とらつぐみ(鵺)

春から社会人になりました。野鳥観察と漫画・アニメが好き。週末に駄文や小説を更新します。…

とらつぐみ(鵺)

春から社会人になりました。野鳥観察と漫画・アニメが好き。週末に駄文や小説を更新します。 連載→ 本の感想「今月の本」、連作小説「微と怪異」(不定期更新 )、エッセイ「鳥好きの無駄話」

マガジン

  • 虚無まとめ本(ジャンル色々)

    存在しない街を散歩したブログや存在しない本を読んだ感想文など、虚無の創作をまとめました。ここに書かれていることは何一つ信用してはいけない......

  • 鳥を愛でる(短編小説・エッセイ)

    野鳥観察のエッセイや鳥が登場する小説をまとめました。

  • 連作小説まとめ

    妖怪や怪異話が好きな女性が主人公の連作小説です。そこまで怖くはないですがホラー要素あります。人外が好きな人におすすめ。不定期に更新します。

  • 本の感想

    これまでに書いた本の感想文をまとめてあります。

  • とらつぐみお気に入り

    こんにちは、とらつぐみです。自己紹介とお気に入りの小説・エッセイをまとめてあります。

最近の記事

ノン・アサーティブ・ストーカー(小説)

職場の同僚、八津瑠璃香に盗聴されていることに気づいたのは、4月の初め、湿度が高くてやたらと暑い晩のことだった。 社宅のワンルームの部屋。玄関入ってすぐ、下駄箱の下あたりにある、何に使うのかよくわからない(のであまり使っていない)コンセントに、見慣れないコンセントタップがついていた。 それを見つけた私は、防災用にと最近買った小型ラジオの電源をつけ、そこに近づけてみた。案の定、電波は乱れノイズが入った。典型的なコンセント型盗聴器だ。 コンセントは他にもあるのに、普段あまり抜

    • 葉牡丹と夢枕(小説)

      母方の祖母はよく、「夢枕に誰かが立った」という話をしていた。 死んだお爺さんが、親戚の誰々さんが……祖母の枕元に立ってきた人は10人くらいいたんじゃないだろうか。 毎回、「この世への未練とか、何か強い想いがあるから枕元に立つんかなぁ」としみじみした調子で言うもんだから、「そんな非科学的な」とは返せなかった。 「葉牡丹の精が夢枕に立った」と言われた時以外は。 『いや何やねん、葉牡丹の精って』 『あんたも見たらわかるって。あれは葉牡丹の精や。枕元にちょこんと座ってるねん』

      • 「わからない」ことの魅力〜古代メキシコ展に行ってきた(エッセイ)

        こんにちは、とらつぐみです。 先日、国立国際美術館で開催中の特別展「古代メキシコ」に行ってきました。 ↑公式サイト。写真撮影可(個人利用のみ、SNS可)とのことなのでちらほら展示品の写真が現れます。 古代メキシコ展は東京会場で開催されていたとき話題になっていたので楽しみにしていましたが、実際行ってみて、結論からいうととてもよかったです。 古代メキシコ、と言っても馴染みがない人が多いと思います。 とらつぐみは高校は世界史選択だったのでテオティワカン、マヤ、アステカと聞

        • 人にはあまり理解されない「ゾワゾワするもの」の話をしよう(エッセイ)

          こんにちは。とらつぐみです。 早くも花粉が飛び始めているみたいで、鼻と喉がずっとムズムズしています。 (先日血液検査をしたら酷いハンノキとハウスダストアレルギーがあると診断されました。どうりで年中ムズムズするわけだ)  ところでみなさんは、ある特定のものに対して、「なぜだかわからないけど身体がゾワゾワする」という感覚を覚えたことはありませんか? わたしはあります。 アレルギーならば、原因(アレルゲン)を避けたり薬を飲めば症状が落ち着きますが、「なんだかゾワゾワする」もの

        ノン・アサーティブ・ストーカー(小説)

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        • おいしいもの(短編小説集)
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        記事

          怪異と残業した話(小説)

          わたしが初めて職場で不気味な老婆の笑い声を聞いたのは、繁忙期の夜9時、一人残って残業していた時だった。 その時は、ちょうどその日育休に入った先輩の事務仕事を引き継いだばかりで、慣れない作業にずっと戸惑っていた。 目や肩が限界を迎えたので、席を立ち、お手洗いに向かう。わたしの部署はフロアの真ん中あたりにあるが、左右の島にはいつのまにか誰もいなくなっていて、蛍光灯も消えている。 通路を挟んで向かいの島には蛍光灯がついているが、見たところ人の気配はない。 なんとなく心細い気

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          箕薇路村で“幻の果実“むさごを食べる(空想フードエッセイ)

          皆さんは、「むさご」という木の実を、食べたことがあるだろうか。 むさごは、N県の奥地にある箕薇路村が原産地だが、その小さな村でしか栽培されていない「幻の果実」と言われている。 筆者は先日、そんな珍しい木の実を食べるため、箕薇路村を訪れた。村の外ではその名前すら聞かないが、村の人々にとっては馴染み深いものらしく、様々な形で食べられているようだ。 今日は箕薇路村を訪れた備忘録も兼ねて、幻の果実「むさご」と、それを使って作られたお菓子について紹介したいと思う。 むさごは茹で

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          夜に鳴く鳥は鵺だけじゃない(エッセイ・鳥好きの無駄話④)

          唐突な質問だが、読者のみなさんは「夜に鳴く鳥」と聞くと、どのようなイメージを抱くだろうか。 例えば仕事終わり、暗い夜道を歩いている最中どこからか鳥の鳴き声が聞こえてきたとき。あるいは夜中家で寝ている時、窓の外から鳥の声が聞こえたとき。 「夜に鳴く鳥なんて不気味だな」「怖い」と思う人も多いのではないだろうか。 そういう人が多い、ということは、「夜に鳴く鳥」そのものが妖怪だと考えられていることから明らかだろう。その最たるものが、「鵺(ヌエ)」という妖怪だ。 『平家物語』の

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          あけましておめでとうございます2024(新年のご挨拶)

          こんにちは、とらつぐみです。 新年明けましておめでとうございます。掃除しているうちにいつのまにか年が明けていました。 昨年は、年度初めから仕事に追われて忙しかった印象しかありません。 慌ただしく5月になり、岸辺露伴の映画を4回観ているうちにいつの間にか夏になり、お盆ごろ仕事が落ち着いたかと思えば謎の体調不良、そして11月に鬼太郎の映画で全ての記憶を失って…… ↑昨年書いた記事のまとめ。ドタバタしている中でもたくさん小説は書きました。 今年はもう少し余裕がある一年にな

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          小説を15本書いて映画を20回以上観た(2023年の記事まとめ)

          こんにちは。とらつぐみです。何かとバタバタしてるうちにあっという間に年末が迫ってきましたね。 とらつぐみの2023年は色々ありすぎて年の前半のことはほぼ忘れている(え?)という感じですがみなさんの一年はどうでしたか? 来週末はもう大晦日なので今年の更新はこれが最後ということで、今回は2023年の記事まとめです。 今年書いた記事は、小説が15本(短編12本、連作3本)、本と映画の感想が7本、エッセイとその他虚無が20本です。その中から個人的に気に入っているものをピックアッ

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          ゲゲ謎を観た人こそ読んでほしい:『総員玉砕せよ!』『水木しげるのラバウル戦記』の感想(本の感想)

          こんにちは。寒暖差のせいで今日も着る服を間違えた。とらつぐみです。 最近映画の感想が多いですが、今回は本の感想、水木しげる先生の『総員玉砕せよ!』『水木しげるのラバウル戦記』です。 ↑『総員玉砕せよ!』は講談社文庫版の電子書籍を購入しました。 『総員玉砕せよ!』は、太平洋戦争末期のニューブリテン島(現在のパプアニューギニア)に上陸した陸軍の一隊が、連合国軍の攻撃を受けて全滅する様を、二等兵である「丸山」の視点で描かれる戦記マンガです。 一方でラバウル戦記は、戦後すぐと

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          冬の散歩と大判焼き(小説)

          わたしの夫、金子遊弥は少し変わった人だ。 友人の紹介で初めて一緒に食事をした時の第一印象は、物腰柔らかな関西弁にあまり表情の動かない、穏やかそうな人、というものだった。 だから帰り際、突然「今度は食事やなくて、何か別のことがしたいですね。散歩とか行きませんか」と言われた時は驚いた。 「え、散歩? なんで……散歩なんですか」 「一緒にご飯食べるより、お互いのこと知る方法は他にもあると思て……ぶらぶら歩きながら色んなこと話せるでしょう? あ、もちろん、あんまり散歩好きじゃな

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          ゲゲゲの沼から抜けられない/「推し」という概念が怖いパート2(日記)

          こんばんは。とらつぐみです。数週間前も寒暖差にキレていましたが今週も寒暖差ひどいですね。風邪ひくわ。 さて、このブログは毎週更新で隔週で小説とエッセイを書くことにしていますが、今週分のエッセイが何も思いつかないので日記です。 なぜ思いつかないかというと、2週間前に鬼太郎の映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を見て以来、心を失ってしまったからです。 映画は結局5回行き(12/3現在)、先週末は気づいたら新幹線に乗って調布にやって来ていてと、鬼太郎に関係すること以外の「私生活」が

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          ベニクラゲの少年(小説)

          月野光希が「人魚浜」でその少年と会ったのは、高校2年の秋、満月の夜だった。 光希はその日、高校の進路面談を終えた後、あてもなく自転車を漕いでいた。 学校の周辺は住宅地、そこを抜けた先は広い国道で、道沿いにホームセンターや大型書店などが並んでいる。 進路面談に来てくれた父は、慌ただしく仕事に戻っていった。母は、ここしばらく家に寄りついていない。家に帰ってもどうせ誰もいないだろう。 光希は国道沿いの大型書店で時間を潰した。店内には高校の同級生や先輩の姿をちらほら見かける。

          ベニクラゲの少年(小説)

          この沼は深い:映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の感想(ネタバレあり)

          こんにちは。とらつぐみです。先週も寒暖差に怒っていましたが今週は急に「冬」になり風邪引きそうですね。 さて、今週は映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観に行き、呆然としながら映画館を後にし、次の日また観に行ったら休日が終わっていました。 ↑公式サイト。メインビジュアルがすでに怖い。 結構内容はえげつない(レーティングはPG12)が何がきついのか自体がネタバレになっちゃうので、「引き返してください、忠告はしましたよ」と鬼太郎みたいなことを言うしかない。 この映画は、言わずと知

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          心の声に忠実な感想『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』(ネタバレ有)

          こんにちは、寒暖差でずっとうっすら体調が悪いとらつぐみです。地球、急に暑くなったり寒くなったりいい加減にしろ。 先日、『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』を見に行きました。 休日の朝早くに見たからというのもあるのか、劇場は小さい子供を連れた家族連れが多かったです(私の隣と前後も家族連れで挟まれてた)。 ↑公式サイト 「すみっコぐらし」はsan−xのキャラクターで、映画は本作も含め3作目です。2作目に関しては以前このブログで感想を書きました。 すみっコぐ

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          1分でできる! パーソナルバード診断(架空の診断)

          パーソナルバード診断とは パーソナルバード診断とは、あなたに似合う鳥が簡単にわかる診断のことです。 こんな時に便利 ・鳥を自分の周りに侍らしたいがどんな鳥が似合うのかわからない ※似合うからといって野鳥を捕獲するのはやめましょう ・自分のオリジナルキャラのイラストの横に鳥を描きたいが何を描けばいい感じになるかわからない 診断方法は簡単、二つの質問に答えるだけ! あなたも自分のパーソナルバードを見つけてください! 🦆🦜パーソナルバード診断🕊️🦉 Q1 あなたは

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