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考古学の論文を読んでみよう

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記事一覧

第987回 墓地から見える湊町の風景

1、続く近世墓研究日本考古学協会の発行する『日本考古学』第51号より

関根達人2020「寺院過去帳を用いた近世墓標研究の視点と方法ー陸奥盛岡藩領北部田名部を例としてー」

をご紹介します。

実は前回も同じ著者の論文をご紹介していました。

2、調査データの量が本質を語る陸奥盛岡藩領北部田名部とは現在の青森県むつ市。

下北半島でも陸奥湾に面し、天然の良港、大湊を有しています。

明治維新後は旧

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第834回 終戦の日にお墓の話

1、『日本考古学』より

例年は考古学協会で配布される雑誌、今年は郵送で届いていましたが、ようやく開いてゆっくり見ることができました。

その中から関根達人2020「近世武家の儒葬ー『庚申喪事記』の検討を中心に」『日本考古学』第50号をご紹介します。

2、儒教式の葬儀の実態解明に向けて

進展著しい近世、江戸時代を対象にした考古学研究では大名のお墓については大きく進展し、儒教に基づいた作法で行わ

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第439回 天気がいい日は考古学日和

1、考古学の論文を読んでみよう Vol.7

久しぶりにゆっくり専門誌を読む時間がありました。

今日ご紹介するのはこちら。

考古学研究 261号 第66巻1号 2019 Summer

2、雑誌の構成

【特集】「学校と考古学」第3部

ドナルド・ヘンソン「英国教育における考古学の位置付けの移り変わり」

著者は英国の考古学評議会の教育部長を務め、現在はヨーク大学の考古学部准教授。

英国は連

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第328回 時には理論のはなし

1、論文を読んでみようVor.6

今回取り上げる論文は

溝口 孝司2014「世界がかわるとき」『考古学研究』61ー3

になります。

ものすごい題名ですよね。

溝口氏は九州大学教授で、専門は弥生時代。甕棺墓という葬送の研究から当時の社会構造を読み解くことに取り組まれています。ケンブリッジ大学への留学経験を持ち、考古学者の中でも理論派として知られています。

2、雑誌構成

考古学研究会第6

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第307回 近現代も考古学

1、論文を読んでみよう Vor.5

今回取り上げる論文は

武内雅人2016「煉瓦の規格比定による旧池田トンネル竣工年代の推定」『考古学研究』63ー2

になります。

近年は近代をテーマにした考古学も徐々に盛んになってきました。

2、本論文が掲載されている雑誌の構成

考古学研究会第62回総会講演の記録
羽生淳子「食の多様性と気候変動」
「考古学が人間と環境との相互関係についての学際的な

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第293回 古代の塩づくりをめぐる議論

1、論文を読んでみよう Vor.4

今回取り上げる論文は

阿部芳郎2016『「藻塩焼く」の考古学ー縄文時代における土器声援技術の実験考古学的検討ー」『考古学研究』63ー1

になります。

実はミヤギは古くから塩づくりの歴史があり、縄文時代の塩づくりに使われる製塩土器が出土する遺跡が数多くあります。

また多賀城に陸奥国府と鎮守府が置かれた時代にはその需要を満たすために生産量が求められ、薪

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第286回 火山灰をどう活用するか

1、論文を読んでみよう Vor.3

これまた本業の方でちょっと調べ物をしていて、再読した論文を今日は紹介します。

丸山浩治 2015「考古学的手法を用いた火山学研究」『考古学研究』62ー2

論文というか、正確には考古学研究会第61回総会において報告されたものの書き起こしです。
**
2、考古学研究の誌面から**

ちなみに、本論文が掲載されている雑誌の構成を少し紹介すると

今回

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第276回 瓦の模様で生産地がわかる

1、論文を読んでみようVor.2

本業の関係でどうしても読む必要があった論文があったので、この企画で紹介してみようと思います。

出土遺物の整理をしていく中で、どうしても江戸時代の終わりころの瓦について調べる必要がありました。

瓦の研究は織豊時代から江戸時代の初めころまでは整理された資料も多く、各地で分析が進んでいるのですが、

より現代に近くなると、まだ現役で使われていたりするにもかかわらず

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第269回 城館と街道からみる地域史

1、論文を読んでみよう Vor.1

東北学院大学の竹井英文先生から論文集をご恵送いただきました。

『東北文化研究所紀要』第50号

掲載されている規約を観ると、この研究所は東北地方の文化を調査研究し、その向上・発展に寄与することを目的として昭和48年に設立。

東北学院大学の教員と各地で活躍するOB達が運営と寄稿しているようです。

以前から論文を読み解くフレームワークをnoteでやってみよう

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第265回 考古学の論文を読んでみよう

1、新規企画第2弾(予告)

曜日ごとに決まった記事を、と意気込んだものの、結局不規則になっていますね。

ただ、新規企画として考古学用語解説を一度やってみました。

そしてもう一つ、

考古学の論文を読もう

ということにもチャレンジしてみたいと思います。

ただ読んで感想を述べて見るだけではつまらないので1つのフレームをつけようと思います。

それはとあるブログに紹介されていた、

“落合陽一

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