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「麒麟が来る」解体新書

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越前朝倉氏の黒歴史(3)(『麒麟がくる』解体新書)

越前朝倉氏の黒歴史(3)(『麒麟がくる』解体新書)

西暦1486年(文明十八年)7月4日、越前朝倉氏八代当主・朝倉氏景は三十八歳で死去し、嫡男・貞景が越前朝倉氏九代当主となりました。御年十三歳でした。なお、朝倉氏四代目にも貞景の名前がありますが、もちろん別人です。

斯波義寛のインネン
貞景が越前朝倉氏の家督を相続した翌年の西暦1487年(長享元年)9月12日、足利幕府九代将軍・足利義尚は、近江守護・六角行高が不当に寺社や公家の荘園(私領)を横領し

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「麒麟が来る」放送再開までの間に起きたこと

「麒麟が来る」放送再開までの間に起きたこと

本日(2020年8月30日)からNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送が再開いたします。

そこで、再開にあたり、前回の放送(すなわち桶狭間の合戦)から、今回の第22話「京よりの使者」に到るまでの劇中時間の4年間、天下の情勢がどのようになっていたのかを簡単にご説明しましょう。

桶狭間の合戦は西暦1560年(永禄三年)5月19日に行われました。それから4年後ということは1564年(永禄七年)までとい

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大河ドラマ「独眼竜政宗」の右斜め上45度的考察

大河ドラマ「独眼竜政宗」の右斜め上45度的考察

今日(6/14)の放送分から大河ドラマ「麒麟がくる」はしばらくお休みで、「戦国大河ドラマ名場面スペシャル」が放送されます。

第1回目は「独眼竜政宗」(第25作/主演:渡辺謙)です。

陸奥仙台藩62万石の基礎を築いた伊達政宗の生涯を描いた作品ですが、大河ドラマ歴代最高の平均視聴率39.7%を誇っており、最高傑作とも言われております。

その理由などは他の記事に散々書かれてますので、ここではやや別

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越前朝倉氏の黒歴史(2)(『麒麟がくる』解体新書)

越前朝倉氏の黒歴史(2)(『麒麟がくる』解体新書)

越前朝倉氏の黒歴史、舞台は応仁の乱から始まります。

応仁の乱ってなに?ほとんどの人が歴史用語としか知らないこの乱は、簡単に説明するのがものすごい難しい戦いです。ポイントとしては

1、西暦1467年(応仁元年)から西暦1478年(文明9年)までの約11年間、京都を中心に続いた戦争。

2、時の将軍・足利義政が畠山家や斯波家の家督相続に首をツッコミ、ワケワカメにした挙句、足利将軍家の将軍継嗣問題が

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越前朝倉氏の黒歴史(1)(『麒麟がくる』解体新書)

越前朝倉氏の黒歴史(1)(『麒麟がくる』解体新書)

大河ドラマ『麒麟がくる』第18回「越前へ」で、没落した明智一族は越前国(現在の福井県)に向かいました。当時の越前国は朝倉義景という戦国大名が支配しているわけですが、ドラマでは随分お金持ちのボンボンな大名に見えました。

今日は朝倉氏について解説したいと思います。

朝倉氏のルーツは実は但馬意外に思われるかもしれませんが、朝倉氏のルーツは越前国ではなく但馬国(兵庫県北部)です。

但馬国養父郡朝倉荘

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戦国大名と国衆(『麒麟がくる』解体新書)

戦国大名と国衆(『麒麟がくる』解体新書)

2020年5月10日放送のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の第十七話「長良川の対決」は、美濃守護代を務めた斎藤道三とその子・高政(義龍)の合戦を描いたものでした。結果としては道三が討ち死にし、高政が勝ち、そして道三に味方した明智家が滅ぼされるというストーリーとなっています。

ドラマでは明智光秀は高政と決別した結果、高政の3000の兵に明智城を攻められ、逃亡します。ここで「国衆(くにしゅう)」として

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やっぱり波瀾万丈〜松平家の場合〜

やっぱり波瀾万丈〜松平家の場合〜

3/22(日)放送分の「麒麟がくる」は、ほとんど松平竹千代くんの物語になっていました(このドラマの主人公は誰でしたっけ?(汗))。

この松平竹千代くんは、後に徳川家康となって、征夷大将軍になり、徳川幕府を開いて、260年間の泰平の世の中を築きます。

が、彼の実家である松平家はぶっちゃけ波乱万丈な一族でした。今日はそのことについて述べたいと思います。

松平氏とは松平氏は松平信盛(まつだいら の

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「細川家」というややこしい家の話(後編)

「細川家」というややこしい家の話(後編)

先日アップした「前編」の続きです。
前編では「麒麟がくる」に登場している細川晴元(演:国広富之)について述べましたが、今回はもう一人の細川、すなわち細川藤孝(演:眞島秀和)のことについて述べたいと思います。

細川藤孝の出生細川藤孝は、足利幕府の直臣・申次衆(将軍に拝謁を希望する諸氏と将軍との間を取り次ぐ役目)の一人、三淵晴員の次男として西暦1534年(天文3年)に生まれています。

この三淵晴員

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「細川家」というややこしい家の話(前編)

「細川家」というややこしい家の話(前編)

大河ドラマ「麒麟がくる」の中では、細川を苗字に持つ人物が2人出てきます。

1人は、細川藤孝(演:眞島秀和)。
室町幕府奉公衆の一人で、三渕藤英(演:谷原章介)の弟くんです。

もう1人は、細川晴元(演:国広富之)。
三好長慶(演:山路和弘)の主君で、山城・摂津・丹波の守護大名(京都・大阪の府知事兼府警本部長みたいなもの)。そして室町幕府に大きな影響力を持つ人間です。

この2人は「細川」の苗字を

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