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【3人の大統領】 統失2級男が書いた超ショート小説

2034年、元テレビ局アナウンサーで弁護士資格を持ち2児の母親でもある大森美咲は日米安全保障条約の破棄と、それに伴う全ての在日米軍基地の即時撤退を公約に掲げて、大統領選挙を戦い圧倒的勝利を収め、日本国初代大統領に就任した。ほんの5年前まで親米国家であった日本で大森が勝利したのには、それなりの理由があった。その理由とは、現役のCIA幹部職員によるアメリカの国家機密の暴露によるもので、それまでのアメリカは過去に行ったとある一つの戦争に付いて、「外国の武装勢力からテロ攻撃を受けるにあたり、その武装勢力の指導者を匿うA国とやむを得ずに戦争するに至った」との公式の立場を取っていた。しかし国家機密の暴露によってそのテロ攻撃が、アメリカ政府の自作自演であった事が白日の下に晒されてしまったのだ。また、その他にも『アメリカに取って経済的脅威に台頭した中国を弱体化させる為に台湾有事を煽り、台湾軍と自衛隊の連合軍を中国軍と戦わせる』と云う卑劣な工作までもアメリカが企図していた事が発覚し、これが日本人の反米感情を決定付ける結果となってしまったのだった。

日本国民からの圧倒的支持を得て大統領に就任した大森だったが、大統領就任から42日後に呆気なく毒殺されてしまう。多くの日本人はこの毒殺の黒幕をアメリカ政府と考え、激しく憤った。その結果、在日米軍基地やアメリカ大使館へのテロ攻撃が頻発する事態となってしまう。それに怒り狂ったアメリカは恥知らず振りを発揮し、報復として大阪と名古屋と東京に、核ミサイルを撃ち込み82万もの尊い日本人の命を奪ったのだった。程なくして白人のアメリカ大統領ジョージ・アルトマンは、「日本人は蛮族であるので、核ミサイルで調教する他なかった」との声明を発表した。その後もアメリカの蛮行は続き、核攻撃から2週間後にアルトマンは「日本を奴隷の国に格下げする」と公式に宣言する。アルトマンは容姿端麗な数百万人もの日本人女性に避妊手術を強制した後に、性奴隷として外国に売り飛ばしたり、数百万人もの日本人男性をブリーフ1枚にして、アメリカ軍人たちに鞭で叩かせながら、アメリカの歴代白人大統領の記念碑ピラミッドを日本各地に人力で建造させたりしていた。

中国の国家主席、劉小涛には1/4だけ日本人の血が流れている。その為、劉は日本の惨状に酷く心を痛めていた。劉は日本人を救う為、アメリカに宣戦布告する事も考えていたが、その場合、アメリカから中国本土が攻撃され中国人民の命も危険に晒してしまう可能性がある。劉は苦悩の中にあった。しかし、そんな劉に2044年の夏、朗報がもたらされる。それは中国の軍事兵器会社が、対人電磁波兵器を開発したと云う知らせだった。劉は秘密裏にその新兵器を大量生産させ、翌年の春にアメリカ本土に向けて、新兵器をフル稼働させた。劉は攻撃対象をアメリカ白人だけに限定し、1億9千万人ものアメリカ白人を脳梗塞による全身麻痺状態に陥らせる事に成功する。全てのアメリカ白人は約1か月以内に餓死する事となり、圧政から解放された全ての日本人は心の底から劉に感謝した。そして、日本と統一朝鮮と、更には中国の自治区となった台湾の後押しもあって、2047年に劉は初代アジア大統領に選出される事となった。アメリカ白人が絶滅した世界で劉大統領指導の下に団結したアジアは、末永く大いに繁栄するのでした。

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