能登半島地震に被災されました方へお見舞い申し上げます。

私は現在、奈良市に住んでいます。通常通りの生活ができています。今回の地震で被災された地域以外の人たちは、おそらく私と同じでしょう。

私は1995年の阪神淡路大震災で、神戸市長田区に住んでいて被災しました。周りは、爆撃を受けたかのような悲惨な状況でした。食べるものはおろか、水もなければ、毛布もなく、寒さと飢えに苦しむ日々でした。

地震から一週間ほどした頃、知人が話してくれました。「大阪は普通に生活しているらしいよ。」それを聞いた時、「うそ～！」って叫んでしまいました。西宮や宝塚も地震の影響で被害は大きかったです。そのすぐ隣の大阪では普通の生活ができているなんて、信じられませんでした。

この感覚は、被災した人間にしかおそらく分からないと思います。

現在、能登で被災された人たちは、きっと同じ気持ちでいるはずです。テレビをつければ、芸人さんが出て、しょうもないことやって人を笑わしています。食べレポやって、観光案内して、綺麗な女性が笑顔を振りまいて、普通の番組が放送されています。それが、憎らしくなってくるんです。羨ましくなるんです。

なぜ、自分たちだけが、

こんな目に遭わなければならないのか？

芸能人が寄付をいくらしたとかで、売名行為だと騒ぐ人が今回もいます。馬鹿げた話です。神戸の時だって、いっぱい言われました。本当は現地へ行って助けてあげたいところ、有名人は行ってしまうと逆にパニックになるんです。だからせめてお金を、とのことです。

売名行為だと叫ぶ人は、社会のことをまったく分かっていない人だと私は思います。

過去には有名人が顔を隠して、非公表で被災地入りした人もいます。有名人全員ができることではありません。人が良いことをしようとしているのに、それを阻む言葉を発する人の気持ちは、私には分かりません。

大谷選手が先日、日本全国の小学校にグローブを寄付されましたよね。それも売名行為と言った人はいるのでしょうか？　いるかいないかは、私は知りませんが、そんなことを言う人は、おそらく器の小さい人間だと私は思います。自分にはそんな大きな寄付ができなくて、僻んでいるだけじゃないかと思います。

そう言いながら、今の私には何もできません。祈ることくらいしかできません。普通の生活をすることを許してください。

神戸で被災したから分かることですが、この悪夢は必ず終わります。今は耐えてください。とにかく我慢してください。

ただ元通りにはなりません。新たな一歩として前を向かざるを得ない時がやってきます。それまでの辛抱です。

神戸は幸いにして復興は早かったと思います。東北はいまだに復興できていません。能登はいつになるのか、誰にもわかりません。それでも前向くしかないんです。前向いていれば、そのうち何とかなる日がやってきます。それは気休めでも何でもなくて、前向いた人にしかやってこない新しい世界です。

毎日毎日過去の思いにふけっても、過去に戻ることはできません。それだけは事実です。それでも明日はやってきます。明日を信じてとにかく背筋を伸ばしてほしいです。今の私にはこんなことしか言えません。とにかく今が頑張り時です。踏ん張ってください。

私は震災後、音楽にとても助けられました。音楽は一音だけでも気持ちを切り替えることができます。一曲聴けば頑張ろうという気持ちにさせてくれます。今こそ、好きな曲を聴いてください。音楽が生きる勇気を与えてくれます。

一日も早い復興を願っています。