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エッセイ集

178
自身がこれまでに書いたエッセイ集
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#仕事

乾き

乾き

ある日、上司から「そろそろもう少し上の階級を目指してみないか」と言われた。「責任を持つのが怖いです」と返すと、「仕事に責任はつきものだ」と返ってきた。至極真っ当な意見である。だが、責任を負ってでもしたいと思える魅力が今の職場にはない。心の奥底から出た本音は決まって相手を傷つける。上司が投げつけるように言ったあの言葉には、思うようにならない苛立ちと焦りが立ち込めていた。

社会の駒となった自らを会社

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30歳になっても、まだ自分の可能性を捨てきれない

30歳になっても、まだ自分の可能性を捨てきれない

幼い頃にずっとテレビで観ていたヒーローたち。世界の平和を守るために悪と闘うことで、世の人たちから賞賛を得る。そんな人たちを観て育ったからか、自分もいつかは世界を救うヒーローになると信じて疑わなかった。でも、歳を重ね大人になっても、ヒーローはおろか何者かにもなれていない。

人間は自分以外にはなれない。そんな当たり前の言葉を言われても、納得できなくて、何者かになるためにもがく30歳になってしまった。

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世界は誰かの仕事でできている

世界は誰かの仕事でできている

20歳の頃に、工事現場でアルバイトをしていた。いわゆる「きつい・汚い・危険」の3Kに当てはまる労働環境だ。僕にはそこで働かなければならない理由があった。すべてはお金のためである。労働環境がどれだけ厳しかろうと、短時間でお金をそこそこ稼げる。家族を養うために、手っ取り早くお金を稼ぐために、工事現場の仕事を選んだ。

早朝6時に集合して現場に向かう。朝の電車にはくたくたになったサラリーマンばかりがひと

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さて、明日笑えるだろうか

さて、明日笑えるだろうか

毎日を丁寧に生きるが理想。現実は、目の前にやってくるものを処理するだけの日々に忙殺され続けている。この人生に意味はあるのだろうか、なんて無意味な問いを立てるようになったら終わり。それでも意味を求めたくなるのは、きっと人間の性だ。

くたくたの状態で駅へと足を運ばせる。目の前に現れた駅前で抱き合うカップルを横目に聞こえない程度の舌打ちを鳴らす。どれだけ夜が深くなっても、街は静まらない。むしろどんどん

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美の追求をやめたくない

美の追求をやめたくない

自分だけの美を追求したいと、20代前半はずっとそう考えていた。好きなものを書いて生活をする。その理想がもしも叶ったらどれほど幸せだろうか。

表現とは自己満足の連続である。美にこだわりを持てなくなったら負けだと思っている反面、クライアントワークにおいては世間が求めるものでなければ、存在すらもなかったことになる。どちらが正しいとかそういった問題ではなく、自身がどちらの道を歩むのかを好きに選べばいいだ

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あの日、渋谷のスタバでこっそり泣いた

あの日、渋谷のスタバでこっそり泣いた

東京にはじめて足を踏み込んだのは、ベンチャー企業のインターンを受けるためだった。大阪から夜行バスに乗って、8時間ほどかけてやってきた。どこに降ろされたかのはもう覚えていない。見知らぬ土地に1人でやってきた不安、誰も自分を知らないという期待を抱え、東京にやってきた。

渋谷にはじめて降り立った瞬間に、「ここが渋谷かぁ」と田舎者丸出しの気持ちになったことをいまでもよく覚えている。どこを見ても、人、人、

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夢を夢のままで終わらせない

夢を夢のままで終わらせない

日本では職業を夢に挙げる人が多い。僕自身も過去を思い返してみると、職業ばかり夢見ていたような気がする。それと同時に、これまでの人生の中でたくさんの夢を諦めてきた事実に改めて気づいた。

一番最初の夢はお花屋さんである。幼稚園の頃から小学3年生までずっとお花屋さんで働きたいと思っていた。お花屋さんになりたいと思ったきっかけは、単にお花が好きだったためだ。親に花の図鑑を買ってもらって、公園に咲いている

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自分と周りを比べて落ち込んでしまうあなたへ

自分と周りを比べて落ち込んでしまうあなたへ

周りの人が結果を出すたびに、落ち込んでしまう人は多い。僕もその中の1人で、周りの人が結果を出すたびに、いつも落ち込んでしまう。その結果、「くそ」って悔しい気持ちと、「自分なんてどうせ」という卑下な気持ちを抱く。

どんな分野でも結果を出している人はやっぱりすごいし、そこに憧れを抱いてしまうんだけれど、羨ましがってもなにも手に入らない。そんな当たり前の事実は誰もが理解をしている。でも、その事実を受け

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HERO

HERO

誰だって誰かのヒーローになりたいもので、それはたった1人のヒーローでも、みんなのヒーローでもいい。誰かのために頑張る。そして、それが誰かの幸せになれば、この人生はそれだけで生まれてきた甲斐があるってものだ。

「仕事だりぃよなぁ。今日もくそ上司にこっぴどく怒られたよ。あいつに言われた通りにやっただけなのに、言ってることが無茶苦茶だよな。何が言われた通りにしかできないのかだよ」

「今日の佐々木さん

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たとえ思いどおりにいかなくとも

たとえ思いどおりにいかなくとも

「あなたはじぶんが思い描いた人生を歩めていますか?」

キラキラしているわけでも、とんとん拍子で進む人生でもない。今日も今日とてありきたりな日常を過ごしている。仕事終わりに居酒屋で、同僚と生ビールを飲む。そして、会社の愚痴が止まらないそんな人生。家に帰ればひとりきり。家に帰れば、好きな人が「おかえり」と出迎えてくれるそんな人生を歩みたかった。

でも、現実はどうだろう。よれよれのパンツスーツを身に

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社会人6年目、7年目

社会人6年目、7年目

明日から社会人7年目を迎える。年齢を重ねると自ずと積み重なっていく社会人としての時間。新卒の頃は仕事ができずに、周りの人に迷惑をかけまくったけれど、いろんな人のおかげでいまこうして生きている。

春は門出を祝う季節で、寂しさや憂いってやつを綺麗に溶かす。リセットや再出発、新しい自分になるなど前向きな言葉をよく見かけるのも春の醍醐味だ。

僕はいま文章を書く仕事をしているんだけれど、社会人になりたて

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