ツチダ

音楽ネタ、楽器ネタ、そして男性同士の恋愛にまつわるショートストーリーを主にアップしてい…

ツチダ

音楽ネタ、楽器ネタ、そして男性同士の恋愛にまつわるショートストーリーを主にアップしています。

最近の記事

音楽のルーツを辿ること (2)

前回の投稿から2週間以上経ってしまいました。 音楽のルーツを遡るということについて思ったところがあり書き始めた記事でしたが、僕が'60〜70年代の音楽を好むようになった経緯について話したところで終わってしまっていました。 今回は、その続きです。 僕も13歳から14歳の頃は、今で言うJ-POPのアーティストが大好きでした。しかし同時に、「彼らはどこから来たのだろう」と思うようになりました。音楽雑誌(当時は「GB」誌を購読していました)で彼らが語る、ビートルズやローリング・

    • 音楽のルーツを辿ること (1)

      ご存じの方はご存知のように、僕は60〜70年代の音楽が好きであります。 先日友達に、「つっちはなんで昔の洋楽に詳しいの?」と聞かれました。僕がその時代の音楽に触れることになったきっかけから、お話したいと想います。 音楽に本格的に興味を持つのって中学生ぐらいって方が多いかなと思うんですが、僕が14〜5歳ぐらいの時、後々まで語り継がれているバンドやシンガーの全盛期でした。TM Network、BOØWY、REBECCA、尾崎豊、渡辺美里…そしてブルーハーツがブレイクする直前で

      • カーペンターズ「NOW & THEN」

        僕は常々、カーペンターズはベストアルバムだけではなくフルアルバムで味わうべきだと思っておりました。そう考えるようになったきっかけは、彼らの「NOW & THEN」というアルバムです。今回はこのアルバムについての記事です。 発表は1973年。おそらく僕が生まれて初めて目にした「外国のレコード」だと思います。10歳年上の姉がカーペンターズの大ファンだったのです。 まずトップ画像に上げたジャケットをご覧ください。こちらはもともとLPレコードサイズの3面見開きです。真っ白の家に鮮

        • ソングライターへの劣等感

          こんにちは、ツチダです。現在は「ツチダズ」というバンドで主に活動させていただいております。というかこちらしかやってません。 ツチダズでは今のところ、オリジナル曲の骨組みを僕が作っています。そこからメンバーと一緒にアレンジを考えて、バンドの曲にしていく感じです。 (このアレンジの段階で、とてもメンバーに助けてもらってます。僕のアイディアだけでは古臭くて単調になってしまうのです) とは言っても、僕もオリジナル曲を作って人前で発表するようになったのはここ数年のことです。それま

        音楽のルーツを辿ること (2)

          The Whoというバンドについて

          19歳ぐらいの頃から、The Whoというイギリスのバンドのファンであります。 デビューは1965年。ビートルズは「Help!」をリリースし、ローリング・ストーンズは「Satisfaction」を大ヒットさせた年ですね。 僕にとって、ビートルズやボブ・ディランと並ぶぐらいに大事なアーティストなのですが、かといって全アルバムを聴き込んできたかと言われると、実はあまり自信がありません。ごめんなさい。 いやもちろん『Who's Next』や『Quadrophenia』や『Liv

          The Whoというバンドについて

          『バンド論』を読んで

          本題の前に、私のやっているバンドの話からで申し訳ありません。少しだけお付き合いください。 3/26(日)新宿LIVE FREAKにて「THEMUSICCIRCLE」というイベントにツチダズとして出演させていただきました。ツチダズとして、3回目のライブになります。 ツチダズは現在のところ、ライブのたびに編成が変わっています。1回目はボーカル・アコースティックギター・カホンの純アコースティック編成。2回目はキーボードが加入し、私ツチダもアコギからエレクトリックベースに移動しま

          『バンド論』を読んで

          父について思い出すこと

          父の日なので、自分の父親について覚えていることを書こうと思います。亡くなってもう15年ほどになります。 彼は郷里の街で酒店を営んでいましたが、商売が熱心すぎて夜の11時まで店を開けていました。 田舎町でそんな時間に酒を買いに来るのは、ありていに言って、まっとうな酒癖の人ではありません。酔っ払って追加の酒を買いに来たおじさんの後ろから奥さんが「あんたもうやめて」と泣いてすがって引き止めるといったような光景を、子供の頃から見ていました。 そんなとき父親は、「酔っ払いには酒は

          父について思い出すこと

          意見を言うということ

          僕は今年50歳になるんですが、こんな年になっても「自分の意見を文字に記す」ってことの難しさに考えさせられる日々です。 複数の方からこんなご指摘を受けたことがあります。 「つっちがtwitterで言っていることはそのとおりだなと思うんだけど、同時に人を排除する結果になっている」 「つっちに薄く興味を持っている人けど違う感覚を持っているという人から見たら、『自分は近寄ってはいけないんだ』と人を遠ざける結果になっている」 恥ずかしながら実を言うと、この年まで生きて軽くカルチ

          意見を言うということ

          空と君とのあいだには

          昨日、新宿ピカデリーに「中島みゆき 劇場版 ライヴ・ヒストリー 2007-2016」を観に行ってきました。中島みゆきのライブってリアルでは一度も足を運んだことないですし、映画ぐらいの大画面で観たのも初めての体験でした。 全編素晴らしかったんですが、個人的に特に印象に残ったのは「ファイト!」「誕生」「空と君とのあいだに」の3曲でした。 「ファイト!」はドラムのキックとスネアだけのイントロが印象的ですが、今回のライブではベースのルート弾きで始まりました。こういうアレンジもある

          空と君とのあいだには

          ツチダズはじめました

          こんにちは、ツチダです。 noteは「つっち」として書いておりましたが、ギターで弾き語りをする際は「ツチダ」と名乗っておりまして、今後はnoteもこちらの名前で書かせていただきます。 何のことはない本名の名字なんですが、まさか2022年の1月に、「ツチダズ」なんて名前のバンドでライブに出ることになるとは夢にも思っていませんでした。 もともとは、高円寺とらんぽりんのオープンマイクで何となく合わせるようになった3人でした。 ボーカルの漏レル君は10年以上前からイベント関連

          ツチダズはじめました

          ベツレヘムの羊飼い

          6年半勤めた会社を辞めることにした。 2020年の暮れに会社が買収されたことによる組織変更がきっかけだった。イギリスの本社に至るまでマネージャーラインがすべてリストラされ、組織の混乱が始まった。そして4ヶ月経った今でも、その混乱は収まっていない。 ミーティングで直属の上司が自身の退社をアナウンスし、呆然とした気持ちで業務に戻ったところ、携帯が鳴った。1年前に会話したきりの転職エージェントだった。「そういう転機なのか」と、僕もそこでスイッチが入った。 おそらく15社ぐらい

          ベツレヘムの羊飼い

          モータウンのノリ

          とあるお店のオープンマイク企画によくお邪魔している。マスターや集まっているミュージシャンたちのおかげで毎回とても楽しく、弾きまくった後の心地よい疲労感で帰宅させてもらっている。 だけど、ちょくちょく「セッションは敷居が高くて」という話を耳にする。やはり尻込みしてしまうんだろうか。 その気持はとてもよく分かる。 僕自身、楽器は下手くそな部類に入るし、そこまで臨機応変な対応力があるわけでもない。こんな自分が入っていって迷惑をかけてしまうんじゃないだろうか、そんな気持ちといつ

          モータウンのノリ

          声を聴くことができる友人

          まず前置きとして、僕はオカルトが苦手だ。 より正確に言うと、オカルト的な話を嬉々として振ってくる人が苦手だ。 「どこそこに何かが見える」とことさらに言い立てられても、共有していない側にしみればどう話を聞いたらいいか分からない。もちろん、相手をおびえさせて喜んでいたり自分の特殊さに酔っていたりというのは、論外だ。 もちろん僕自身、そのような世界はまったく見えも聞こえもしないし、憧れもない。そんな僕が出会った、ある不思議な友達の話だ。 ✳︎ 僕より2歳ほど年下の彼は、ユ

          声を聴くことができる友人

          二丁目にセッション・バーがあった

          夕べ二丁目を歩いていたら、とあるビルの地下にあった店のことを思い出した。二丁目にあった、セッション・バーのことだ。 若い人たちにこんなことを話したら、びっくりしてもらえるだろうか。二丁目のど真ん中に、飛び入りでギターを弾いたりドラムを叩いたりできる店があった。 ここ数年、楽器をやる若い方とお話をさせてもらうことが多くなった。そして僕もまた、人前で演らせてもらう機会をいただくようになった。二丁目で遊んだことのある若いバンドマンたちへ聞かせる、むかし話だと思ってほしい。 店

          二丁目にセッション・バーがあった

          巣立ちを待ち続けた人

          知り合ったのは、もう20年以上前になる。僕は25歳、彼は35歳ほどだったろうか。 当時、彼には少し年下の恋人がいて、そちらは確か当時30歳過ぎぐらい。僕からすると少し年上ということになる。 彼は僕のことを気に入ってくれていたのだと思う。当時の恋人さんを伴って、僕の済んでいる街まで遊びに来てくれて、一緒に居酒屋で食事したりカラオケに行ったりした。 人をびっくりさせるのが好きな人で、待ち合わせに現れた彼のかぶっていたニット帽には、おもちゃのプロペラがついていた。それが五月の

          巣立ちを待ち続けた人

          校長先生に似ていた僕

          先日、ある若い人と話していた。彼とは知り合ってもう一年以上経つのだけど、ふと思い出して気にかかったことがあった。 僕と初めて会った時、たいそう狼狽していたように見えたけど、自分の気のせいだったんだろうか。それとも僕が何か、怖がらせるような振る舞いをしてしまっていたんだろうか。 「つっちーさん、僕が中学の時の校長先生にそっくりだったんです」 中学時代のある日、彼は校長室に呼び出されることになった。なかば不登校だった彼は、「この出席日数では卒業はさせられても、とても高校に行

          校長先生に似ていた僕