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手塚治虫「ブラック・ジャック ミッシング・ピーシズ」
手塚治虫の代表作「ブラック・ジャック」が発表されてから50年。
今年、A I がストーリー制作に参加したという新作「機械の心臓」も読んだ。この作品についていえば、派生的な細かいエピソードがちりばめられているが、作品を貫く太い幹のようなものや、大きな陰影がない。手塚のオリジナルの70%にも到達していないのではないか。
仮に、加藤淳が「ブラック・ジャック」の新作を描くとしたら、
『3人目がいた』とい
金子未弥「未発見の小惑星」
川俣正の「コールマイン田川」で面識のある山野真悟氏の最近の仕事を辿っていくと、金子未弥のドローイングが気になり、横浜・黄金町にあるギャラリーを何度か訪れた。黒澤明の「天国と地獄」の舞台となった町でもある。
NPOが主宰するギャラリーの前を流れる大岡川は、犯人役の山崎努が歩いた場所に続く。
確かな力量で描かれた「小惑星」のドローイングには、コロナ禍での生活体験が反映しているという。他人との関係が閉
水木しげるが見た光景
調布市文化会館で「水木しげるが見た風景」という企画展をみた。
水木は鳥取出身で、戦後、調布に長く在住していたという。
自身の戦場での体験を反映した戦記漫画に圧倒される。原画と、それを拡大したパネルで構成される作品のハイライトを、時間を忘れて辿った。
戦争末期、職業軍人の兄と特攻隊に志願した弟が対峙する。弟の特攻参加に驚く兄は、〈戦争は、おまえのような者が50人、100人死んでも、どうなるものでも