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そういえば…(最終更新20240126)
はじめに
この自己紹介以外、アップしている文章は全てフィクション・創作物です。
そのあたりのご理解よろしくお願い致します<(_ _)>
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自己紹介的なもの何もしてませんでした<(_ _)>
「たつきち」と申します。「たつきち」は「達吉」とも書きます。
何処かのSNSでひょっとしたらお目にかかっているかもしれません。まぁ、あちこちに出没しております。
その昔は「鉄砲玉の達」と呼ばれて
【二億斉藤】#毎週ショートショートnote
「三億佐藤と二億斉藤?なんだこれは?」
「集めてほしい」
「ちょっと待て。日本人が今、どれだけいると思っているんだ?一億を切ろうとしているんだぞ?」
窓辺に立つ男は片眉を上げた。
「お前、三億の佐藤をどこに集めるつもりだ?」
「は?」
「情報だけでいい。確かな証拠があればいい。過去に遡って三億の佐藤と二億の斉藤」
「それに何の意味があるんだ?」
「お前が知る必要はない」男は冷たく言い放つ。
「・・
【冷凍記憶】#毎週ショートショートnote
冷凍睡眠のコースはふた通り。
ひとつは肉体ごと、もうひとつは記憶のみを冷凍保存するもの。
「お勧めは?」
「条件によって変わります。星団船にお乗りになりますか?」
「あ〜、どうしようか悩んでいます」
「ご家族や親しい方とご一緒ですか?」
「いや。ひとりです」
担当は「でしたら、冷凍記憶コースがお勧めです」と言った。
記憶のみを冷凍保存する。冷凍はコールドスリープに対しての比喩であるが、時折解凍=再
探偵-【君に届かない】#青ブラ文学部
I cannot reach you.I cannot reach you.I cannot reach you.I cannot reach you…
A4用紙に何度も何度も繰り返す「I cannot reach you.」
「なんだこれは?」
探偵は思わず口にした。
「これが毎日届くんです」依頼人は言う。
郵便ではない。
住所の書かれていない封筒が毎日ボックスに入っているのだという。
その依
【風薫る】#シロクマ文芸部
「風薫るの薫といえばたいていは通じる」
「羨ましい」
「あぁ」
男3人がオープンテラスで頭を突き合わせている。
「俺は年配の人には割と説明は楽なんだけど、若い人に困るんだよなぁ」
「オレも」
「井上馨の馨です。で、あぁ…ってなる」
「イノウエカオルって?」
「大昔の政治家」
「ふうん…」
「って、お前みたいなリアクションの人には、女子レスリングの伊調馨選手の馨の字です。と」
そう言いながらテーブル
殺し屋-永久欠番のあなたへ#青ブラ文芸部
殺した相手に思い入れはない。むしろそんなものを抱いたら殺し屋なんてやっていられない。
「でも、覚えていますよね?殺した相手を」
「そりゃそうさ。当然だろう?」その人は少し呆れたような顔をした。
「その人がいなくなっても、その人がいた大概のところには別の誰かが入り込んでは、さも『最初から自分がいました』みたいな顔をする。死んだやつのことなんて家族でもなければさっさと忘れてしまう。だから、せめて俺くら
【真夜中万華鏡】#毎週ショートショートnote
「眠れない?じゃあ、これをあげよう」
差し出されたのは万華鏡だった。
「眠れない夜に覗いてみるといい」
断ったつもりだったが、気がつくと鞄の中に入っていた。
眠れない。
わざと難解な本を読んだ。少し前なら数頁も読まずに寝落ちていた。今はつまらないと思いながらも読み進めてしまう。
諦めて電気を消して本を置く。
本を置いた手に何かが当たった。
万華鏡だった。
「真夜中万華鏡とか言ってたな?」
定かでは
【放課後ランプ】#毎週ショートショートnote
放課後ランプが灯ったら、振り向かずにまっすぐ家に帰れ。
「さもなくば…」
「さもなくば?」
津田はノートを置くと「そこまでしか書かれていない」と言った。
「ランプと言ったら相当昔だよね」澤が言う。
「うーん」津田が唸る。
「どうした?」
「このノート、日焼けしてるけどそんなに古くないんだよね」
「そうなの?」
津田はミステリー研究家なだけでなく文具オタクだった。
この学校が廃校になったのは3年前。
BLUE#色のある風景
青色を好むことで有名な画家の展示会。
どの絵も青色で描かれる。
こんなに青色があるのかと驚くほど、さまざまな青で溢れていた。
一番大きい絵は200号というサイズのものだった。
対になっている2枚の絵は空と海だった。空の青を映しているはずの海。だけど、その青色は全く違った。それでもそこにある空を映しているのだとわかる絵だった。
空と海だけでなく、さまざまなものが青で描かれている。
彼の自画像もそのひ
【子どもの日】#シロクマ文芸部
子どもの日だというのにその村には子どもの姿はなかった。
その代わりというかのように、どの家でも鯉のぼりが風を受けてたなびいている。
「今年もよろしくお願いいたします」
村長が頭を下げている相手は、渡り祭祀のモチヅキだった。
「お任せください」
子どもたちは昨日から皆旅行という名で村から避難させている。
この辺りでは大昔からサツキ様と呼ばれるカミが端午の節句に贄を求めて現れるという。
現に、昔から幾