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【読書感想文の番外編】『伝え方が持つ影響力』~オール・オア・ナッシング~トッテナム・ホットスパーの再興~~

選んだ理由

以前にモウリーニョがレアル・マドリードの監督を務めたときのことを書かれた『三年戦争』という本を読みました。

その本を読んでモウリーニョのことが大嫌いになりましたけど、モウリーニョが登場する本作を見れば、彼に対する考え方が変わるかもしれないと思ったので選びました。

伝え方が持つ影響力

「えっ?! モウリーニョって良い監督じゃん」

最終話のエピソード9を見た後に抱いた率直な感想でした。

冒頭でもお伝えしたように『三年戦争』を読んで、モウリーニョは嫌いな監督になりました。その本では選手やスタッフなど他者の視点からモウリーニョのパーソナリティが描かれていて、選手を侮辱したり、選手に対して審判への文句を執拗に強要するなど、加害者としての一面が強調されていたんです。

著者の思惑通りにモウリーニョのことが嫌いになった僕は、本作を見る前にきっとモウリーニョのことは好きになれないと思っていました。だけど、本作を見たら、彼のことが良い監督に見えてきたんです。

本にも書かれていた選手を罵倒したり、勝つためには手段を選ばなかったりするところは本作にもありました。しかし、本当の悪人ではないと思ったんです。

プレミアリーグで安定的に6位以内に入るトッテナム・ホットスパーが14位と低迷していると、シーズン途中にモウリーニョは監督に就任します。まずはチームのストライカーのFWハリー・ケインにリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドのようになれると実力を高く評価し、チームのリーダーになってほしいと面談で伝えました。

周囲から才能を期待されているMFデレ・アリには、才能があることを認めながらも、練習態度の悪さ、細かなプレーの改善点を指摘します。若いゆえに精神的に安定していない、大人ではない彼にきちんと向き合い、欠点を指摘することで、才能ある若手の成長を促そうとしました。

チーム最古参のDFダニー・ローズとは正面から衝突しました。ローズがやっ監督室にやってきて話し合います。月に1度しか出場機会を与えられない現状が不満ということをぶつけたローズに対して、率直に試合のパフォーマンスが悪いと言い放ちました。互いに遠慮することなく意見をぶつけあった末、結局ローズは他のチームに移籍することになりますが、本音を言い合う2人は気持ち良いくらいに潔かったです。

モウリーニョ就任時、トッテナムは優しい選手が集まった良い人集団でした。人の良さが弱さとなり、負ける試合も少なくなかったんです。相手は勝つためにファウルをしてくるけど、トッテナムの選手はそれをやらない。仲間がファウルされて、削られて怒りもしなかったんです。勝つためには厳しさが必要だと考えているモウリーニョは、厳しい言葉をかけ続けることで、シーズンを通してチームを徐々に戦う集団に変えていきます。シーズン終盤には勝つために選手がファウルを躊躇しなくなったり、勝ちたい気持ちが強くなりすぎて口論をする選手も出てきました。

本作を見て、モウリーニョは試合に勝つことにものすごく必死な監督なんだなって思いました。時には手段を選ばないことがあったり、少々度が過ぎることもあるんだろうけど、すべては勝ちたいための言動や行動なんです。

また、以前に読んだ本と本作は同じ人物を扱ったものなのに、ここまで印象や感じ取り方が違うのかという驚きもありました。

誰目線なのか、切り取り方はどうなのか、視点はどこにあるのか。これらの伝え方が違うだけで、全くの別人だと思うくらいに異なる印象を与えることができるんです。

自分も伝える人になりたいので、伝え方についてすごく勉強になりました。これからは自分が伝えたいものに対して視点や切り取り方は正しいのかどうかを考えていきたいです。そして、伝え方が持つ影響力の大きさを体感したので、伝え方を間違えないようにしていきたいと思いました。

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