鈴郷

北海道在住。 怖い話が苦手な方でも読んでもらえるような『ゆるい怪談』を綴っていきたいと…

鈴郷

北海道在住。 怖い話が苦手な方でも読んでもらえるような『ゆるい怪談』を綴っていきたいと思っています。

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    ゆる~い怪談話を綴っていきます。

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記事一覧

雨男・雨女

 先日、友人達とキャンプに行った時の話だ。  この話を読んでおられる方々もきっと経験があるかもしれないが、友人同士でどこかに遊びに行く時に、 「今日は晴れて良か…

鈴郷
4年前
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女子校奇譚 「ピアノの鍵盤」

 中学校入学から高校を卒業するまでの6年間を過ごした女子校で、先輩や友人、先生から聞いた話と、私が在籍中に体験した話を纏めてみる事にした。  女子校で起こる不思…

鈴郷
4年前
8

お盆に纏わる話 「一喝」

 友人のM君に聞いた話である。  M君は子供の頃、毎年お盆に父方の祖母の家に家族で帰省していた。お墓参りの為に親戚達も集まるので、普段は遠方に住んでいる年の近い従…

鈴郷
4年前
1

身近で一番怖いのは…

 怪談には「人怖(ひとこわ*ひとおじとも読む)」というジャンルがあるらしい。 お察しのように人が起こす怖い話、言い換えるならば、 「結局さぁ、生きてる人間が一番…

鈴郷
4年前
5

呼ばれる男

 私の夫は少々変わった体質なので困っている。  夫は自分では「霊感全く無しの零感」だと思っているようだが、私は夫を「無自覚の呼ばれ体質」だと思っている。 夫が行…

鈴郷
4年前
6

視える人 其の弐

 私が高校生の時の話である。  おなじクラスにいたMさんは、ショートカットによく日に焼けた肌、ぱっちりとした大きな目が印象的なとても明るい性格の少女だった。この…

鈴郷
4年前
3

視える人 其の壱

 以前、私には「視えたり感じたりする」Kという友人がいた。 「なんかあの場所が気持ち悪い。いるよね?」 「ここに来ると首や背中が重くなる」 「ここを通るとなんか…

鈴郷
4年前
5

ごあいさつ

 私が此処に綴るのは、あまり怖くない御話ばかりです。 私の体験談や友人・知人から聞いた御話は、「怖い」「恐ろしい」と感じられるものが少なくて、「不思議ねぇ」「そ…

鈴郷
5年前
3

雨男・雨女

 先日、友人達とキャンプに行った時の話だ。

 この話を読んでおられる方々もきっと経験があるかもしれないが、友人同士でどこかに遊びに行く時に、

「今日は晴れて良かったね~! この中に雨男とか雨女はいなかったみたいだね~!」

「本当に晴れて良かった! 〇〇さんが来なかったからじゃない? 〇〇さんって雨女だから」

などという会話になる事は無いだろうか? 

私達のキャンプでも当然のようにそんな話

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女子校奇譚 「ピアノの鍵盤」

女子校奇譚 「ピアノの鍵盤」

 中学校入学から高校を卒業するまでの6年間を過ごした女子校で、先輩や友人、先生から聞いた話と、私が在籍中に体験した話を纏めてみる事にした。

 女子校で起こる不思議は男女共学の学校で起きる不思議と少し違うようで、そこはやはり「女子校」という独特の環境の元でしか起きない不思議があるのかもしれない。

 私が通っていたのは創立が明治時代という県内でもかなり歴史のある女子校で、まだ古い校舎や体育館も使用

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お盆に纏わる話 「一喝」

 友人のM君に聞いた話である。

 M君は子供の頃、毎年お盆に父方の祖母の家に家族で帰省していた。お墓参りの為に親戚達も集まるので、普段は遠方に住んでいる年の近い従兄弟達や親戚のお兄さんやお姉さん達に会って一緒に遊べるのが何より嬉しかったのだそうだ。

「あれは小学校の時だったな。年の近い従兄弟達5人とみんなで遊んでいて、家の中で遊ぶのに飽きちゃったから外へ遊びに行こうって話になったんだ」

遊び

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身近で一番怖いのは…

 怪談には「人怖(ひとこわ*ひとおじとも読む)」というジャンルがあるらしい。

お察しのように人が起こす怖い話、言い換えるならば、

「結局さぁ、生きてる人間が一番恐いよね?」

という落ちがつく話が「人怖(ひとこわ)」な怪談になるのだろう。

その人怖の中で私が一番怖いと感じる「慣れ」についての話を綴ろうと思う。

 私が中学校に入学して1ヶ月程が過ぎた頃だった。

休み時間にクラスメートとお喋

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呼ばれる男

 私の夫は少々変わった体質なので困っている。

 夫は自分では「霊感全く無しの零感」だと思っているようだが、私は夫を「無自覚の呼ばれ体質」だと思っている。

夫が行きたがる場所やお気に入りの場所は、なぜか心霊スポットだったり事件・事故で人が亡くなっている場所や跡地だったりする。勿論、夫はその事を知らない。

「あの霊園の中の道を抜けると近道できる!」

夫がドヤ顔でこう言うので、私は念の為にネット

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視える人 其の弐

 私が高校生の時の話である。

 おなじクラスにいたMさんは、ショートカットによく日に焼けた肌、ぱっちりとした大きな目が印象的なとても明るい性格の少女だった。このMさん、実は寺娘だったのだが、

「私? 確かに家はお寺でお祖父ちゃんもお父さんはお坊さんだけど、私には霊感とか全く無いから。変なモノも視えないし、変な音や声も聞こえないよ? だから心霊系の話とか心霊スポットに一緒に行くとかの誘いは役に

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視える人 其の壱

 以前、私には「視えたり感じたりする」Kという友人がいた。

「なんかあの場所が気持ち悪い。いるよね?」

「ここに来ると首や背中が重くなる」

「ここを通るとなんか鳥肌が立ってくる」

友達同士で集まるとKはよくそんな事を言って他の友人を怖がらせたり気持ち悪がらせたりしていたが、次第に「霊が視える」と言い始めた。

「あの歩道橋の上に男の子の霊がいる。ほら!視えるでしょ?」

「そこの電柱の影か

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ごあいさつ

 私が此処に綴るのは、あまり怖くない御話ばかりです。

私の体験談や友人・知人から聞いた御話は、「怖い」「恐ろしい」と感じられるものが少なくて、「不思議ねぇ」「そんな事もあるのねぇ」という感想を持つ話が殆どです。

 もちろん怪談なので幽霊が出てくる御話もあります。

けれど此処の御話に出てくるのは優しい霊が多いので、怖い・恐ろしい御話がお好きな方々には物足りなくてつまらないと思われるかもしれませ

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