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台湾ひとり研究室:取材メモ

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各マガジンには入らないけれども、台湾ルポライターとして見聞きした取材メモをお届けします。
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台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-趙德胤《診所》」

台湾ひとり研究室:映像編「TIDF2024鑑賞録-趙德胤《診所》」

今週15日、クローズアップ現代で「ミャンマー潜伏1000日の記録 “見えない戦場”はいま」が放送された。アウン・サン・スーチー氏が政権を握り、2010年代中盤からの民主化が軍によるクーデターで一気に暗転したのは2021年、3年前のことだ。民主化を求めて行動する映画監督によって撮影され、先月日本で公開されたドキュメンタリー映画『夜明けへの道』を軸に、ミャンマーの現状を伝える内容だった。

5/10か

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台湾ひとり研究室:映像編「イチ推し映画祭TIDFがチケット販売開始。」

台湾ひとり研究室:映像編「イチ推し映画祭TIDFがチケット販売開始。」

5/10-19開催の台湾国際ドキュメンタリー映画祭(TIDF)で会員向けのチケット販売が4/17からスタートしました。

オープニングは4/3に逝去した写真家・張照堂監督の「紀念.陳達」。台湾月琴の名手として知られた陳達(1906-1981)の姿を収めた作品。今回、個人的に大注目の1本です。

陳達の曲を初めて聴いたのは、去年。夜の中正紀念堂で行われたダンスパフォーマンスのBGMとして流れる曲に、

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台湾ひとり研究室:取材メモ編「台湾、ペットIDをスタート。」

台湾ひとり研究室:取材メモ編「台湾、ペットIDをスタート。」

4月10日、ペットの日(4/11)にあわせる形で、台湾農業部(農産省に相当)が記者会見を行い、今後、犬と猫のID登録制を設けると同時に、専用サイトの設置を発表しました。

2017年にペットの殺処分ゼロに踏み切った台湾では、近年も特に猫を飼う人が増加。2021年には台湾に密輸された250匹の猫が殺処分される事件が起きました。フランスでは動物の生体販売禁止になりましたが、台湾では今も販売が続けられる

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台湾ひとり研究室:取材メモ編「求めるのは尊厳。——国際女性デー「学校における月経をめぐるヘルスプロモーション」

台湾ひとり研究室:取材メモ編「求めるのは尊厳。——国際女性デー「学校における月経をめぐるヘルスプロモーション」

2024年3月9日、国際女性デーにちなんだシンポジウムが大阪大学佐治敬三メモリアルホールで行われた。タイトルは「学校における月経をめぐるヘルスプロモーション」である。幸いなことに、オンライン配信も行うのでいかがですか、とお声がけいただき、参加した。

取材によるご縁から訪問団来台へ。

今回のシンポジウムを主催した大阪大学の杉田映理さんとは、台湾にできた月経博物館に関連して日本の状況について伺う取

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台湾ひとり研究室:取材メモ編「台北国際ブックフェア、大盛況で閉幕。」

台湾ひとり研究室:取材メモ編「台北国際ブックフェア、大盛況で閉幕。」

2024/2/20-25に開催された「台北国際ブックフェア」、最終日にようやく会場へ行ってきました。

週末で、とにかく人、人、また人! ここは東京かと思うくらいの人出と熱気を感じました。公式発表によれば参加者数はのべ55万人! 1日あたり約9.2万人が参加した計算。多いと思った!

ひと言でいうなれば「本にはまだまだ希望がある」と感じられました。さまざまな試みがなされていたので、ざっとピックアッ

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台湾ひとり研究室:本屋篇「佐々涼子著『夜明けを待つ』に見る絶望と希望のあいだ。」

台湾ひとり研究室:本屋篇「佐々涼子著『夜明けを待つ』に見る絶望と希望のあいだ。」

静かな、とても静かな、佇まいをしていた。1冊をひと言で表してしまうのは、なんだか失礼な気もして躊躇われるのだけれど、その気持ちをぐっと抑えると「静謐」という言葉がすっと立ち上がっていた。とはいえ、ただの静けさではない。真正面から生と死を見つめ、四つを組み、闘いを繰り返してきた人だけが持つ——奥に炎の見える静けさだ。

今は「エモい」文章が喜ばれるという。エモい、といわれても、すっかりピンとこない世

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台湾ひとり研究室:取材メモ「星野リゾートの会見で感じた訪日インバウンド布石の重要さ。」

台湾ひとり研究室:取材メモ「星野リゾートの会見で感じた訪日インバウンド布石の重要さ。」

4年ぶりに開催されたプレス発表

「コロナ前は毎年開催していたんですが、今回、4年ぶりなんです」

こんなふうに再開の喜びを語ってくれたのは、星野リゾートグローバルマーケティングユニットディレクターの佐藤亜沙子さんだ。聞けば、コロナ前まで、毎年、プレス発表を行っていたという。

ようやく合点がいった。というのも、星野リゾートは台湾で圧倒的な認知を誇る。海外利用者数の中でも、台湾はトップ顧客なのだそ

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台湾ひとり研究室:取材メモ「伝説のパフォーマンスに触れた夜」

台湾ひとり研究室:取材メモ「伝説のパフォーマンスに触れた夜」

日本のゴールデンウィークほどではないけれど、メーデーで3連休だったこの週末、舞台を見て「3回泣いた」という大学院の同学に連れられて、夜の中正紀念堂に行ってきました。

その舞台とは、創設50周年の舞踏集団「雲門舞集」による記念公演「薪傳」。20年ぶりの上演となった「薪傳」を、夜の中正紀念堂でナイトシアターとして無料鑑賞!という贅沢な時間でした。昼間に来たことはあったけれども、夜の中正紀念堂というの

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台湾ひとり研究室:取材メモ「コロナ後を生きる。你好我好の改装に込められた想い」

台湾ひとり研究室:取材メモ「コロナ後を生きる。你好我好の改装に込められた想い」

台北市迪化街一段14巷——台湾の敏腕コーディネーターとして知られる青木由香さんのお店は、この、台北の小さな路地にあります。台北MRTの北門駅を出て、迪化街商圏に向けて歩くと、メインのエリアに入った直後にある小道です。同じ通りには、漢方薬材店、そしてカフェが数軒。青木さんは通りのことをこんなふうに言いました。

「どのお店も、店の前にバイクを止めてほしくないからグリーンを置いていたんですよ。だけど、

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台湾ひとり研究室:取材メモ「NOKE忠泰樂生活が見せた新しい内湖エリア。」

台湾ひとり研究室:取材メモ「NOKE忠泰樂生活が見せた新しい内湖エリア。」

台北MRTの内湖線といえば、コンパクトな車両に高架で眺めのよい路線です。その剣南路駅から歩いてすぐの場所には、大型ショッピングモールに観覧車があり、休日には大勢の人出で賑わうエリアです。最近では台湾無印良品が約600坪という広さの大型店をオープンさせて、大きな話題を呼んでいました。

そんなエリアに昨日、新たに大型商業施設「NOKE」が完成。公式サイト👉

「メディア向けの内覧にどうぞ」とお声が

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台湾ひとり研究室:取材メモ「愛媛県人会で見直す人の輪」

台湾ひとり研究室:取材メモ「愛媛県人会で見直す人の輪」

14日夜は台北市内で愛媛県人会が行われ、愛媛出身のワタクシ、久しぶりに参加してきました。県人会の会場は、松江路にあるてつわん(鐡之腕鐡板料理)です。

こちらの伊藤店長が愛媛出身ということで、県人会はたいていコチラ。ちなみに伊藤さんは県人会の会長です。

さて今回の県人会には、愛媛県西条市から3人の参加がありました。西条への台湾人観光や西条の物産を台湾に展開することをめざし、今月12〜15日まで市

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台湾ひとり研究室:取材メモ「月経博物館が教えてくれたこと」

台湾ひとり研究室:取材メモ「月経博物館が教えてくれたこと」

トルコ地震、東日本大震災を上回る被害になったとか。台湾からはいち早く救援チームが派遣され、同時に各地で食料や水、防寒具や寝具といった救援物資の発送準備が進められています。

台湾からの救援物資ひとつに、生理用品があります。現在、水曜日の発送に向けて着々と進めているのは「小紅帽月経博物館」の皆さんです。

スタッフの方々が目指したのは200箱の生理用品を送ること。募集準備の段階で、現地では水不足が深

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台湾ひとり研究室:取材メモ「台北の日本酒イベントで出逢った日本の姿。」

台湾ひとり研究室:取材メモ「台北の日本酒イベントで出逢った日本の姿。」

2023年2月某日、日本酒のイベントにお邪魔しました。会場となったのは、日本統治時代に市場としてスタートした新富町文化市場。

歴史的建築が今は文化施設に生まれ変わっています。少し前までカフェだったスペースが、真っ昼間から飲める「萬華世界下午酒場」へとリニューアルし、おでんがいただけるようになった、と知り、最初は友人たちとの忘年会で伺いました。その際「今度、日本酒のイベントやるからよかったらどうぞ

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台湾ひとり研究室:取材メモ「TikTokアカウント、開設までの道のり。」

台湾ひとり研究室:取材メモ「TikTokアカウント、開設までの道のり。」

去年5月、友人たちと台湾の離島、馬祖島を旅行した時のこと。その頃は台湾のコロナ感染者が急増していたのだけれども、大家族や親しい友人たちばかりの貸切ツアーだったこともあって、「行ったことがない」という大哥の親友夫婦と参加した。

行きは小型飛行機を貸切にできて、小一時間で到着したのだけれども、帰りが大変。雨の多い時期で、ツアー中ほとんど雨に見舞われた挙げ句、霧が濃くて台北からの飛行機が着陸できず、予

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