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「FUJI ROCK FESTIVAL' 18」、5つの歴史的瞬間を振り返る

【7/28(土)「FUJI ROCK FESTIVAL' 18」 @ 新潟県湯沢町苗場スキー場】

会場を苗場に移してから20回目の開催となった今年のフジロック。

今回から新たな試みとして、YouTubeでのライブ配信が始まったが、歴史的瞬間に立ち会うという経験は、やはり苗場に足を運ばなければ得られない。


・JOHNNY MARR

The SmithsがUKロックシーンに絶大なる影響力を与えるバンドになったのは、そして、真の意味のフォロワーが現れることがなかったのは、言うまでもなく、彼のギターワークが唯一無二であったからだ。

緻密で繊細、圧倒的な構築美を誇る彼のプレイは、自らがボーカルを担うソロ活動においても健在だ。

最後には、The Smithsの"There Is A Light That Never Goes Out"を披露。こういった大型フェスで、不特定多数の観客の心を掴むアンセムを持つアーティストは、やはり強い。


・SUPERORGANISM

超満員のRED MARQUEEを支配する、マイペースでカジュアルなバイブス。そして、親近感を抱かせつつも、圧倒的な未知性を放つグルーヴ。

演奏、歌、映像演出、ステージ上の佇まいまで、それら全てが特異で、新しい。

フロアのただならぬ熱狂は、決して一過性のものではないと思う。新しいインディ・ポップ・ムーブメントの始まりを予感させるアクトだった。


・マキシマム ザ ホルモン

意外にも、今年がフジロック初出演。

どこまでもラウドでヘビー、同じだけポップな彼らのミクスチャーロックは、一瞬にして苗場の空気を変えた。

いつもの正攻法で、満員のGREEN STAGEを見事に掌握。

意外でも何でもないが、ホルモンはフジロックのステージがとてもよく似合うバンドだ。


・MGMT

ポップに回帰した最新作『Little Dark Age』を聴いて、彼らのアクトに期待した人は多かったと思う。

"Me and Michael"は、完全に彼らの新たなアンセムとして輝いていた。

今の時代において、「ポップ」を突き詰めることこそが、最高にクールであるということを高らかに証明してみせた。


・KENDRICK LAMAR

圧巻。

2018年の今、ケンドリック・ラマーを生で観ることができたという感動を、真実の言葉と壮絶なビートがもたらす興奮が一気に追い抜いていく。

現代アメリカの、そして現代ブラック・パワーの象徴となった彼のことを、世界はもう看過することはできない。

社会的影響力は他のアーティストとは比べようもなく、そして、彼の表現力はあまりにも破格だ。

そのフィジカルの強さに、その瞬発力に、そしてその鋭さに、もしかしたらロックは敵わないのかもしれないとすら思える。

メジャーデビュー作が『good kid, m.A.A.d city』というタイトルであったように、彼は犯罪と貧困の街で生まれ育ちながらも、強く「正しさ」を貫き通してきた。

それはシーンを代表するアーティストになった今も同じで、だからこそ彼は世界と対峙し続ける。

そして、変わらなければならない世界は、今、彼を必要としている。

「正しさ」の根拠をシビアに問われる時代にあっても、言葉とビートだけがあれば、それ以上の説明はいらない。

彼の抱く「正しさ」は、本当に世界を変えてしまう。

心からそう思わせてくれるラップ・ミュージックに、僕は初めて出会った。

2018年、ケンドリック・ラマーの来日に立ち会えたことを、一生忘れはしない。


※本記事は、2018年7月29日に「tsuyopongram」に掲載された記事を転載したものです。

「tsuyopongram」はこちらから


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