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映画『To Leslie トゥ・レスリー』をみる。

映画鑑賞料金値上げ直前期の、シネ・リーブル梅田でございます。こちとらTCGメンバーですし、毎週のように映画を堪能できる空間がこれからも未来永劫続いていくのであれば。予告編にも踊っている文言ではありますが今回は「単館上映からアカデミーへ」名実共にサクセスストーリーとなった一本と相対します。ネタバレ控え目な『To Leslie トゥ・レスリー』評スタート。

テキサス州西部に暮らすシングルマザーのレスリー(アンドレア・ライズボロー)は、ある日宝くじで2,500万円もの大金を手にした。夢のダイナーを開店し皆を招くのだとTV局のインタビューに答える傍ら、愛する息子ジェームス(オーウェン・ティーグ)はギタリストへの夢を語った。しかし6年後彼女の元に息子の姿はなくスーツケース片手に寂れたモーテルを追われる様が映る。

アルコール依存症に侵されているようだ。バスを乗り継ぎ離れて暮らす息子の元へと向かったが、彼もまた街の外れで苦しい生活を強いられているのが伝わってくる。久し振りに顔を合わせても、変わらぬ母子の日常が確かに残る。"彼女が酒に手を伸ばさない間だけは"…語り始めてしまうともう止まらなってしまう恐れがありますので、この辺りで引き上げましょうか。

とあるきっかけで、彼女に再起のチャンスが与えられる。給料は僅か7ドル、いつもの店で注文するセットメニューと"図らずも"同金額。どうやら訳ありっぽいロイヤルの正体とは。そしてマーク・マロン演じるスウィーニーは、何故彼女を見捨てようとしなかったのか。是非本編で、ご堪能下さいませ。ハリウッドが賞賛したアンドレア・ライズボローの演技、胸を抉られる。

そういえば春先に観た逸作『レッド・ロケット』の舞台もまたテキサスで。現代のアメリカ社会を知る意味でも、あわせてご覧いただくと面白いのかもしれないですね。4 Non Blondes元メンバーであるリンダ・ペリーが手掛けたオリジナルスコアでも特に印象深いのはM-1「Jezebel」でしょうか。どこか不自然に切り出されたような家族写真の数々に、レスリーの半生がみえる。

一枚一枚に指紋がベッタリ付いてるんですよね、この演出が非常に温かい。端的に言えば「人の血が通っている」、心地良いラストへ繋がる重要な伏線となっていたように感じられました。エンドロールに「Leslie」の名前を見つけた瞬間、初めてこの映画が実話に基づくストーリーだったのだと知る。最後まで席を立っちゃダメですよ、本当に粋な演出が止まりませんから。

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