてカタストロフ。なじみ深い色調でデコレーションされた悲劇の終幕にするりと入り込んできた身内の不幸は、なんとまあ華のない日常でつまらない。

「それで姉さん、島の方はどうだった」
「解決したよ。犯人は自殺した」
「美鈴さんは」
「自殺した。彼女の父親も。自分の兄が犯人だと聞い

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本土決戦

壮年の男が額に手をあて、低い音に満ちた青空を忌々しそうに見上げる。
「こんな僻地まで標的にするのか」
「あの大きな鳥はなんだ」
 隣の老婆が不思議そうに尋ねる。
「あれは飛行機。人間が乗っている」
「なぜ山を焼く」
「狙いは山ではない。村だ。お前はこの寺、この山しか知らぬが、あの山向こうには村がある。さらに山をふたつ越えれば大きな町も」
「なぜ村を焼く」
「村には多くの人間が暮らしている」
「そい

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鏖殺グッドフェローズ

20XX年4月1日、アメリカ合衆国・ニッポン自治州、ネオトーキョー特別市。
アオヤマ・ハイスクールは、赤煉瓦の塀と電流鉄線で厳重に囲われている。
オシャレな制服に、オシャレな学園。オシャレな教師に、オシャレな生徒。
世の中で一握り、金持ちの選民の子息だけが青春を謳歌できる特別な場所。
塀の中の世界はあらゆるオシャレに溢れていて、キラキラと輝いて見えた。
だから、全部ぶっ壊してやる。

学園に続く、

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短尾無双アフターマン

「やめてくだせぇ……娘を茹でないでくだせぇ……!」

 老海老のあげた悲痛な叫びは、その頭ごと踏み砕かれた。廃城に陣取る荒くれの数、十七つ。巨大な鉗脚を打ち鳴らしてっぽうで死体を撃ち抜く海老のもの。戯れに床を殴り砕つけて周囲をねめつける蝦蛄のもの。山と見紛うばかりの巨体を窄め呪詛を唱える高足のもの。そして頭目と思しき足らばのものは、大きくひび割れた甲羅に無法を表す「訳あり品」の刺青。いずれもがにた

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純潔♡鮮血♡バージンロード

「ねえママ!」
「なあにアンナ?」
「ママとパパって、どうやってけっこんしたの?」
「突然どうしたの」
「あのねあのね、タータちゃんとおはなししたときにね、タータちゃんのパパとママのけっこんのおはなしをきいたの! それでね、うちはどうだったのかなーって」
「そうだったのね……いいわ、お話ししてあげる」
「やったー! ママだいすき!」
「ママもよ。さてと、もう随分と昔のことになるわね……」

 青薔

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ハピネス注入、幸せチャージしていただきました・・・!
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ゾン・ビル

「死」が並んだ!!時刻は14時44分。ガコンプシュー……。4両編成の最前列のドアが開くと、俺は嘘みたいな量の血とともに転げ出た。深呼吸をすると別にうまくもない空気がうまく感じる。今の今まで満員電車に押し込まれていたんだから当たり前だ。しかも、みんな食人鬼みたいに狂った連中だったら、何が起こると思う?答えがこの死体満載の車両だ。入口には俺を殺そうとした連中の肉が散らばっている。よく見ると腕だったり、

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年号語呂合わせ最強トーナメント日本代表決定戦2019

最強の年号語呂合わせとは何か!?
 まず日本代表を決めよう!さっそく試合開始だ!

 鳴くよ(794)ウグイス平安京が高度1万mから滑空攻撃だ!
 しかし、良い箱(1185)作ろう鎌倉幕府がこれを取り囲み梱包!
 鎌倉幕府勝利!

 次に登場は聖徳太子コックさん(593)摂政就任だ!
 良い箱をフランベ!良く燃える! 聖徳太子勝利!

 そこに乱入は一味さんざん(1333)鎌倉幕府滅亡だ!
 一味

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三途館の活人

近頃は地獄もすっかり観光地になりまして、念仏町を騒がせるのも、お裁きを待つ亡者ではなく、物見遊山の西洋人ばかり。特に大きく様変わりしたのは三途の川の周辺で、かの有名なあっちの岸の茶屋も今はなく、取り潰されて三代目奪衣婆が取り仕切るHOTEL SYODUKAになりました。ただ、話に聞くところそのホテル、中村何某という曰くつきの亡者が建てたものらしく、何やら怪しげが事件がよく起こるのだとか……。

 

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みずうみ

人影を見たと飛び出していった島田が、霧の向こうからぼくらを呼んでいる。

 おーいおーいと繰り返すその声は、確かに島田のものに違いなく、でも、いくらこちらが話しかけても何も返してはくれず、ただメトロノームように淡々と、何時間もずっと、おーいおーいと繰り返している。声の合間、霧の向こうに見え隠れする手をふる島田の輪郭は、頭が大きくふくれあがり、床に垂れ下がり、明らかに人のかたちをしていない。

「だ

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激痛を伴う妻

8月9日(火)

 焼き鮭を口に入れた瞬間、あまりの塩辛さに吐き出した。妻の作る弁当の味は、近頃、日増しに過剰になっている。卵焼きはシロップのようにべったりと甘く、ドレッシングはレモンを丸ごと齧ったかのようだ。顔をしかめながら弁当をつつく俺を見て、部下の梶が笑った。

「土井さん、こういう話を知っていますか。長年夫に暴力を奮われていた妻が一計を案じるんです。夫の食事の塩分量を徐々に増やして、病気に

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