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【SLAM DUNK Gl】129話「帝王のたたかい」

安西光義を偲ぶ会には、試合が終了したらどちらのチームという区別なく、同じ仲間であるノーサイドの精神が見事に実現された。


「でもよ、あのブーメランには驚いたぜ。しかも連続でよー!かっか(笑)」清田

「あれは、藤真健司の決意の表れだろ?」花形

「なんだ?お前ら急に。」藤真

「藤真健司の決意」より。後半から登場した流川楓の活躍により、同点に追いつかれ、迎えた第4クォーター開始早々、藤真は禁断とも言われるブーメランというストリートバスケの技で流川の意表をつき、シュートを決めた。

その時、翔陽時代の盟友である花形透は、ストリートバスケにかける藤真健司の決意の表れだと語った。

そしてそのバックボーンには牧紳一の存在があるということも。


「牧さんのことをそんな風に思っているのは意外だったな。」清田

牧紳一は俺たちにとって最大の強敵だった。そして同学年ながら尊敬できる選手だったよ。」花形

「清田、、、。牧の、、、牧の調子はどうだ?」藤真

「・・・いーや、、俺もわかんねえっすよ。」清田



牧紳一、常勝軍団、海南大付属高校のスタメンを1年時から奪いインターハイ連続出場を果たす。

同じくライバル校である翔陽の藤真健司も1年時からスタメンを張り、両者はここから牧、藤真2強時代を築く。


主将となった3年時に台頭した湘北、陵南に苦戦をするものの、全勝で17年連続インターハイ連続出場を決めた。

本戦でもその存在は全国の舞台でも際立ち、準優勝する。ポジションはPGでゲームメークはもちろんのこと、パワーとスピードを活かしたカットインで自らゴールを決め、ファウルをもらい3点プレーもものにする。

DFが中央に集中すればアウトサイドの神宗一郎を活かす力強いペネトレイトは最大の武器であり、ダンプカーとも形容された。

その威厳と風貌は帝王と称された。高校を卒業後も海南大学で帝王の名を恥じぬキャリアを築く。

とりわけ2強時代を築いた藤真健司との対戦は大学でも続いたが牧紳一が負けることはなかった。
7年間、帝王であり続けた。


海南の誇るエリートであり優等生とも言えた。

しかし海南大付属高校監督、高頭力によれば、牧のいいところは、



「勝ちに貪欲。」

「変にエリートづらしない。」
「頂上にいる牧が一番勝ちに対してハングリー。」


と語っている。

ストイックな一面を持っていたのだ。なおかつキャプテンシーを持ち合わせ、
流川楓のような無口ではなく、仙道彰のようなコート上のカリスマ、天才タイプというわけでなくコミュニケーションをとり、ゲームを読む力にも長けていた。


理想のリーダー像を描きながら、帝王、神奈川NO1プレイヤーであり続ける為に自分とも闘った。

海南を背負った7年間は、

「帝王としての戦い」
「帝王との闘い」


2種類のたたかいの日々だった。

※戦いは、勝ち負けや優劣を競うもの、「戦争」「戦闘」。また武器を用いた戦闘ではなく、「試合」「勝負」といった意味合いで用いる。
「闘う」は自分との闘い、困難などを克服しようとする行動等で主に精神的な意味合いで用いられる。

将来の代表を背負う有力な存在として、牧紳一はCBAリーグ、本田トラベルに入団が決まった。


同学年で同じく代表を背負うであろうと渇望された河田雅史は、代表資格のないJBAリーグを選択したことで日本バスケット界の牧紳一への期待度は必要以上に高まってしまう。

開幕戦でCBAリーグデビューを飾ると帝王の名に恥じない力強いプレーを見せた。

そしてシーズンも序盤が過ぎると、牧紳一代表待望論が巻き起こった。

試合後のインタビューに答える。


「代表に選ばれても選ばれなくても準備をするだけです。いい準備をして次の試合に向かっていきたい。」牧


「いい準備ね、、。いい言葉なんだけどな。」

「何か面白くないな。」

「優等生発言なんだよな。ルーキーだろ。」

「ルーキーらしからぬ、ビッグマウスを求めているんだよなー。」

「そういうことを言える新星が欲しいよな。」

「牧紳一にはそれくらいのことを言ってもらいたいんだよな。」


記者たちの心象はこのように映っていた。ルーキーイヤーでの代表招集は見送られた。

しかしチームではシーズンを通し主力選手として戦い、本田トラベルを惜しくも優勝は逃すものの準優勝の原動力となった

そして牧紳一は、JBAリーグの河田雅史と同じくCBAリーグ新人王に選ばれたのであった。


帝王のたたかいは続く。


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