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【短文朗読】空を恋しむ夜に

【短文朗読】空を恋しむ夜に

☆所要時間:2分
☆人数 :1人用

あなたを見つけたのは
森の中
開けた小さな湖でした

小鳥が眠る暗がりで
夜露が光る少し前

満ちたあなたの輝きが
湖面に揺れて

呼ばれた気がして見上げたら
やわらかな光を放つ
あなたと目が合いました

あなたは
わたしの迷った瞳の奥まで照らし
「いつでもおいでと」微笑んで

わたしはそれから
何度も何度も
あなたの光の袂(たもと)へ向かいました

それなの

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【短文朗読】どんなキミの声も

【短文朗読】どんなキミの声も

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

感動屋さんのキミ

キミの心が動いた話を聞けば

涙もろいワタシは

もらい泣きしちゃうけど

キミの涙声

キミの笑い声

キミの拗ねた声

時々

マジメな声

一緒に過ごせる時間は

まるでおもちゃ箱みたい

今日はどんな楽しいを

その声が紡ぐのだろう

どんなキミの声にも

ワタシの声が

寄り添えたなら

それだけで

毎日が色付くんだよ

笑い声

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【短文朗読】想う影の色

【短文朗読】想う影の色

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

想いを届けたくて

手紙を書こうと思いました

想いに当てはまる言葉が見つからなくて

誰かの言葉を借りようと

文字の世界を探しました

素敵な言葉に出会えましたが

どうしても

心の隙間にピタリとハマることがなく

今度は色を探しました

すると

どの色を見ても

想いが重なるのです

悲しくも

嬉しくも

消えそうにも

永遠にも感じられるけれど

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【短文朗読】悲しみの引き出し

【短文朗読】悲しみの引き出し

☆所要時間:2分
☆人数 :1人用

比べることなんてない

比べることなんて できないのですから

「誰にでも」辛いことがある

「誰にでも」悲しいことがある

その誰にでもという「誰か」は

どれだけ「あなた」に
影響するというのでしょう

「誰か」が
とてつもなく酷い目にあったからといって

あなたの悲しみが
悲しくない、なんて
そんなことはないのです

あなたの悲しみは真実

あなたの辛さ

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知ってる?【台本】

知ってる?【台本】

世の中には無償の愛というものがあるらしい

それを聴いた時、私には無縁のものだと思った

何か貰ったならお返しを

何か買ったのなら代金を

それが世の中の流れ

これが当然なんだと

人は見返りを期待する生き物なのだと

私は思っていた

化粧もしてない

髪はぼさぼさ

服なんか適当で

足元は多分サンダルだ

自分の格好なんか気にして無い

今は、背中にいるこの子の体温だけが全て

自分より

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【短文朗読】その音こそが

【短文朗読】その音こそが

☆所要時間:1分
☆人数 :1人用

明るい音も
頭に入ってこない夜

空気が突然
重くのしかかり

心が
ひしゃげそうになる

バラバラになりそうな心を
繋ぎ止めるように

流し込む
ピアノの音色

あの時の「どうして」が
心を占(し)めて

頭の中を
嵐のように風が吹き荒れ
記憶をかき乱す

蘇る悲しみは
心を冷やし

震えるワタシは
もう

その場から逃げることも
隠れることもできなくて

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【短文朗読】あなたが芽吹く頃

【短文朗読】あなたが芽吹く頃

☆所要時間:2分
☆人数 :1人用

疲れた
って、言っていいよ

大丈夫
って、言わなくていいよ

誰かのために
がんばらなくていいよ

真っ直ぐで
いなくてもいいよ

崩れているように見えても

倒れているように見えても

今は

あなたが

新しく芽吹く前なんだ

何も見えなくても

何も聞きたくなくても

それは今が

冬芽(ふゆめ)のように

固く自分を守り

新しい世界に

新しい自分

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