マガジンのカバー画像

食べ物日記

38
折にふれて感じた食べ物のことや思い出を綴っています
運営しているクリエイター

記事一覧

カツ丼のカツは丸が良い

カツ丼のカツは丸が良い

「友だちにカツ丼のカツは、丸いよね」と言ったら、意外なことを言うという顔で、ただ笑っていた。何度か食べた経験から達した結論なのだが、そうだねという反応がないと一般的な話ではないのかと不安になる。また今度、カツ丼を注文して、丸いことを確認しようと思った。

今日、蕎麦屋でカツ丼そばセットを注文した。出てきたカツ丼を見たら、カツが見事に丸かった。しかもどんぶりの中にぴったりと収まっている。やはりカツ丼

もっとみる
熱帯の果実タマリンドを食べてみた

熱帯の果実タマリンドを食べてみた

タマリンドという茶色の果実を買ってみた。だいぶ前からこのスーパーで売られていて、気になっていたが、今日初めて買ってみた。甘酸っぱい味でそのまま食べられるらしい。タイからの輸入品だが、調べてみるとアフリカ原産で、広く暖かい国々で栽培されている。

箱からひとつ出してみた。10センチ程の大きさで、茶色くなったそら豆のようだ。

殻は乾燥していて、簡単に指で割れた。パリパリと砕けていく。

中から赤茶の

もっとみる
AかBか・・・つぶあんパンか、こしあんパンか

AかBか・・・つぶあんパンか、こしあんパンか

AかBかと考えるのはなかなか頭の体操になる。比較をするうちに両者の長短が分かり頭が柔軟になる。イヌ派かネコ派かなどはよく聞く。この場合、どちらが好きで終わり、どちらが多い少ないで勝敗が決まるみたいなのはきわめて面白くない。両者の比較がないとつまらない。太宰治の何という小説だったか喜劇的なものと悲劇的なものの例として、バスと汽車があった。バスはユーモラスな感じがする。汽車は確かに寂しい。特に夜汽車の

もっとみる
サンドイッチの思い出

サンドイッチの思い出

小学4年の頃、友だちが学校の宿題をやりに家に来た。終わると母が食パンで四角いサンドイッチを作ってくれた。耳がないサンドイッチは小さかったし、数も多くなかったので、すぐに食べてしまった。少ないからなのか、学校給食の固いコッペパンに飽きていたのか、とても美味しかった。たしかハムや胡瓜、ポテトサラダが入っていた。友だちが帰った後で母に「サンドイッチ美味しかった。でも、ちょっとしかなかった。すぐに食べ終わ

もっとみる
イチゴと孫

イチゴと孫

イチゴがすっかりと甘くなり高級品になった。果実売り場には、真っ赤なイチゴが並んでいる。大粒のものや小粒のものが整然と箱に収まっている。たまに不揃い品と称して大小のイチゴが混在して、少し安く売られている。はみ出し品を集めたものなのだろうが、食品ロス対策でもあり、買って食べると甘くてお買い得だった。「形は悪いが美味しいよ」の売り口上が好きだ。見た目より中身ということなのだが、果物に限らず、世の中は視覚

もっとみる
鮪の刺身の膜と魚皮衣

鮪の刺身の膜と魚皮衣

豊洲で鮪の刺身を食べた。ぶつ切りというよりは大きめの角切りだった。鮪の刺身はぶつ切りが旨い。今日のは更に大きくて旨い。ひと口ふた口と進んで行ったが、噛み切れないものが口の中に残った。刺身の端にある筋なのだろうが、角切りなので飲み込むことができない大きさだった。とうとう吐き出して紙の上に出したが、数センチの大きい筋だった。

この筋は、鮪の筋肉と筋肉をつなぐ白い膜だが、普段は膜を断ち切るようにスライ

もっとみる
もりそばを食べての雑感

もりそばを食べての雑感

蕎麦屋に入り、ざるそばを注文した。目の前に正方形の蒸籠に盛られたざるそば、そば猪口、つゆの入った徳利、そば湯が現れた。つゆに点けてズズズーとすする最初のひと口が特に美味しい。そばを食べ終わり、いろいろな想念が湧いてきた。

容器

冷たい蕎麦には、もり、おおもり、ざるがある。その容器だが、子どもの頃から、もりは長方形、おおもりは正方形、ざるは円形だと思ってきた。今日食べた蕎麦屋では、同じ正方形だっ

もっとみる
回転寿司がずいぶん変わった

回転寿司がずいぶん変わった

久しぶりにスシローに行ったら、システムが変わっていた。座席票に書いてある番号のテーブル席に座る。この半個室の落ち着いた空間は昔のままだが、寿司が回ってない。テーブルにあるタッチパネルで注文する一本に変わっていた。注文記録から食べた寿司の合計金額がわかるようだ。食べ終わったら会計ボタンを押すと、後は入口の支払い機に座席票のQRコードをかざして、支払うだけだ。カード払いをしたので、現金払いができるか分

もっとみる
ハロウィーンのカボチャ

ハロウィーンのカボチャ

ハロウィーンのお祭りは、アイルランドの古代ケルト人が冬の訪れを前にして先祖霊を迎える行事だったという。先祖霊への崇拝と畏怖の念を持って、美味しい食べ物を供えて魂を迎えた。日本の先祖霊や歳神様を迎えるお盆や正月の行事に似ている。祖先崇拝は人類共通のもののようだ。

ハロウィーンに欠かせないのがジャック・オー・ランタンに使われるカボチャである。

そのカボチャは、トマト、ジャガイモ、唐辛子、トウモロコ

もっとみる
バナナと私

バナナと私

スーパーや八百屋の店頭を見て、バナナを見るといつも不思議に思うのは、価格の違いである。3〜4本で100円前後から4〜5本200円代とある。数種類を買ってみて味比べをしてみれば、その違いが分かるかもしれないが、年金生活者の身ではそんなゆとりはない。いつも最低価格帯のバナナを買う。それも大手スーパーで最近まで約100円だったが、今春からの物価高で1割以上も値上がった。それでも尚も格安果実であることには

もっとみる
職場のそば屋の女将

職場のそば屋の女将

昔は職場の食堂に働いている人と客の関係は親しいものだった。「職場の食堂の小母さんが、一品おまけしたよと、ちょくちょくサービスしてくれた。アウトソーシングになり、距離が遠くなった」と友人が言った。そう言われれば、働いている頃は、そんな時代だったな。

職場のそば屋に女将さんとしか呼びようのない人がいて、長年にわたり食券の販売をしていた。まだ自販機がない頃で現金払いが当たり前だった。「大盛り、山芋、玉

もっとみる
昔のかき氷の思い出

昔のかき氷の思い出

今夏、はじめてかき氷を食べた。抹茶がかかり、クリームとさくらんぼが乗っていて、ワキに粒あんと白玉団子が付いた立派なものだった。一緒に食べた友人とかき氷の思い出になる。

「昔のかき氷はシンプルだったよな、イチゴ、レモン位しかなかった。一番安いのが砂糖水がかかかったスイだった。小豆は高かった、大人の食べるものだった。」

「シロップが上からかかってないで下の方にだけあった。上の方は氷だけ、氷を食べて

もっとみる
一度だけの蕎麦打ち体験

一度だけの蕎麦打ち体験

蕎麦の乾麺をスーパーの棚から探すときに、食塩無添加かどうかをつい見てしまう。スーパーでは、たまに食塩無添加の乾麺を見かけて、その技につい惹かれてしまう。うどんは、小麦粉のグルテンの働きを出すために塩を入れざるを得ない。しかし蕎麦は塩がなくても打つことができる。十割そばで塩つなぎはありえない。しかも蕎麦湯が飲める。そんなそば粉だけの蕎麦打ち体験を随分と昔のことだが、一度だけ新潟県六日町のJAが主催す

もっとみる
お餅に青カビが

お餅に青カビが

正月が過ぎてしばらくすると、餅に青カビが生えた。すると父がよく包丁でカビの生えた餅の表面を削り取りながら、青カビはペニシリンの素だからたとえ食べても大丈夫だと言いながら、表面をきれいにしていた。子どもの頃の話だが、大人になっても青カビだけは安心感のあるものだった。
 
しかし、最近になり、青カビには病原性はないもののアレルギーや喘息を引き起こすので、口に入れない方がよい、削り取ったつもりでもカビの

もっとみる