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わたくし、心配というものを一切やめたのよ

久しぶりに祖母と2人で会った。92歳。もしかして彼女を知らない人がその外見だけを見たなら、年齢なりに見えるのだろうか。私にはとても信じられない。おそらく祖母が私のイメージする92歳とかけ離れているからだと思う。

さすがに体の不調はあるとはいっても一人で自由に歩けるし、身の回りのことはだいたい出来てしまう。台所に立つことだってできる。できるどころか、家に代々伝わる手の込んだおせち料理を今年も作っている。祖母の今年の黒豆煮も錦卵もとても美味しく、ありがたくいただいた。頭も冴えていて、回転も早い。友達と話すのとほとんど同じ速度で会話ができる。

(ちなみに祖母のおせちレシピはこちらの本に掲載されている。)

そういった「体や頭がきちんと動く」ということにも驚嘆するが、それよりも。なんでこんなに無邪気でおおらかでいられるんだろうか。それが、とても品がある感じ。いつも、祖母の周りには時間が流れていないかのよう。

きっと苦労も多かったと思う。戦時中の話や、家のこと。たくさんのこと、たくさんの人が過ぎ去っていくのを見送りながら、彼女は歳を取っているようで取っていない。感情のおりのようなものが感じられない。語弊を恐れず言えば、清らかな感じ。私はそれをずっと不思議に思っていた。


祖母と考え方についての話をしていて、その理由がついに分かった。

わたくし、ある時から心配というものを一切やめたのよ。家族とか近しい人には、心配はしないで、ただ祈っているだけね。だって、わたくしが心配しても、どうこう思っても本当に何もならないもの。だから、その分気疲れはなくなったわね。

「心配をやめた」だって....?

それ、簡単にやめることができるものではない。もし心配や不安を一掃できたら、全ての悩みは解決するといってもいい代物だ。もし自分や家族が病気になっても、病気は病気。それでどうかなったらどうしようと心配をしなければ、それは単なる病気であって問題にはならない。病気の結果、もし何かがあっても、それも心配をしなければ悩みにはならない。ただ、そうなった、というだけになる。

私の親は、いつも私に心配をしていたし、今もしている。「親に心配かけないで、一人で生きていけるようになってちょうだい」と言うけど、心配って、かけるかかけないかじゃなく、するかしないか。と、偉そうなことを書いたが、私だって心配はしてしまう。パートナーとの関係とか、仕事のこと、お金のこと、きっと常に無数に心配している。

もちろん、あなたのことも祈っているわよ。

という祖母の言葉。私のことを、心配せずに幸せをただ祈ってくれる人がいる。それはなんてありがたいことだろう。

見えないものが見えるような人に「あなたの後ろで守ってくれている人がいる」なんていうことを聞くことはあったけど、祖母やもっと他の人たちが本当に守ってくれているのかもしれない。


さて、私の取り組んでいる自然の気を使った代替療法、霊気には五戒(5つの心がけ)と言うものがある。

「今日だけは 怒るな 心配すな 感謝して 業をはげめ 人に親切に」

霊気は、怒ったり心配すると、出なくなる(出が悪くなる)と言われている。霊気は自然治癒力を使うもので、そういったネガティブな、よくなる方向に争うようなエネルギーは当然妨げになるのだろう。

五戒を念じて、自分の中の怒りや心配が明らかになったり、やめようと思ったりすると、気持ちが安らかになる感じがして、これは霊気のみならず本当に大事なことだと感じていたところだったから、祖母の話にはびっくりした。なんと、こんな近くに、それを実践している人がいたなんて。

(※ちなみに、霊気では「祈る」ことはしない。怒らず心配せず、そして感謝して業に励んで人に親切にしているのみで、それ以上の祈りなどはない)


この日は、霊気の練習をさせてもらう為に行ったので、寝室で寝てもらい、具合の悪いと聞いた部分からリラックスできるような部分まで、幾つかの場所に霊気をしていった。特に調子を崩していた部分は効果(ヒビキ)を感じるところもあったけど... お年寄りだしもっと全体的にヒビキを感じるんじゃないかと思っていた私の予想に反して、おおむね具合は良いようだった。もし、心配しないで生きられたらこんな体になるんだろうか。

あなたの手って、本当にあったかいのね。

祖母がそう言ってくれたこと、この静かで穏やかな時間を私はずっと忘れないだろう。そして、できたらまた霊気の練習をさせてもらおう。

歳が離れているから、遠くない未来に別々になっちゃう。そんなことをまた心配してしまう。心配してもいいことないわよ精神を見習って、執着しないで、生きていきたい。




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