山代悟

建築家/博士(工学) 1969年島根県出雲市生まれ。ビルディングランドスケープ一級建築…

山代悟

建築家/博士(工学) 1969年島根県出雲市生まれ。ビルディングランドスケープ一級建築士事務所 共同主宰、芝浦工業大学建築学部建築学科 教授、NPO南房総リパブリック 副代表理事、元 大連理工大学建築与芸術学院 客員教授

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記事一覧

都市木造は なぜ求められているのか、なぜ造れるようになったのか、社会活動はどう変わるのか

『都市木造の世界 ~ビルディングランドスケープのみる中大規模木造建築の最先端~』Vo.1 ビルディングランドスケープでは、自分たちで中大規模木造建築を設計する傍ら、…

山代悟
7日前
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続続・オーストラリアにみる都市木造の可能性(2024、と2023)

本来は2024年2月17日の19時過ぎ成田発でメルボルンへフライトの予定でしたが、機材到着遅れで21:30発、22:30発と2回遅れの連絡。嫌な予感はしたのですが、3回目で明日17時…

山代悟
2か月前
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誰のために働くか

建築デザインを大学と大学院で学んだ自分が就職を決めた時に何を考えていたのかなと振り返った時に、一番は「尊敬できる誰かのために働いて、技術を身につけたい」というこ…

山代悟
2か月前
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伝統をもとに考える。新しい憧れを生み出す。

私は島根県出雲市の出身で、東京の大学に入学する19歳の春まで出雲で過ごしました。母方の家系は大工で、父方の家系は製陶業を営んでいて、木を建材として、あるいはエネル…

山代悟
2か月前
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楽器やスポーツをひとつ身につけるように

noteの記事を読んで色々と得心いったと学生に言われたので再掲。読んでくれるのは嬉しいね。 学生に伝えておきたいことは、学びにおいては「作業時間の短縮」は学びの時間…

山代悟
1年前
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ビルディングランドスケープ:戸建住宅

山代悟
1年前

ペーターとオンジとハイジ。仕事の未来

朝シャワーを浴びながらの思いつき。 労働時間の短縮が叫ばられる。もちろんこれ自体は結構なこと。一方で自分自身に高い課題を課して成長を続けられる人以外はスキルが低…

山代悟
1年前
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市民防災に向けて

昨晩はウェビナー「被災屋根応急補修構法に向けて」を開催しました。令和元年、2019年9月の台風15号をはじめとする台風で大きな被害をうけた千葉県館山市富崎地区。NPO南房…

山代悟
3年前
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ビルディングランドスケープ:教育施設

山代悟
3年前
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モデルをみる力、そしてモデルに描かれていないものをみる力

2010年くらいまではスタディは極力模型でやるようにしていましたが、大連理工大学の客員教授を勤め、日本と中国の両方で仕事をするようになったことがきっかけで、さすがに…

山代悟
3年前
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ビルディングランドスケープ:集合住宅

山代悟
3年前
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セブ|よいとこ

今回は環境建築の国際会議「GREEN 2020 from Ridge to Reef」に参加するためにフィリピンはセブ島に行ってきました。 空港から市内へ。さすが。早速セブの洗礼を受けま…

山代悟
4年前
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二地域居住と「サピエンス全史」

ここのところ飛行機移動が続くため、iPhoneのKindleでの読書。ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」を再読。 「サピエンス全史」https://www.amazon.co.jp/サピ…

山代悟
4年前

続・オーストラリアにみる都市木造の可能性

「低炭素社会への環境意識」への適合性の高さが都市木造の大きな魅力であり、林業関係者や一部の建築家だけでなく、事業主側から都市木造を建てたいというニーズが生まれる…

山代悟
4年前
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木でつくる多様な働き方のためのインダストリアライゼーション

芝浦工業大学大学院の修士論文の発表会に参加した。いろいろと面白い発表はあったが、最後の方にあった生産系の発表が興味深かった。 ひとつは女性が建築生産の現場で働く…

山代悟
4年前
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ビルディングランドスケープ: アーバンデザイン

山代悟
4年前
都市木造は なぜ求められているのか、なぜ造れるようになったのか、社会活動はどう変わるのか

都市木造は なぜ求められているのか、なぜ造れるようになったのか、社会活動はどう変わるのか

『都市木造の世界 ~ビルディングランドスケープのみる中大規模木造建築の最先端~』Vo.1

ビルディングランドスケープでは、自分たちで中大規模木造建築を設計する傍ら、様々な団体や法人から依頼を受け、中大規模木造建築についてのビデオを企画、撮影、編集してきました。

中大規模木造建築、その中でも多層の構造を持ち、都市部でも建築可能な防耐火性能をもった建築を「都市木造」と呼びます。

地球規模でも環境

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続続・オーストラリアにみる都市木造の可能性(2024、と2023)

続続・オーストラリアにみる都市木造の可能性(2024、と2023)

本来は2024年2月17日の19時過ぎ成田発でメルボルンへフライトの予定でしたが、機材到着遅れで21:30発、22:30発と2回遅れの連絡。嫌な予感はしたのですが、3回目で明日17時発に延期とのダメ押しの連絡、、。成田空港は23時にはクローズだからもう一回遅れたらやばいと思っていましたが、、。

気を取り直して18日日曜日の17:00成田発で出発。19日月曜日メルボルン空港に朝5:25に着陸。シテ

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誰のために働くか

誰のために働くか

建築デザインを大学と大学院で学んだ自分が就職を決めた時に何を考えていたのかなと振り返った時に、一番は「尊敬できる誰かのために働いて、技術を身につけたい」ということだったと思う。独立することは前提だったので。

大きな企業にも入れたかもしれないけど、配属であてがわれる設計部長とか室長の元で働くというのはイメージできなかった。なんでこの人の言うことを真に受けないといけないの?という感じ。生意気も甚だし

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伝統をもとに考える。新しい憧れを生み出す。

伝統をもとに考える。新しい憧れを生み出す。

私は島根県出雲市の出身で、東京の大学に入学する19歳の春まで出雲で過ごしました。母方の家系は大工で、父方の家系は製陶業を営んでいて、木を建材として、あるいはエネルギー源として利用するのを見ながら育っていました。東京に出て大学で学んだり、設計事務所で就職してからは、出雲の大人たちと触れ合う機会はほとんどなかったのですが、30代になってから出雲で建築ワークショップをしたり、まちづくりのお手伝いをする機

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楽器やスポーツをひとつ身につけるように

楽器やスポーツをひとつ身につけるように

noteの記事を読んで色々と得心いったと学生に言われたので再掲。読んでくれるのは嬉しいね。

学生に伝えておきたいことは、学びにおいては「作業時間の短縮」は学びの時間の短縮、すなわち、学びのチャンスの減少にしかならないケースが多いということ。

手描きで何時間も製図にかかるものをCADでは数分で描画することができるケースがあります。その「製図」の効率性は「設計」というスキルを身につけた後に仕事の効

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ペーターとオンジとハイジ。仕事の未来

ペーターとオンジとハイジ。仕事の未来

朝シャワーを浴びながらの思いつき。

労働時間の短縮が叫ばられる。もちろんこれ自体は結構なこと。一方で自分自身に高い課題を課して成長を続けられる人以外はスキルが低いまま置かれる。そしてAIやロボットに仕事を奪われていくだろう。

労働時間短縮の次の論理的な帰結は、労働者自体の削減だろう。実際は同時に起こる。

近未来の仕事はどんなものになるか。アルプスの少女ハイジになぞらえて考えてみた。

ひとつ

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市民防災に向けて

市民防災に向けて

昨晩はウェビナー「被災屋根応急補修構法に向けて」を開催しました。令和元年、2019年9月の台風15号をはじめとする台風で大きな被害をうけた千葉県館山市富崎地区。NPO南房総リパブリックで空き家をお借りして、二地域居住体験施設「布良ハウス」を運営し、事務局長として春日広樹さんが住んでいた地域です(台風当時のことについてはこちら )。

台風時の第一報を受け取ったのは、イタリアのキアンティのワイン畑。

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モデルをみる力、そしてモデルに描かれていないものをみる力

モデルをみる力、そしてモデルに描かれていないものをみる力

2010年くらいまではスタディは極力模型でやるようにしていましたが、大連理工大学の客員教授を勤め、日本と中国の両方で仕事をするようになったことがきっかけで、さすがに日中両方で模型をつくるほどのマンパワーもないので、SketchUpやRhinoを使ってのスタディの比重が上がってきました。

ただし、スナップショットを送ってもらって判断するのではなく、3Dモデルを送ってもらって自分でモデルのなかを「ぶ

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セブ|よいとこ

セブ|よいとこ

今回は環境建築の国際会議「GREEN 2020 from Ridge to Reef」に参加するためにフィリピンはセブ島に行ってきました。

空港から市内へ。さすが。早速セブの洗礼を受けます。世の中、リスクってなんだろう。

マゼランを倒した国民的英雄ラプラプを記念した公園へ。公園の東屋。葦のようなもので葺かれた屋根と、草で編んだスクリーンの壁。壁は外に倒れた角度で取り付けられている。他の

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二地域居住と「サピエンス全史」

二地域居住と「サピエンス全史」

ここのところ飛行機移動が続くため、iPhoneのKindleでの読書。ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」を再読。

「サピエンス全史」https://www.amazon.co.jp/サピエンス全史-上下合本版-文明の構造と人類の幸福-ユヴァル・ノア・ハラリ-ebook/dp/B01KLAFEZ4/ref=mp_s_a_1_4?keywords=サピエンス全史&qid=15831085

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続・オーストラリアにみる都市木造の可能性

続・オーストラリアにみる都市木造の可能性

「低炭素社会への環境意識」への適合性の高さが都市木造の大きな魅力であり、林業関係者や一部の建築家だけでなく、事業主側から都市木造を建てたいというニーズが生まれる背景だと言えるだろう。今年は「木造化したビルの方が良いテナントがつき、家賃も高く取れる」というコメントも聞かれた。
日本では自然で素朴な表情の木造が多いが、200 Georgeに見られるようなエコロジーとゴージャスさが組み合わさったデザイン

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木でつくる多様な働き方のためのインダストリアライゼーション

木でつくる多様な働き方のためのインダストリアライゼーション

芝浦工業大学大学院の修士論文の発表会に参加した。いろいろと面白い発表はあったが、最後の方にあった生産系の発表が興味深かった。

ひとつは女性が建築生産の現場で働く状況とその困難について。人手不足もあり、専門工事会社でも女性を積極的に雇用し働く環境を整えようと取り組んでいる会社も多いが、出産を契機に離れてしまうとのこと。子どもが生まれれば朝の家事はさらに忙しくなるし、保育園幼稚園に子どもを届けるまで

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