マガジンのカバー画像

乱歩ちゃん

16
長めの文章置き場
運営しているクリエイター

記事一覧

マイバースデイ

マイバースデイ

「占い・おまじない」と少女 : 雑誌『マイバースデイ』の分析から ( https://www.jstage.jst.go.jp/article/rsjars/88/3/88_KJ00009596286/_article/-char/ja/ ) という論文が面白かったのでここに書いておきます。
私はマイバースデイ世代よりちょっと下なので実際にはマイバースデイ読んだことないんですが、この論文によると

もっとみる
中途半端な属性について

中途半端な属性について

唐突に自分の話をします。

私はそこそこ頭がよい子供でした。どれくらいの頭の良さか?というと、小学校ですべての教科がダントツでいちばんであり、大手学習塾から授業料免除するからぜひ在籍してくれ、と言われる程でした。クラスのお楽しみ会の友達に質問しようコーナーでは、クラスメイト全員からなぜそんなに頭がいいのか?という質問をうけとりましたし、田舎では女の子が頭がいいのはネガティブな評価を受けるため、親戚

もっとみる
運命について

運命について

子供の頃、私は田舎に住んでいて、文化的なものに強い憧れを抱いていました。特に澁澤龍彦さんとか金子國義さんといった70年代アングラカルチャーに興味を持っていました。中でも人形師の四谷シモンさんに強い衝撃をうけ、人形を作りはじめます。
インターネットもなかった当時、図書館の情報を使ってどうにかそれらしい作り方を試行錯誤していたものの、中々うまくいかず、いつか、東京にいって四谷シモン人形学校に通いたいと

もっとみる
シリアルキラーの存在意義

シリアルキラーの存在意義

精神的に辛くなったとき、みなさんが心を落ち着けるためにやっているルーティンはなんですか?甘いものいっぱい食べるとか?映画観て泣くとか?残念ながら私は落ち込んでいるときに、そんな能動的なことは一切できません。

私のルーティンは、インターネットで残酷殺人事件や未解決事件を調べることです。私は(自分でいうのもなんですが)社会的地位もそれなりないい大人ですので、ちょっと特別ぶってサイコパスなオレかっこい

もっとみる
美少女とフェミニズム

美少女とフェミニズム

「美少女の記号論」という本を読んだ。この本における美少女とは記号概念としての少女であり、概念上全ての少女は美しいのでつまり美少女、ということになる。創造物である少女がどのように規定され、世間から想定されているかといった研究は古くは「少女民俗学」から「戦闘美少女の精神分析」まで続いており、この本は今までの研究結果を現在の世の中の状況にあわせて多角的にアップデートした形になる。
この本での美少女が今ま

もっとみる

O嬢の物語

もはや古典ともいうべきSMポルノグラフィ。大変有名なのであらすじは書くまでもないと思うが、恋人にロワッシーの館へ連れて行かれたOが見知らぬ男達に共有され陵辱され調教されたあげく「人として扱われない」という状況のもとで、より貞淑でより敬虔な気持ちに目覚め、奴隷状態の幸福に気づくという話である。私は無人島に持っていくならこの1冊(もしくは、ナボコフの「ロリータ」)を選びたい。この本を読むと、私はいつも

もっとみる

人工の冬

この本は、かなり読む人を選ぶのではないだろうか。しかし、私はかなり気に入ったので是が非でも紹介したい。

アナイス・ニンは赤裸々な表現が話題となった日記文学で脚光を浴びた、女流作家である。性愛文学といっても昔の人なので、それこそ源氏物語レベルであるので、全くもってスキャンダラスではない。

この本にはバイセクシャルを含む三角関係を描いた「ジューナ」、あまりに優雅で身勝手な父とその娘(作者本人)との

もっとみる

ネクロマンティック1 完全版

ネクロフィリアを題材としたスプラッタB級ムービーとして紹介されることが多い本作。本国ドイツでの上映禁止、フィルム廃棄などばかり取り上げられるが、内容について書かれたレビューが少ない。
私はネクロフィリアでもスプラッタ映画が好きなわけでもないが、とても良い映画だったと思うので共感した方には是非見てもらいたい。

ご存じない方にあらすじを紹介する。
死体処理を仕事とするロベルトは死体愛好家。同じく

もっとみる

魔女の世界史 女神信仰からアニメまで (朝日新書)

最近おまじないにこっている。なんでまたというと、コンピュータテクノロジとか最新医学とか科学的論理的に発達してきたものに触れるにつれ、その限界をかいま見ることが多く確率論でいえば確かに加持祈祷より効果があるのだろうが、一個人がただその瞬間になんとかしたいことに関して効果があるかどうかについていえば、あまりにも外部要因が多いテクノロジはもはや神に祈るのと大差ないのでは?という気持ちになってきたからであ

もっとみる

アナスタシアの話

これはネットに書いていいかどうかわからないのですが、もう3年以上たつし、時効かなと思うので書きます。
当時ツイッターでよくわからない(本当によくわからない)感じで絡んでくる男の子がいて、共通のリアルの友達がおり、生活圏も近かったのでお茶に誘われたりしていたのですが、タイミングが合わず、会ったことない状態でした。彼の名前を仮にバタやん、とします。
ある日バタやんからDMがきて、週末に長野に石を拾いに

もっとみる
ネオテニーとして生きる

ネオテニーとして生きる

少女民俗学という本によると、日本では本来子供(女)は13歳くらいで成人を迎え、若い大人(女)として社会参加してきたらしい。それが近代化により身体的に成人しても成人とみなされない期間(少女)が生まれ、性別に直接縛られない独自の文化が育まれることになった。少女たちは主に学校や家庭に閉じ込められ、非生産的な生活をおくり、やがて結婚という形で卒業していく。その限られた期間の中での少女のありようが、不確かな

もっとみる
少女神クマリ

少女神クマリ

少女神クマリをしっていますか?

クマリ(Kumari、Kumari Devi)は、ネパールに住む生きた女神である。密教女神ヴァジラ・デーヴィー、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーが宿り、ネパール王国の守護神である女神タレージュやアルナプルナの生まれ変わりとされており、国内から選ばれた満月生まれの仏教徒の少女が初潮を迎えるまでクマリとして役割を果たす。中には初潮が来ず、50歳を過ぎてもクマリを務めている

もっとみる
simoun 祈りの詩

simoun 祈りの詩

すべての人が女性として生まれてくる大空陸。人々は17歳になると泉に行き、自分で性別を決めることができる。舞台は戦時中、神の乗り物「シムーン」を操縦することができる性別化されていない巫女達は、戦闘機として改造されたシムーンに乗り込み、祈りの代わりに人を殺す。巫女として、少女であることを強要されながら…。

2006年頃に深夜アニメとして放送されていたシムーンは、複雑な設定と用語で取っ付きにくいけ

もっとみる
Shampooとはなんだったのか

Shampooとはなんだったのか

Shampooは 90年代にちょっとだけ流行ったロンドンの女の子アイドルデュオだ。いや、アイドルという言い方は彼女たちには心外かもしれない。デビュー当時まだ18歳くらいだったジャッキー(左)とキャリー(右)は、パンクな感じがウリで、ちょっと不良っぽい曲を投げやりに歌い、ファッションもx-girlやヒステリックグラマーをお団子頭で着こなしていた。
彼女たちより少し年下だった私は彼女たちに憧れてその

もっとみる